
“右折入庫禁止”は、文字通り駐車場内での右折による入庫を制限する看板のことを指します。スーパーや商業施設の駐車場を利用する際、”右折入庫禁止”という指示を目にしたことがある人も多いでしょう。しかし、この指示を無視した場合の具体的なリスクや罰則について、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。では右折入庫禁止を無視してしまった場合には、道路交通法違反に該当してしまうのでしょうか。
●文:月刊自家用車編集部
商業施設の駐車場で見かける「右折入庫禁止」とは?
そもそも道路標識には”本標識”と”補助標識”の2種類が存在します。本標識とは国土交通省や自治体が設置している標識で、下記の4種類に分類されます。
まずひとつ目は案内標識。目的地までの方向/距離などを示す標識です。2つ目は、道路上の危険を知らせる注意喚起/信号機があることなどを知らせる警戒標識。3つ目は規制標識で、駐車禁止/速度制限などを示します。そして4つ目は指示標識です。横断歩道/中央線などがこの標識に該当します。
補助標識とは、本標識の条件指定を示すために利用されている標識で、たとえば駐車禁止の標識には日時/区間などを示す補助標識が併設されている場合があります。
こういった本標識と補助標識の指示に違反した場合には、交通違反に該当します。しかし、スーパーや商業施設に設置されている”右折入庫禁止”の看板に法的な効力はありません。右折入庫禁止はあくまで施設者側の”お願い”に該当するため、警察に取り締まられることはないというわけです。
なお、スーパーや商業施設内は私有地扱いとなるので、余程のトラブルが起こらない限り警察が取り締まりを強化することはないでしょう。
“右折入庫禁止”を守らないことで取り締まられることはないようだ。
では、なぜこのような看板が設けられているのでしょうか。これには大きく2つの理由が存在します。
まずひとつ目の理由は、事故防止のためです。右折入庫はドライバーの視界が制限されやすく、特に子供/高齢者などの歩行者を見落としやすいとされています。商業施設の入り口はクルマの出入りが激しく、歩行者の視認が難しい場合があるため、一方向からの入場をお願いしていることが多いようです。
そして2つ目の理由は、スムーズな車両の流れを確保するためです。右折入庫をおこなうと、その後の駐車動作や出庫時に他のクルマの流れを妨げる可能性があります。これにより、駐車場内の車両の流れが滞ることが考えられます。
そのため、クルマの入場を一方向からに限定し、入出庫するクルマがスムーズに出入りできるようにする狙いがあるようです。罰則は存在しないものの、スーパーや商業施設を安全に利用するために、遵守することが推奨されます。
指示に従わずに事故を起こしてしまったらどうなる?
では”右折入庫禁止”の指示を無視して事故を起こした場合、どのような影響があるのでしょうか。
右折入庫禁止を無視して事故を起こすとどうなる?
事故の原因が”右折入庫禁止”の無視によるものであれば、過失の一因として考えられることにより、保険の適用が制限される可能性があります。すべての場合で適用が制限されるわけではなく、右折入庫禁止がありつつ意図的に無視している場合など、状況を考慮した上で適用判断がなされます。
このような違反行為は、反則点数の加算や罰金の対象となることもあります。
守らなくても罰則は課せられないが、非常に危険。入庫/出庫の際はより一層の注意が必要だ。
たとえば、公道に”車両横断禁止”の標識があった場合には、違反点数1点、反則金7000円が科される可能性があります。また、過失割合においても不利になってしまう場合があります。
たとえば、左折で入庫しようとしていたクルマを無理やり割り込んだ場合では、通常の事故よりも右折側の過失割合が高くなる可能性はゼロではありません。また、事故を起こすことで、ドライバーとしての信用が低下する可能性も考えられます。
これにより将来的に保険料が上がることや、事故に際して保険を適用した場合には、グレードが下がってしまうかもしれません。
もちろん重大な事故の場合には、罰金/反則点数など重い処分が下されてしまいます。スーパーや商業施設の駐車場における”右折入庫禁止”は、事故を防ぐための重要なルールです。
この指示を無視して事故を起こしてしまった場合には、違反として取り締まられ、罰金や反則点数が加算されてしまうこともあります。安全な駐車場利用のために、必ずルールを守りましょう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
車内には、活用できる部分が意外と多い カーグッズに対して、特に意識を払うことがない人でも、車内を見渡せば、何かしらのグッズが1つ2つは設置されているのではないだろうか。特に、現代では欠かすことができな[…]
ホイールベース拡大を感じさせない、巧みなパッケージ設計が光る 2012年に登場した初代CX-5は、魂動デザインとSKYACTIV技術を全面採用した、マツダ社内では6世代商品と呼ばれているシリーズの第一[…]
ホンダの電動スポーツは「プレリュード」だけじゃない Super-ONE Prototypeは、「e: Dash BOOSTER」をグランドコンセプトに、日常の移動を刺激的で高揚感あふれる体験へと進化さ[…]
カッコよくなっても、実用面の堅実さはしっかりと継承 低く伸びやかなボンネットから続くボディラインは、フロントウインドウからルーフ、リヤエンドまで優雅な曲線を描く。これは、生活に溶け込んだクルマという従[…]
●SUVの「死角」を減らす注目アイテム 人気のSUVだが、その車高の高さやボディサイズがもたらす「死角」は、ドライバーにとって常に付きまとう課題だ。カローラクロスも例外ではなく、運転席から遠い左前輪付[…]
最新の投稿記事(全体)
TMS2025で、次期マツダ2のスタディモデルを披露 MAZDA VISION X-COMPACT(マツダ ビジョン クロスコンパクト)は、マツダ2の後継モデルと目されているコンセプトモデル。 もちろ[…]
「一人のため」に設計された、新時代の「ショーファードリブン」 「センチュリーはトヨタ車じゃないから」とは、随分と昔にトヨタの開発者から聞いた言葉だ。その後も同様の話はたびたび耳にする。つまりセンチュリ[…]
無骨さが釣り人の心に刺さる! 実用性と快適性を兼備する釣り用キャンピングカー 釣り車ともいうべき車中泊仕様のデモカーをリリースするのは大阪府堺市に本社を構え、大阪、名古屋、埼玉に店舗を展開するユーアイ[…]
車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽しんでいるユーザー[…]
基本を無視すれば、無用のトラブルを引き起こすことも… 整備作業においてボルトやナットの脱着は避けて通れない基本中の基本の作業。それだけに、ソケットレンチやメガネレンチの使用頻度は必然的に高まる。が、ボ[…]
- 1
 - 2
 













  