![](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/03/DSC00819.jpg?v=1711601411)
ボルボは2030年までに全モデルをBEV化することを公言しており、2023年には全体の15%強となる11万台ものBEVを販売している。今回国内導入が始まったコンパクトSUVのEX30は、その流れをさらに加速させるモデルとして大きな注目を集めている一台だ。
●文:川島茂夫 ●写真:編集部
“BEV普及”という使命が与えられた、ボルボBEVのエントリーモデルが上陸
「環境負荷の少ないクルマ」は、ボルボの重要な開発テーマのひとつであり、これまでにも汚染大気を浄化する触媒機能が与えられたラジエターの採用など、自車のエンジン性能に留まることなく環境性能の向上を図っている。そんな活動を考えるならば、2021年に発表された「2030年までに全モデルのEV化」というアプローチは、当然とも思える。
具体的なアプローチとしては、既存モデルをベースに純EV(BEV)化を進めてきた。現行ラインナップではXC40/C40リチャージ(ピュアエレクトリック)の2モデルだったが、そこに新たに加わったのが、今回紹介するEX30だ。
車体寸法はヤリスクロスより多少大きい程度で、全幅を除けばコンパクトSUVでも小柄で、タウンユースにも程よいサイズ。BEV専用プラットフォームは、床下に駆動バッテリーを置くこともあって、プロポーションに対してホイールベースは長めだ。駆動方式は最近のボルボ車としては珍しく、RWD(後輪駆動)を採用している。
2WDを後輪駆動とするのはBEVならではのトレンドのひとつで、XC40/C40のBEVモデルも、昨年、駆動方式をRWDに変更している。これはエンジンを搭載する制約がないため、駆動系をコンパクトに効率良く纏めることができる、BEVならではの強みだ。
国内導入される「EX30 ULTRA SINGLE MOTOR EXTENDED RANGE」の価格は559万円。国が定めるCEV補助金(2024年4月以降は45万円)を含めれば、それなりに競争力のある設定になる。全長☓全幅☓全高は4235☓1835☓1550mm。
日本向けは、最も航続距離が長い「Ultra」グレードを導入
グローバルでのEX30には、RWDモデルにはコスパと耐久性に優れたLFP型と、エネルギー密度に優れた大容量のNMC型の異なる2タイプのリチウム電池を設定。さらに高性能仕様となるツインモーター4WDモデルを加えた、3タイプのパワートレーンが用意されているが、日本導入モデルはRWDとNMCバッテリーを組み合わせた、最も満充電航続距離の長い仕様の「Ultra」のみとなる。カタログ航続距離(WLTC)は560kmだ。
運転席に乗り込んでみて、まず驚くのは、キャビンまわりのシンプルなデザイン。ステアリングの奧にも上方にも計器盤がない。情報計はすべて中央に配置された12.3インチディスプレイに表示される。一般的なインパネに比べると、際立ってクリーンなデザインであり、スピーカーの存在感さえ消している。コックピット特有の機能感がなく、そのスマートな佇まいは、自動運転技術が普及した時代のコックピットを予感させる。
ただ、インパクトは大きい分だけ、馴れも必要だ。速度などの運転に必要なデーターは中央ディスプレイ上部に表示されるのだが、経験則に沿った運転視線のイメージとはちょっと外れる。
また、ディスプレイの操作方法もこれまでのボルボ車と異なっており、どちらかといえばGUIとタッチパネルに特化したパッドPCの操作感に近い。スマホ世代にとっては馴染みやすいだろうが、中には不便に思う人も出るだろう。そんな操作感のギャップを埋めるために、ボイスコマンドが充実していることもEX30の特徴だ。
BEVになっても、ボルボらしい落ち着きのある走りの魅力は不変
一方、走りについては、ボルボ車らしい上品な味付け。加速や操縦性の切れ味はそれほどでもないが、コントロール性に富んだ特性で、運転がしやすい。ステアリングもアクセルワークも少し乱暴に扱った程度では破綻することもなく、角を落として綺麗に繋いでいく。
後輪駆動と低重心設計の効果もあって、ハンドリングの滑らかさや、乗り心地のしなやかさは車格から想像していた以上。良質な内装と4名の長時間走行にも不足ない居心地の良さもあって、ロングドライブも悠々とこなしてくれる。急速充電器の設置状況など、BEVを支えるインフラ面に不安があるため、万人にオススメしにくい一面はあるが、この問題がクリアできるユーザーにとっては、性能面でも価格面でもかなり魅力的。BEV時代でも、クルマの楽しさを実感できるモデルに仕立てられていた。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ボルボ)
北欧のエルクがデザインされたボルボ240 ChatGPTを筆頭に、近年聞かない日はないという程、我々の生活に根付き始めた「AI」。VOLTSは加速するAIの画像生成技術に注目し、異色のボルボ240を出[…]
ハイエンドグレードの名称を「Ultra」に変更 今回実施される一部変更では、価格改定に加えて、従来のハイエンドグレード「Ultimate」の名称を新たに「Ultra」へ変更された。各グレードの仕様変更[…]
リアルタイムデータを使用することで、前方で発生した事故を、事前に確認可能 今回ボルボ・カーズが発表した「アクシデント・アヘッド・アラート」は、交通管理センターから提供されるリアルタイムデータを使用する[…]
Black Editionの特徴・装備 今回の特別仕様車は、シリーズ最高峰のパフォーマンスモデル「XC60 Recharge Ultimate T6 AWD plug-in hybrid」がベース。「[…]
ボルボ最小のエレクトリックSUV「EX30」は、オンラインで販売 ボルボ史上最小のSUVの電気自動車(BEV)になる「EX30」。CO2排出量の最大の要因であるアルミニウムとスチールの使用量を減らす先[…]
最新の関連記事(SUV)
現行Gクラスとしては初の大幅アップデートモデルが、国内導入へ 今回導入されるのは、今年春に海外発表されたマイナーチェンジ相当の大改良が加えられたモデル。2018年に登場した現行型としては初の大規模アッ[…]
Screenshot 標準車とは全く異なるワクワクするスタイリング、ボディカラーは全9色を展開 本日7月25日にスズキ「新型スペーシア ギア」の先行情報が公開された。現行スペーシアの優れた基本性能の高[…]
8月1日より、全国各地でフロンクスの実車を展示する、先行展示会を開催 追加した情報は、エクステリア、およびインテリアデザインやカラーラインアップに加え、チーフエンジニアやデザイナーのインタビュー動画な[…]
上級を意識した内外装仕立てで、新たなユーザー層の獲得を狙う 「新しいコンパクトSUVの市場を切り拓く」そんな狙いを持って、この秋インドから日本国内への導入が予定されている新型フロンクス。コンパクトカー[…]
充電関連製品を、純正アクセサリーとして設定 FCEVでありながら、外部から充電可能なプラグイン機能を備えた、新型CR-V e:FCEV。 その純正アクセサリーとして、EV/PHEV充電屋外コンセントに[…]
人気記事ランキング(全体)
コスパの高さは最高クラス 外壁や玄関の掃除、洗車などで活躍する高圧洗浄機。人力では落とせない頑固な汚れを落とすことができるため、家庭での使用も増えてきている。しかし、高圧洗浄機は価格が比較的高く、なか[…]
→2人暮らしができるレベルのキャンパーとは ベース車両はトヨタのハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。カスタムの幅が広く、アウトドアを中心としたユーザーに、非常に人気の高い車だ。 ハイエースは[…]
8月1日より、全国各地でフロンクスの実車を展示する、先行展示会を開催 追加した情報は、エクステリア、およびインテリアデザインやカラーラインアップに加え、チーフエンジニアやデザイナーのインタビュー動画な[…]
上級を意識した内外装仕立てで、新たなユーザー層の獲得を狙う 「新しいコンパクトSUVの市場を切り拓く」そんな狙いを持って、この秋インドから日本国内への導入が予定されている新型フロンクス。コンパクトカー[…]
Screenshot 標準車とは全く異なるワクワクするスタイリング、ボディカラーは全9色を展開 本日7月25日にスズキ「新型スペーシア ギア」の先行情報が公開された。現行スペーシアの優れた基本性能の高[…]
最新の投稿記事(全体)
耐水&耐荷重もバッチリ 「ハードシェルソーラーセンサーライト」は、駐車場や庭にピッタリな地面に設置できるソーラー充電式ライト。IPX7の防水性能と耐荷重に優れ、耐荷重約1tで車で踏んでも壊れない頑丈な[…]
ベース車両は日産のNV200バネット ベースとなる車両は日産のNV200バネット。 荷室が広くカスタムの自由度が高い。一方で、キャラバンより小ぶりなため、運転しやすく駐車スペースで悩むことも少ない。4[…]
新型LBX MORIZO RR実力チェック 新型オーラNISMO詳細解説 新型フロンクス先行試乗リポート! 今こそ買いたい!注目モデル10選! 人気ミニバン BEST BUY WLTCモード燃費付き […]
ベース車両はトヨタのハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。カスタムの幅が広く、アウトドアを中心としたユーザーに、非常に人気の高い車だ。 ハイエースはなんと言ってもクラス最大級の荷室の広さが魅力[…]
愛車に個性を持たせよう! カーショップコネクトでは、エプロンや被せるような汎用タイプとは違い、クルマのシート形状ごとに型取りを行って、ジャストフィットするシートを販売している。色やデザインを自由に選ぶ[…]
- 1
- 2