
ボルボのフラッグシップとなる7シーターSUVのXC90がビッグマイナーチェンジを実施し、2月13日より発売されている。その進化の内容と、現在のラインナップ、そしてその魅力を紹介しよう。
●文/写真:鈴木ケンイチ
デビューから9年、毎年国内でも約1000台ペースで売れ続けている、ボルボのベストセラーモデル
ボルボXC90は、ボルボラインナップの頂点となる3列シートの7人乗りのラージSUV。トップモデルの価格は1000万円を超えてくるプレミアムなモデルだ。さらに驚いて欲しいのは、現行モデルの日本導入は2016年であって、デビューからすでに9年もの歳月が流れているにもかかわらず、それでもXC90はコンスタントに毎年1000台ペースで売れ続けているという人気ぶりだ。
ボルボ・カー・ジャパンによると、この人気は、日本だけでなく世界的な傾向とのこと。つまり世界的に認められる普遍な魅力を備えているというわけだ。
撮影車はXC90 プラグインハイブリッドモデル「XC90 Ultra T8 AWD Plug-in hybrid」(1294万円)。新型はフロントマスクのデザインを一新したが、色あせることのない北欧デザインの魅力は健在だ。
内外装デザインと車載ITが、時代の進化に合わせてブラッシュアップ
そんなXC90が、今回ビッグマイナーチェンジを実施した。内容としては、エクステリア&インテリアデザイン、インフォテイメントの刷新が大きなポイントになっている。
まずエクステリアは、フロントとリヤ回りと灯火類を一新。ボンネットとアルミホイールも新しくなっている。インテリアでは、ダッシュボードが新しくなった。100%リサイクル素材テキスタイルとウッドが使われ、より直線的なデザインとなっている。シートには、従来通りのファインナッパレザーだけでなく、リサイクル&バイオ素材や、100%リサイクルポリエステル素材なども用意されている。インフォテイメント系の改良は、センターディスプレイの9インチから11.2インチへの大型化と、ソフトウェアのアップデートとなる。
国内導入されるラインナップは3タイプ。マイルドハイブリッドの「XC90 Plus B5 AWD」(1019万円)と、その上級グレードとなる「XC90 Ultra B5 AWD」(1099万円)、そして最上位のプラグインハイブリッド「XC90 Ultra T8 AWD Plug-in hybrid」(1294万円)だ。エンジンはすべて、2リッターターボのガソリンで、トランスミッションは8速AT、駆動方式はAWDとなる。
シート配列は2-3-2の7シーター仕様。3座のセカンドシートはそれぞれが個別にスライド&リクライニングが可能。撮影車はラグジュアリーな雰囲気が強まるファインナッパレザーが奢られている。
ハンズフリー・オープニング/クロージング機構を備えたワイドなテールゲートを備える。
キャビン感覚はジェントル、上級プレミアムらしさでいっぱい
今回、試乗したモデルは最上位のプラグインハイブリッドの「XC90 Ultra T8 AWD Plug-in hybrid」(1294万円)。XC90はもともとスタイルのよいクルマと思っていたが、新型は新しいグリルとマトリックスデザインLEDトールハンマーヘッドライトの採用により、よりクリーンな印象が強まっている。全長は5mに迫る(4955mm)サイズで、足もとも22インチの大径アルミホイールを装着しているのに、威圧感をそれほど感じない。
インテリアは、従来型のイメージを残しつつも、上手にブラッシュアップされている。ウッドを組み合わせた新しいインパネは、高品位かつ上品さを感じさせる。また、インテリア全体だけでなく、メーター内の配色も落ち着いた雰囲気で、座り心地のよいシートとあいまって、寛げる雰囲気が強まった印象だ。
走り出しての最初の印象は「本当に静かだ!」というもの。プラグインハイブリッドシステムは、フロント側は最高出力233kW(317馬力)の2リッターターボエンジンと52kWのモーターで駆動し、リヤ側は107kWのモーターで駆動するもので、18.8kWhものバッテリーを積むことで、最大73kmのEV走行も実現している。それゆえ通常のハイブリッドモードでスタートしても、街中の大半をほぼモーターのみで賄うことができるほど純電動感が強め。
ロードノイズを低減するラミネーテッドウインドウが採用されているため、シャーというような高周波の音が見事にカットされていることも見逃せない。エンジンの音と振動が念入りに抑え込まれていることもあって、市街地での走行では、エンジン稼働の状況を判別するのが難しいほど。フラッグシップにふさわしい品のあるキャビン空間だ。
エンジン+ターボ+2モーターがもたらす、1ランク上の力強さ
それでいて走りはなかなかに俊敏。車両重量は2300kgとヘビー級だが、エンジン+ターボ+2モーターというパワートレーンはかなり強烈で、街中でも高速道路でも動力性能の高さはすぐに実感できる。
ただ、クルマ全体としての振る舞いはジェントルそのもので、ピッチングやロールが少なく、フラットな姿勢をしっかりと保ってくれる。荒れた路面では22インチのタイヤ&ホイールの重さを感じさせるシーンもあるが、それでも段差を乗り越えるときのショック感は不快ではない。このあたりはエアサスペンションが良い仕事をしているのだろう。後席に乗る家族からのクレームもほとんどないはずだ。
センターディスプレイの9インチから11.2インチへの大型化された。
インフォテイメントは、ほぼスマートフォン感覚。グーグル&アップルともに最新のアプリが揃っており、スマートフォンを使える人であれば、何不自由なく操作できる。1410Wものパワーを誇る「Bowers &Wilkinsハイフィデリティ・オーディオ」(オプション)で音楽を楽しみながらのドライブも、このクルマの楽しみのひとつとなるだろう。
XC90のキャビンに最適化されたBowers&Wilkinsハイフィデリティ・オーディオシステム(19スピーカー)も選択可能。
ガソリンターボ+モーター(前後)のプラグインハイブリッドシステムを採用。二相交流6.4kW充電システムを搭載するXC90は、0%から100%までのフル充電がわずか3時間ほどで完了できるという。
試乗してみて強く実感したのは、ボルボらしい個性がしっかりと宿っていることだ。デザインにはプレミアムモデルでありがちなギラギラ感がなく、上品でゆったりとリラックスできる雰囲気でいっぱい。その印象は走りも同様で、パワーは十分あるけれど、それをひけらかすことはない。さらにすべての席で乗り心地も快適なので、7シーターという家族を乗せて走るファミリーカーの最適解といってもいい。
ちなみにこのあたりの強みは、改良前からXC90に宿っていた美点のひとつ。だからこそ、デビューから9年もの間、コンスタントに売れてきたのだろう。
今回のマイナーチェンジでは、新しい魅力を追加したのではなく、デザインやインフォテイメントなど、時流で古くなるものが丁寧にアップデートされた、と考えればいい。そのモデルライフは、まだまだ長くなっていくのではないだろうか。
<主要諸元>ボルボ「XC90 Ultra T8 AWD Plug-in hybrid」
寸法:全長4955×全幅1960×全高1775㎜ ホイールベース:2985㎜ 車両重量:2300㎏ 乗車定員:7名 エンジン:直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボ(4バルブ) 総排気量:1968㏄ 最高出力:233kW(317PS)/6000rpm 最大トルク:400Nm/3000~5400rpm 前輪モーター最高出力:52 kW/最大トルク:165Nm 後輪モーター最高出力:107kW/最大トルク:309Nm 駆動用バッテリー:18.8kWh EV走行k換算距離:73㎞ ハイブリッド燃料消費率13.3km/l(WLTCモード)トランスミッション:8速 使用タイヤ:275/35R22
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ボルボ)
「北欧の心」を理解する、彼女のライフスタイル フランスと日本の二拠点生活を送り、エシカルな暮らしを発信する杏さん。彼女がXC40に触れて真っ先に口にしたのは、スペックではなく「デザインと実用性の調和」[…]
洗練されたオールブラックスタイリング 特別限定車「ブラックエディション」は、洗練されたオールブラックのスタイリングを内外装に採用。XC90シリーズとしては初めて設定される。 エクステリアは、深みのある[…]
シリーズのフィナーレを飾る200台限定の特別なボルボ V60 Cross Country(クロスカントリー)は、1998年に登場したV70 XCをルーツに持ち、ボルボ伝統のエステートにSUVの機動力と[…]
人気モデルXC40の魅力をさらに高めた! 本モデルは、XC40の新エントリーグレードである「Essential B3」をベースとした初の特別限定車。標準モデルにはない特別装備を付加することで、快適性と[…]
高い環境意識のもとに生まれたスタイリッシュなEV ボルボ史上最も小さなEVとして、2023年11月に日本導入されたのがEX30だ。 サイズでいえば全長4235×全幅1835×全高1550㎜なので、日本[…]
最新の関連記事(SUV)
今週末に富士スピードウェイで開催された、S耐24時間レースの会場内でお披露目されたスバル・アセント。日米貿易合意を受けて施行された国土交通省の認定制度の利用を前提に、国内導入の検討が進んでいることが公[…]
洗練されたデザインと優れた使い勝手 日産自動車は、本日、米国市場で高い評価を得ているミッドサイズクロスオーバーSUV「ムラーノ」の日本市場への導入を発表し、注文受付もスタートさせた。これは今年2月に国[…]
「北欧の心」を理解する、彼女のライフスタイル フランスと日本の二拠点生活を送り、エシカルな暮らしを発信する杏さん。彼女がXC40に触れて真っ先に口にしたのは、スペックではなく「デザインと実用性の調和」[…]
悪路を制する「刷新されたラダーフレーム」 ランドクルーザーFJは、従来の「300」「70」「250」シリーズに加え、より幅広いユーザー層に「移動の自由」を提供することを目的に開発されたオフローダーモデ[…]
ホイールベース150mm延長が生んだ余裕の骨格 テスラの主力モデルとなるのが、毎年年間120万台ほどを売る、ミッドサイズSUVの「モデルY」だ。 その「モデルY」に新グレードが追加された。それが3列シ[…]
人気記事ランキング(全体)
日常使いと車中泊を完璧に両立するジャストサイズ キャンピングカー選びにおいて、多くのファミリー層が直面するのがベース車両のサイズ問題だ。休日のレジャーには大型のキャブコンバージョンが魅力的だが、平日の[…]
これまでのアイテムの不満を見事に解消するアイテムを発見! 少し古めのモデルに乗っていることもあり、最新の車両が当然のように装備している機能が搭載されていないということが多々ある。その1つが、アンビエン[…]
日本の自動車史に燦然と輝く「未来から来たスポーツカー」 1967年、国産初の量産ロータリーエンジン(RE)搭載車として産声を上げたコスモスポーツは、日本の自動車史にその名を刻む伝説のスポーツカーである[…]
車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽しんでいるユーザー[…]
ジムニーの収納不足を解決する専用バッグ ジムニー(JB64)、ジムニーシエラ(JB74)、ジムニーノマド(JC74)は、乗る楽しさを満喫できる一方で、ティッシュなどの日用品や車検証の置き場所に困ること[…]
最新の投稿記事(全体)
市販国内初のDolby Atmos対応ディスプレイオーディオ「DMH-SF1000」 なんといっても見逃せないのはディスプレイオーディオの「DMH-SF1000」だ。市販国内初の「Dolby Atmo[…]
これまでのアイテムの不満を見事に解消するアイテムを発見! 少し古めのモデルに乗っていることもあり、最新の車両が当然のように装備している機能が搭載されていないということが多々ある。その1つが、アンビエン[…]
日常使いと車中泊を完璧に両立するジャストサイズ キャンピングカー選びにおいて、多くのファミリー層が直面するのがベース車両のサイズ問題だ。休日のレジャーには大型のキャブコンバージョンが魅力的だが、平日の[…]
外観はイタリアのカロッツェリア「ヴィニャーレ」が手がけた。ヨーロピアンテイスト溢れる流麗なデザイン 当時の日本車としては群を抜いて洗練された美しいスタイリングだったコンパーノ。その外観はイタリアのカロ[…]
後方からの大逆転劇 2026年6月14日、大観衆が見守るサルト・サーキットで決勝が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)の7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース[…]
- 1
- 2



























