
豊田章男会長は、トヨタ産業技術記念館で記者会見し、トヨタグループが進むべき方向を示したビジョン「次の道を発明しよう」を発表。発表されたメッセージは以下の通り。
●まとめ:月刊自家用車編集部
豊田会長メッセージ全文
本日は、ご多用の中、ご足労いただき、誠にありがとうございます。
先ほど、私たちの原点とも言えるこの産業技術記念館にトヨタグループ17社の会長、社長、現場のリーダーが出席し、トヨタグループの進むべき方向を示した「ビジョン」と「心構え」を全員で共有いたしましたので、皆様にご報告申し上げます。
最初にトヨタグループの歴史について少しお話をさせていただきます。こちらをご覧ください。
これは1895年豊田商店の設立にはじまる、トヨタグループの系譜図です。
「苦労する母親を少しでもラクにしたい」。その一心で、豊田佐吉は、1890年、「豊田式木製人力織機」を発明いたします。
誰かを思い、学び、技を磨き、モノをつくり、人を笑顔にする。発明への情熱と姿勢こそ、トヨタグループの原点であると私は思っております。
その後、豊田紡織、豊田自動織機製作所の設立へとつながり、系譜図はご覧のように「縦」に伸びてまいります。
1930年代に入ると、豊田喜一郎が立ち上がります。当時の日本の工業は、技術水準において、欧米に、大きな遅れをとっておりました。
「ただ自動車をつくるのではない。日本人の頭と腕で、日本に自動車工業をつくらねばならない」。その一心で、喜一郎は、この国の産業のモデルチェンジに挑んだわけであります。
部品、鉄、ゴム、電子、多くの会社がトヨタと歩み始めます。
さらに、独自の個性や強みを持つ会社との提携が進み、トヨタグループの系譜図は「横」に広がってまいります。
「未来を切りひらくブレない意志」によって進化し続ける「縦」の系譜。「同志、志を同じくする仲間」とともに進化し続ける「横」の系譜。
私たちは、これまで、先人たちが紡いでくれたこの「縦糸」と「横糸」で織りなされた「自動車産業」の中で生きてきたと言えます。
しかし、自動車産業が発展し、グループ各社が成功体験を重ねていく中で、大切にすべき価値観や物事の優先順位を見失う。恥ずかしながら、そんな状況が発生してまいりました。
最初に、その事態に直面したのが、他でもない、トヨタ自動車でした。
「もっといいクルマ」をつくる。それよりも、台数や収益を優先し、規模の拡大に邁進した結果、リーマン・ショックにより、創業以来はじめての赤字に転落。
自動車産業をお支えいただいている多くの方々に、ご迷惑をおかけすることになりました。
さらには、世界規模でのリコール問題により、最も大切なお客様の信頼を失うことにもなりました。
私は、「このとき、トヨタは一度つぶれた会社だ」と思っております。
そこから私自身のすべてをかけて、仲間とともに、ようやく「クルマ屋」と言えるところまで立て直してまいりました。
しかし、創業の原点を見失っていたのは、トヨタだけではありませんでした。今、グループ各社にも、当時のトヨタと同じことが起きている。私はそう思っております。
2009年のリコール問題のとき、私は、トヨタの責任者として、現在、過去、未来、すべての責任を背負う。そう覚悟を決めました。
あれから14年。トヨタグループ全体の責任者は、この私だと思っております。
いま、私がやるべきことは、グループが進むべき方向を示し、次世代が迷ったときに立ち戻る場所をつくること。
すなわち、グループとしての「ビジョン」を掲げることだと考えました。
トヨタグループの原点は「多くの人を幸せにするためにもっといいモノをつくること」、すなわち「発明」にあります。
「次の道を発明しよう」
このビジョンのもと、一人ひとりが、自分の中にある発明の心と向き合い、誰かを思い、技を磨き、正しいモノづくりを重ねる。
互いに「ありがとう」と言い合える風土を築き、未来に必要とされるトヨタグループになる。
本日、私たちの原点とも言える、この産業技術記念館で、そう誓い合いました。
私自身が責任者として、グループの変革をリードしてまいりますので、皆様のご支援をお願いいたします。
最後になりますが、日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機の相次ぐ不正により、お客様をはじめ、ステークホルダーの皆様にご迷惑、ご心配をお掛けしておりますことを深くお詫び申し上げます。
当初、グループビジョンは、豊田佐吉の誕生日である2月14日に共有する予定でおりましたが、昨今のグループ会社の状況を踏まえ、前出しをして実施し、メディアの皆様にも発表させていただくことにいたしました。
本日は、グループビジョンをベースに皆様からのご質問にお答えさせていただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(トヨタ)
国産初の2シーターミッドシップスポーツをトヨタが発売したことが驚きだった トヨタ「MR2」が発売されたのは1984年です。前年の東京モーターショーで「SV-3」というMRレイアウトの車輌が発表されまし[…]
新しい旅のスタンダードとしてのNOAH/VOXYがベースのDAYs ミニバンの定番として根強い人気を誇るトヨタ・NOAH/VOXYは、家族ユーザーだけでなくアウトドア好きにも好まれてきた。2022年に[…]
コルドバクルーズが描く“大人二人の贅沢な旅”の世界観 トイファクトリーが送り出す「CORDOBA CRUISE」は、名前からして旅情を刺激する。スペインの世界遺産都市・コルドバの優雅さをモチーフにした[…]
受注再開は、2026年夏ごろが有力 カローラクロスは、2025年5月の改良時にフェイスリフトの実施やガソリン車の廃止、スポーティなGRスポーツの追加など、過去最大規模の大きな変更が加えられた。改良前か[…]
全長5mを切り駐車場に困らない! でも室内はクラス最上級のゆったり仕様を実現 今回、紹介するキャンパーアシストのホロウのベース車はトヨタ•ハイエース。今までありそうでなかったワゴンGLの“ワイド+ロン[…]
人気記事ランキング(全体)
コルドバクルーズが描く“大人二人の贅沢な旅”の世界観 トイファクトリーが送り出す「CORDOBA CRUISE」は、名前からして旅情を刺激する。スペインの世界遺産都市・コルドバの優雅さをモチーフにした[…]
給油中に気づく違和感と、キャップを巡る小さなストレス 給油という動作は、慣れてしまえば機械的にこなしてしまう作業だ。セルフ式スタンドの普及で、自らノズルを握る機会は確実に増えた。ところが、燃料キャップ[…]
ショックレスリングとは? 一般の金属とは異なる原子の規則相と不規則相が存在する“特殊制振合金”を採用した金属製のリングで、シート取付ボルトやサスペンションアッパーマウントのボルトに挟み込むだけで、効果[…]
受注再開は、2026年夏ごろが有力 カローラクロスは、2025年5月の改良時にフェイスリフトの実施やガソリン車の廃止、スポーティなGRスポーツの追加など、過去最大規模の大きな変更が加えられた。改良前か[…]
広大なハンドル前のスペースを有効活用 愛車の車内を見渡してみると、うまく活用できそうなスペースが存在することに気づく。「ちょっとした収納とか作れそうな場所があるな…」と。しかし、DIYはちょっと面倒、[…]
最新の投稿記事(全体)
●サーキットは実験室だ! 「MAZDA SPIRIT RACING」の挑戦 まず注目すべきは、実戦の場で鍛え上げられたレーシングマシン。「ENEOS スーパー耐久シリーズ2025」に参戦した2台のコン[…]
創業家公認のメモリアルモデルは、89人の特別なオーナーへ フェルディナンド・アレクサンダー(F.A.)・ポルシェは、ポルシェの象徴的なスポーツカーである初代ポルシェ911(発表当初は901)の基本的な[…]
Bクラスが実質グレードアップ。内外装もスポーティに進化 Bクラスに追加される「アーバンスターズ」は、Aクラス、GLA、CLA、GLBにも導入されているシリーズグレード。従来のオーナーから好評を得ていた[…]
ワゴンR HYBRID ZX ベルベットダークレッドパール 減衰接着剤の塗布により、走行性能強化も図られる 今回の一部仕様変更では、衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」の採用で安[…]
耐久性抜群でスタイリッシュ。便利な開閉式のリアラダー クラフトワークス(Fun Standard株式会社)は、実用性とデザイン性が高い、自動車用アクセサリーを多数リリースしているブランドだ。そのクラフ[…]













