
憧れだったクルマに、懐かしいクルマ。知らない人には新鮮に映るかもしれない、愛しき旧車たち。そんな旧車を実際に保有するオーナーに、ご自慢の愛車をご紹介いただこうという本企画。第2弾はセリカ リフトバック。日本初のスペシャリティカー、初代セリカの派生車だが、単にリヤまわりを変更しただけではない。そこにはたしかに、トヨタ2000GTの薫りがあった。
●文/写真:坪内英樹(オートメカニック編集部)
こんなクルマ:独自の美しいスタイリングでファンを魅了
日本初のスペシャリティカーとして、1970年に登場した初代セリカ。スポーツカーのようなスタイリングや走行性能を持ちながら、1960年代までのスポーツカーには希薄だった快適性を有するというセリカは、日本だけでなく北米や欧州でもヒットモデルとなる。
そんな初代セリカに、新たなるスタイリングが加わったのが1973年。もとはトランクを有する2ドアハードトップクーペだったわけだが、ルーフ後端から車体後端になだらかに下がっていくハッチバックスタイルを採用したのである。
そのスタイリングを当時のトヨタはリフトバックを名付け、車名もセリカ リフトバック(以下LB)と命名。
スタイリングは、リヤまわりが変更されただけではない。LBスタイルに合わせ、ボンネットをより長くするなどの変更が加わり、よりスタイリッシュなものとなった。ちなみにそれらの変更に伴い、全長/全幅/全高とも拡大されている。
メカニズムは、初代セリカと基本的には同様だが、LBのデビューに合わせてセリカに採用された2L DOHCの18R-Gを筆頭とする2Lエンジンが、LBのメインとなる。
【1973〜 TOYOTA CELICA LIFTBACK 2000GT】
セリカLBのテールランプは、一目でLBだとわかるデザインを採用し、当時、クルマ好きから人気を博す。1975年のマイナーチェンジまでは5分割、それ以後は3分割となる。
エンジンは、2Lの排気量を誇る直列4気筒DOHCの18R-G。後にEFIとなるが、この時代はソレックス40を2機組み合わせているので、旧車らしい吸気音を響かせる。
5眼メーターを有するインパネ。GTはフルチョイスシステムの設定がなく、本来、黒のみだが、取材車はレザー仕様に用いられた茶系のものが組み合わせられている。
元祖スペシャリティカーのセリカは、パワーウインドウの設定はあったが、それはあくまでもオプション設定。パワーウインドウが装着されている車両は、かなり希少だそう。
グレード | 2000GT | 1600GT | |
車両型式 重量 | 車両型式 | RA25-MQ | TA27-MQ |
重量(kg) | 1040 | 995 | |
寸法 | 全長(mm) | 4215 | 4215 |
全幅(mm) | 1620 | 1620 | |
全高(mm) | 1280 | 1280 | |
ホイールベース(mm) | 2425 | 2425 | |
エンジン | エンジン型式 | 18R-G | 2T-G |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒DOHC | 水冷直列4気筒DOHC | |
排気量(cm3) | 1968 | 1588 | |
最高出力kW(PS)/r.p.m. | -/145/6400 | -/115/6400 |
オーナーズポイント: トヨタ2000GTの雰囲気薫るスタイリング
そんなセリカLBのトップグレードとなる2000GTを、現在でも美しく磨き上げて乗っているのが「18歳の時に、初めての愛車としてセリカに乗っていたんです」という菊地さんだ。
その初めての愛車となったセリカは、10年乗って手放したそうだが「定年してから、またセリカに乗りたくなって、3年前にこのLBを手に入れたんですよ」
その魅力を伺うと、「トヨタ2000GTを意識して、きっと作ったんだろうなぁって思わせるスタイリングが一番の魅力ですね。前ヒンジのボンネットとか、Aピラーの傾斜とか、そのあたりからトヨタ2000GTの雰囲気を感じられるんですよ」
このセリカLBは、おおよそ四半世紀もの間、車庫で眠っていたという個体。
「愛知のクルマ屋さんが自分で乗るつもりで、仕上げていたものを譲ってもらったんです。エンジンは自分で組み上げました」
このセリカLBには当初からクーラーが付いていたが、残念ながら作動する状態ではなかった。
「つい最近、修理して使えるようになったんですよ。これで真夏でも、セリカLBを楽しめますね! 」
若き日のご自分を思い出させてくれるセリカLBとの生活を、満喫中の菊地さんであった。
オーナーの菊地さんは、自動車整備の仕事をされていたそう。そんな経験を活かし、エンジンのオーバーホールなどを自らの手で行っているそうだ。
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