
今年も日本最大級のレース「スーパー耐久シリーズ」が開催された。5月24~5月26日に24時間耐久レースが行われた「富士スピードウェイ」の来場者数は3日間で過去最高の5万4700人を達成。マッチこと近藤真彦氏が水素エンジン車で参戦するなど、大きな注目を集めている「スーパー耐久シリーズ」だが、どういうレースなのか分からない読者も多いだろう。この記事ではそんな読者に向けて、分かりやすく解説をしていく。
●文:月刊自家用車編集部
スーパー耐久シリーズの参戦車は市販量産車がベース
スーパー耐久シリーズ(S耐)は、1991年に「N1 耐久シリーズ」(N耐)としてスタートした。1998年に「スーパー耐久シリーズ」へと名称を変更し、以来30年以上続く人気のシリーズレースだ。参戦車両は、クラスによって世界規格のレーシングカーから市販車がベースのクルマなど様々で、メーカー以外のチューニングショップや販売店などの「プライベーター」と呼ばれる多くのチームも参戦。アマチュアからトッププロまで幅広い選手が出場しているのも大きな特徴となっている。
S耐はポイント制が導入されており、ポイントの累計で年間のシリーズ順位が決められる。与えられるポイントは各レースの距離や時間によって変動する。
レースは9つのクラスが混走!
参戦車両は排気量や規格などで細かくクラス分けされており、それぞれのクラスで順位を争う。2021年には、ST-Qクラスが新設され、他のクラスに該当しないスーパー耐久機構(STO)が認めたメーカー開発車両が参戦。各メーカーの水素エンジン車やカーボンニュートラル(CN)燃料のクルマが出場可能となった。全クラスが一斉にスタートし混走となるため、オーバーテイクシーンも見どころだ。
ST-X~ST-5の各クラス解説
ST-Xクラスの車両
●ST-X
国際自動車連盟(FIA) GT3公認車両、GT3規定に準ずる車両のクラス。S耐の総合優勝を争うトップクラスで、欧米の高級スポーツカーやレクサスRC、日産GT-Rがベースの車両が多い。
参戦車両のベース:メルセデス AMG GT、レクサス RC F、日産 GT-R etc…
●ST-Z
SROモータースポーツグループ(SRO)GT4 公認車両、GT4規定に準ずる車両のクラス。2017年に新設されたクラスだが、現在では10台以上が参戦し激戦が行われている。
ベース車両:ポルシェ ケイマン GT4 RS、トヨタ GRスープラ、日産 フェアレディZ etc…
●ST-TCR
FIA/世界スポーツコンサルティング(WSC)により公認されたTCR車両、TCR規定に準ずる車両のクラス。2000cc以下のターボエンジンを搭載した4ドア、5ドアのFFがTCRに該当する。今大会でのエントリーは無し。
ベース車両:ホンダ シビック タイプR、アウディ RS3 etc…
●ST-Q
他のクラスに該当しない、STOが公認した開発車両のクラス。水素、CN燃料、バイオ燃料などの車両が参戦。
ベース車両:トヨタ GR カローラ(水素エンジン)、マツダ ロードスター(CN燃料)、マツダ マツダ3(バイオ燃料) etc…
●ST-1
ST-2~ST-5に該当しない車両のクラス。これまでは、排気量が3500ccを超える車両のクラスだった。現在はKTMのみがエントリーしている。
ベース車両:KTM X-BOW GT-XR、アストンマーティン ヴァンテージ GT8 etc…
●ST-2
排気量が2401~3500ccの4WD、FF車両のクラス。
ベース車両:トヨタ GRヤリス、ミツビシ ランサーエボリューション、ホンダ シビック タイプR etc…
●ST-3
排気量が2401~3500ccのFR車両のクラス。
ベース車両:日産 フェアレディZ34、レクサス RC350 etc…
●ST-4
排気量が1501~2400ccの2WD車両のクラス。参戦車両の大半をGR86が占めている。
ベース車両:トヨタ GR86、マツダ ロードスター RF etc…
●ST-5
排気量が1500cc以下の車両のクラス。フィットやヤリスなどの街中で見かけるクルマが参戦している。
ベース車両:ホンダ フィット、トヨタ ヤリス、マツダ ロードスター etc…
また、ST-Qクラス以外では各大会の結果によってウェイトハンデが導入される。
●ST-X/ST-1クラス:1位30kg、2位20kg、3位10kg
●ST-Z/ST-TCR/ST-2/ST-3クラス:1位25kg、2位15kg、3位10kg
●ST-4/ST-5クラス:1位20kg、2位15kg、3位10kg
2024年は第2ラウンドまで終了!残るは5ラウンド
先日行われた富士 SUPER TEC 24時間レースが終了し、残るは5ラウンドとなった。富士スピードウェイの来場者数が最多を記録するなど、盛り上がりを見せているスーパー耐久シリーズに、少しでも興味が沸いた読者は、ぜひサーキットに足を運んでみてほしい。
第3ラウンド スーパー耐久レース in オートポリス (5h×1レース)
日時:7/27-28
場所:オートポリス
第4ラウンド もてぎスーパー耐久
日時:9/7
場所:モビリティリゾートもてぎ
第5ラウンド SUZUKA S耐
日時:9/28-29
場所:鈴鹿サーキット
第6ラウンド スーパー耐久レースin岡山 (3h×2レース)
日時:10/26-27
場所:岡山インターナショナルサーキット
第7ラウンド S耐ファイナル 富士 (4h×1レース)
日時:11/16-17
場所:富士スピードウェイ
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
日本の道路事情にジャストフィット? ランドクルーザーFJ ランドクルーザーFJの車名を聞くと、かつてラインナップされていたFJクルーザーを想起させる。実際、ゴツめの外装デザイン処理やフロントグリルの造[…]
車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽しんでいるユーザー[…]
暖房は燃費ゼロ、という思い込みが無駄を生む 冬の暖房はエンジンの排熱を使うため、燃費に影響しにくいと言われる。そのため、暖房操作について深く考えたことがない人も多いはずだ。ただし、この認識を鵜呑みにし[…]
通称「8.5」へ進化。最新ゴルフが突きつける不変の価値 2021年に日本導入された8代目ゴルフは、2024年にマイナーチェンジを実施。内外装や機能装備が大刷新されたことで、通称「8.5」とも呼ばれてい[…]
これは走るタイニーハウス? 美しい家具が機能的に設えられたくつろぎのスペース 岡モータースは香川県高松市を拠点にキャンピングカーの製造•販売を展開。同社の人気軽キャンパーがミニチュアクルーズシリーズで[…]
最新の投稿記事(全体)
人気モデルXC40の魅力をさらに高めた! 本モデルは、XC40の新エントリーグレードである「Essential B3」をベースとした初の特別限定車。標準モデルにはない特別装備を付加することで、快適性と[…]
モデリスタTOKYO AUTO SALON 2026会場イメージ図 ブランドの象徴として位置づけられるコンセプトモデル MODELLISTAは、TOKYO AUTO SALON 2026への出展にあた[…]
2026年1月1日(木)から一部グレードの価格を改定 ルノー・ジャポンは原材料費や物流費などの高騰を受け、2026年1月1日(木)より「ルノー キャプチャー」および「ルノー アルカナ」の一部グレードの[…]
Team GAZOOから始まった「もっといいクルマづくり」 GRのルーツは2007年、当時マスタードライバーを務めていた成瀬 弘氏と、副社長であった豊田 章男氏(現・代表取締役会長)が立ち上げた「Te[…]
- 1
- 2













