
前のクルマが跳ね上げた小石がフロントガラスに直撃! その小石が当たった場所には小さなキズがくっきり…。こんな経験をしたドライバーは少なくないんじゃないですか。小さなキズとはいえ、放置しておくとキズがどんどん広がってしまう危険があります。修理に出すとかなりの出費が強いられるのは明白。なので、小さなキズ程度ならDIYで修理したいもの。ということで、市販の修理キットを使ってウインドウリペアにチャレンジしてみました。
●写真/文:オートメカニック編集部
完成度の高い補修キットが、DIY市場に投入されている
フロントガラスに採用されている「合わせガラス」は、2枚のガラスの間に柔軟な「中間膜」を挾み込んだ構造。ヒビ割れた程度なら補修可能で、DIY向けの補修キットも市販されている。
とはいえ、初期の製品はフレームの固定が甘く作業中に外れるなど、ツールとしての完成度は今一歩。DIYで簡単には直しづらかった。
そんな状況が近年一変。完成度の高いツールを入組した補修キットがDIY市場に投入されていることをご存知だろうか?
今回は、その中から最新のキットをチョイスして、撮影車に生じていた魚のうろこのような形状の「ブルズアイ」の補修を行うことにした。
【実際に使用した補修キット】
中心部に残っているガラスの破片や異物を取り除く
まずは、キットに付属するカミソリで、キズの中心部に残っているガラス片を取り除く。すると、跳ね石が当たった際に押し込まれていた異物が露わとなる。下の写真で、茶色く見えるのがその異物で、これも確実に取り除いておく必要がある。
裏側(車内側)からキズを見た比較写真。異物を取り除くと中心部の黒い影が消え、キズ溝への通路が開通した。
左が異物を取り除く前、右が異物を取り除いた後のキズ。
キズ中心(衝撃点)に合わせてポジショニングツールを固定
ガラスの破片と異物の除去が完了したら、次に、ポジショニングツールの中心穴をキズ中心(衝撃点)に合わせ、吸盤面を押し付けてガラス面にしっかり密着(固定)させる。
ポジショニングツールをキズの中心に合わせて設置する。
次に、ポジショニングツールにレジンチャンバーを組み付ける。そして、先端のラバーマウスがガラス面に均一に軽く接するよう、レジンチャンバーを時計回りに締め込んでいく。
補修液を注入し、プレッシャードライバーを締め込む
補修液のノズル先端をカットし、レジンチャンバーの奥へ補修液を数滴注入する。そして、プレッシャードライバーをレジンチャンバーに組み付ける。
レジンチャンバーが共回りしないよう押さえながら、ラバーマウスが大きく開くまでプレッシャードライバーを締め込む。補修液が浸透した部分は透明になり、浸透しきれずに空気が残っている部分(赤丸位置)は影となってクッキリ見える。
エアが抜けて隅々まで補修液が浸透するまで放置する
10〜15分ほど放置して浸透しきれない時は裏からドライヤーで熱してみる。表と裏に生じる温度差でガラスが収縮しエアの抜けが促進される。
キズ中心部を指先でトントンと軽く叩いて振動を加えるのも効果的。それでも抜けきらない時はプレッシャードライバーをさらに締め込んで放置。
この一連の作業を繰り返して、補修液をキズの奥に浸透させていく。根気よく進めていく必要がある。
透明フィルムで空気を遮断し、紫外線に当てて硬化させる
エアが抜けきったらプレッシャードライバーとレジンチャンバーを一緒に緩めてガラス面へのプレッシャーを解除し、吸盤を外してポジショニングツールごと取り外す。
エアが抜けたら、ポジショニングツールを取り外す。
ポジショニングツールを外したら、キズ面に補修液を1滴垂らして、キットに付属する透明フィルムを被せてキズを完全に覆う。
この状態で太陽光もしくはUVライトを5〜15分ほど当てる。補修液はこのフィルムによる空気の遮断と紫外線によって初めて硬化を開始する。
紫外線によって、補修液が硬化を開始する。UVライトの照射も効果があるようだ。
透明フィルムを剥がし余分な補修液を削り取って完成
透明フィルムの端を軽く剥がし、キズの周囲にはみ出ている補修液で硬化しているかどうか確認する。まだ、硬化していない場合は透明フィルムを元通り密着させ、さらに数分間太陽光に当てる。
透明フィルムを軽く剥がして硬化具合をチェック。
補修液が完全に硬化したら透明フィルムを剥がし、付属のカミソリの刃をガラス面に垂直に当てながら擦るようにして、余分な補修液を削り取って完成だ。仕上がりは、下の写真の通り。若干、修理跡が残るものの大きな目立つキズはほぼなくなり、連鎖してガラスのヒビが広がる心配はなくなった。
【実際に使用した補修キット】
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
ナットの取り外しの基本を無視すると、トラブルの原因に… 整備作業においてボルトやナットの脱着は避けて通れない基本中の基本の作業。それだけに、ソケットレンチやメガネレンチの使用頻度は必然的に高まる。が、[…]
社内のエンスー達による趣味的な活動から始まったロードスターの開発 工業製品の商品企画は、マーケットイン型とプロダクトアウト型に大別できる。市場のニーズを調べつくして、「これこそがあなたの必要としている[…]
どんな車にも絶対ついているのがサンバイザー 車種を問わず、あらゆるタイプの車に装備されているサンバイザー。軽自動車でも高級車でも、オープンカーでも装着されていることが多い。サンバイザーは、その名の通り[…]
新型プリウスオーナーに朗報! 最新のフロントガラス周り事情に対応した内窓専用ワイパー 今回紹介するのは、内窓専用ワイパーの『エクスクリア360ワイパーフラット』。幅広いカー用品を展開するカーメイトから[…]
ネジはナメやすい! だからこそ、ちゃんとした外し方をマスター まず断っておきたいのが、本記事で紹介するテクニックは、自動車整備を前提にしている。それ以外のシチュエーションは想定していないのでご注意頂き[…]
最新の投稿記事(全体)
イベントの概要はこちらをご参照ください。 今回のご紹介は、イベント終盤に開催される抽選会についてです。毎年数十万円の景品が、イベントの入場券を持っているだけでもらえるチャンスがあるラッフル抽選会ですが[…]
外装塗装の変更に伴い、価格改定も実施 今回実施される一部改良では、シビックRSやフリードに導入されている新たな外装塗料を採用。塗料に使用するクリア材を、従来のアクリルメラミン素材から、より機能が向上し[…]
コーティング剤が人気だが、ワックス派も確実に存在 簡単系コーティング剤は、カー用品店でも独立したコーナーが設けられるほど人気のジャンルだ。その立役者の1つが、シュアラスターのゼロウォーターだ。とは言う[…]
アウトランダーPHEVのコア技術を、専門の技術説明員が解説 三菱自動車ブースの主役は、2024年10月に大幅な改良を施し、市場に投入されたフラッグシップモデルのアウトランダーPHEV。リアル展示会のブ[…]
408&308で好評のボディカラー「オブセッションブルー」を採用 今回導入される「GT Obsession Blue」は、GTグレードに、2008初採用のボディカラー「オブセッションブルー」をまとった[…]
最新の関連記事(大人気商品)
自力ではほぼ無理? 拭き取りにくいフロントガラスの奥の方問題 車種によって異なるが、例えばプリウスのように、フロントガラスが極端に寝かされたデザインだと、奥の方まで手が入りにくく、洗車の際や窓が曇った[…]
コンパクトなサイズのディスプレイ。取り付けは超カンタン どうしても必要というワケではないが、なんとなく気になるグッズやアイテム、皆さんもあるのではないだろうか? 今回紹介するのは、自車の車速や方角など[…]
シートサイドのスペースを有効活用できるUSB付きポケット 車のシートサイドや、シートとコンソールにある隙間などはデッドスペースになっていることが多い。小銭などの小物を落としてしまうことも多く、一度落と[…]
「サクラチェッカー」Amazonのサクラ度を見抜くWebサービス 忙しさのあまり買い物に行けないユーザー御用達のAmazonは、凄まじい数の商品が並ぶ通販サイトだ。しかし、そこに潜む闇は浅いものではな[…]
アウトドアショップで発見「ポーチマイクロファイバーレンズクロス」は、車に積んでおきたい便利グッズ アウトドアショップで見つけた商品は「ポーチマイクロファイバーレンズクロス(チャムス)」というもの。一見[…]
人気記事ランキング(全体)
ナットの取り外しの基本を無視すると、トラブルの原因に… 整備作業においてボルトやナットの脱着は避けて通れない基本中の基本の作業。それだけに、ソケットレンチやメガネレンチの使用頻度は必然的に高まる。が、[…]
社内のエンスー達による趣味的な活動から始まったロードスターの開発 工業製品の商品企画は、マーケットイン型とプロダクトアウト型に大別できる。市場のニーズを調べつくして、「これこそがあなたの必要としている[…]
どんな車にも絶対ついているのがサンバイザー 車種を問わず、あらゆるタイプの車に装備されているサンバイザー。軽自動車でも高級車でも、オープンカーでも装着されていることが多い。サンバイザーは、その名の通り[…]
新型プリウスオーナーに朗報! 最新のフロントガラス周り事情に対応した内窓専用ワイパー 今回紹介するのは、内窓専用ワイパーの『エクスクリア360ワイパーフラット』。幅広いカー用品を展開するカーメイトから[…]
ネジはナメやすい! だからこそ、ちゃんとした外し方をマスター まず断っておきたいのが、本記事で紹介するテクニックは、自動車整備を前提にしている。それ以外のシチュエーションは想定していないのでご注意頂き[…]
最新の投稿記事(全体)
イベントの概要はこちらをご参照ください。 今回のご紹介は、イベント終盤に開催される抽選会についてです。毎年数十万円の景品が、イベントの入場券を持っているだけでもらえるチャンスがあるラッフル抽選会ですが[…]
外装塗装の変更に伴い、価格改定も実施 今回実施される一部改良では、シビックRSやフリードに導入されている新たな外装塗料を採用。塗料に使用するクリア材を、従来のアクリルメラミン素材から、より機能が向上し[…]
コーティング剤が人気だが、ワックス派も確実に存在 簡単系コーティング剤は、カー用品店でも独立したコーナーが設けられるほど人気のジャンルだ。その立役者の1つが、シュアラスターのゼロウォーターだ。とは言う[…]
アウトランダーPHEVのコア技術を、専門の技術説明員が解説 三菱自動車ブースの主役は、2024年10月に大幅な改良を施し、市場に投入されたフラッグシップモデルのアウトランダーPHEV。リアル展示会のブ[…]
408&308で好評のボディカラー「オブセッションブルー」を採用 今回導入される「GT Obsession Blue」は、GTグレードに、2008初採用のボディカラー「オブセッションブルー」をまとった[…]