
クルマを自分らしく仕立てる「カスタマイズ」。ホンダアクセスが実施した調査によれば、ドライバーがこれまでにクルマのカスタマイズへ投じた金額の平均は78.1万円に達し、3年前の調査から25万円以上も増加しているという。DIY需要の高まりやSNSの影響で、若年層を中心にカスタマイズ文化はますます広がっているようだ。趣味や実用、防災対策まで、多様化するクルマのカスタマイズ事情を探ってみたい。
●文:月刊自家用車編集部
カスタマイズ経験は当たり前の時代に
ホンダアクセスが全国の20歳から69歳のドライバー1000人を対象に行った調査によると、クルマを購入したあとでもカスタマイズできることを知っていた人は9割を超えた。とくに男性や高年齢層ほど認知度が高く、いまや「カスタマイズできるのは当たり前」という感覚が広く浸透している。マイカーを自分好みに仕立てることは、単なる趣味を超えて生活の一部として定着しているようだ。
人気のカスタマイズはタイヤまわりと装備の刷新
これまで実際に行ったカスタマイズで最も多かったのはホイール交換で、次いでドライブレコーダーの装着やカーナビ交換が上位に挙がった。安全や快適性を高める装備の刷新と、見た目を大きく変える足回りの手入れが人気の中心となっている。男性ではマフラーやステアリング交換など機械系パーツに積極的な傾向がみられ、女性は実用性や安心感に基づくカスタマイズが多いという。
若者が惹かれるレトロとSNSの影響力
カスタマイズのタイプをみると、オーディオや音響にこだわる人が多い一方、20代や30代ではレトロ系を選ぶ人が目立った。古き良きデザインやスタイルに魅力を感じる若者が増えている背景には、SNSやYouTubeの存在があるようだ。調査でも「SNSや動画を見てカスタマイズに興味を持った」という回答が20代で3割を超え、従来の雑誌や知人の影響に加えて、新しい情報源が大きな役割を果たしていることがわかる。
目的は「自分好みの外観」と「快適な空間」
クルマをカスタマイズする目的として最も多かったのは、外観を自分好みにすること。次いで車内を快適にすることや、音質を高めるといった要望が続いた。40代では乗り心地の改善、60代では加速性能や車内の快適性を重視するなど、年代ごとにニーズの違いが見える。カスタマイズは単なる飾りではなく、ライフステージや使用環境に合わせた実用的な意味を持つようになっている。
平均78.1万円、支出は3年間で大幅増加
これまでにカスタマイズへ投じた総額の平均は78.1万円。2022年の調査と比べると25万円以上も増えており、支出額の伸びは顕著だ。特にサーキット系やドリフト系など本格派は100万円を軽く超えており、趣味に惜しみなく投資する層が存在することがうかがえる。新車の納期遅延や中古車人気の高まりも相まって、購入費を抑えてカスタマイズに資金を振り分けるという考え方が広がっているようだ。
DIYカスタムが急増、ライトユーザーも参入
注目すべきはDIYによるカスタマイズの増加だ。経験があると答えた人は全体の56%に達し、3年前から15ポイント近く増えている。ライトバルブや車内灯の交換といった手軽なものから、シフトノブやステアリングといった操作系まで幅広い。カー用品店やネット通販の普及により、必要なパーツを気軽に入手できる環境が整ったことも後押ししている。DIYは費用を抑えるだけでなく、愛着を深める手段としても支持を集めている。
純正と社外品、イメージの違い
パーツの購入先をみると、純正品ではカーナビやホイール、ドライブレコーダーが人気で「安心感」や「品質の高さ」が評価されている。一方で社外品はホイールやオーディオ、マフラーが上位に入り「価格が手ごろ」「デザインが良い」「種類が豊富」といった理由が支持されている。純正と社外品、それぞれの特性を理解し、使い分けるユーザーが増えている点も現代的な傾向だといえる。
防災やデートシーンにも広がる価値観
クルマをカスタマイズする理由は実用や趣味だけにとどまらない。ドライブデートでは「見た目をカッコよくしたい」「車内を快適にしたい」と答えた人が高く、30代では8割が同意している。また、車中泊仕様へのカスタマイズを「防災対策になる」と考える人も7割に達した。カスタマイズは個性を表現する手段であると同時に、家族やパートナーと過ごす時間や非常時の備えにまでつながっているのだ。
カスタマイズカーが似合う芸能人
カスタマイズカーをテーマにして、ぞれぞれのイメージに合う芸能人についても調査している。アウトドア系カスタムが似合うと思う芸能人では1位に「ヒロミさん」、2位に「所ジョージさん」、そして3位に「ヒロシさん」が続いている。
レトロ系カスタマイズカーでは、ダントツの1位に「所ジョージさん」、2位「ヒロミさん」「堺正章さん」が続いた。
ラグジュアリー系カスタマイズカーでは、男性芸能人では「GACKTさん」、女性芸能人では「叶姉妹」が1位となり、2位を大きく引き離す形となっていた。
今後の関心は安全と快適性の両立へ
今後やりたいカスタマイズとしてはホイール交換やドライブレコーダー装着が依然として上位を占めた。外観の刷新と安全性の確保という二つの軸が重視されていることが見て取れる。特に若い世代ほど「中古車を安く買って自分好みに仕立てる」という発想が強く、長い納車待ちを嫌ってカスタマイズに資金を注ぐ流れが続きそうだ。クルマは単なる移動手段から「自分らしさを表現する空間」へと進化している。
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