「えぇ…どういう状況?」「違反が違反を呼ぶ…」夜間に閉鎖する大黒PA。迷惑行為は外国人観光客まで…何が起こっている?│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

「えぇ…どういう状況?」「違反が違反を呼ぶ…」夜間に閉鎖する大黒PA。迷惑行為は外国人観光客まで…何が起こっている?

「えぇ…どういう状況?」「違反が違反を呼ぶ…」夜間に閉鎖する大黒PA。迷惑行為は外国人観光客まで…何が起こっている?

首都高の人気スポットとして知られる「大黒パーキングエリア」。美しい夜景と多彩なクルマが集う場所として有名だが、近年その魅力の裏でトラブルが増えている。騒音や違法改造車、さらには外国人観光客によるマナー違反など、利用者が安心して立ち寄れない状況も生まれている。時には夜間封鎖という厳しい措置まで取られるこの現場で、いったい何が起きているのか。

●文:月刊自家用車編集部

首都高屈指の人気パーキングエリア「大黒PA」とは

神奈川県横浜市鶴見区に位置する「大黒パーキングエリア(大黒PA)」は、首都高速道路を利用するドライバーにとって重要な拠点だ。ベイブリッジや湾岸線など複数の路線にアクセスできる立地に加え、海を望む開放的な景観が人気を集めている。

施設内には飲食店やコンビニエンスストア、休憩スペースなどが整い、一般のドライバーはもちろん、長距離トラック運転手や観光客にも欠かせない場所となっている。さらにEV(電気自動車)向けの急速充電ステーションも設置され、時代に合わせた利便性の高さも特徴だ。

しかしその利便性と人気の高さが、近年思わぬ問題を生み出している。特に週末の夜間、PAの一時閉鎖が繰り返されるという異例の事態が続いている。

夜間封鎖の背景にある「迷惑行為」の数々

大黒PAが閉鎖される理由として挙げられるのが、利用者によるマナー違反や不法行為の増加だ。特に目立つのが、改造車やスーパーカー、バイクによる集会。深夜になると高音のエキゾーストノートや大音量の音楽がPA内に響き渡り、一般の利用者が立ち寄りにくい状況が生まれている。

中には違法改造を施した車両も多く、エンジンを空ぶかしして周囲に騒音をまき散らすケースも少なくない。さらに、大型車用の駐車スペースを占拠する行為や、長時間の無断駐車も問題となっている。これにより、仕事で立ち寄るトラックドライバーや家族連れの利用者が困惑する場面も多い。

PAは本来、すべてのドライバーが安心して休憩できる場所であるはずだが、その原点が揺らぎつつある。

「クルマの聖地」が抱える二面性

大黒PAは、国内外のクルマ好きを惹きつける“聖地”として知られている。スーパーカーやチューニングカーが一堂に会する光景は、確かにクルマ文化の一側面として魅力的だ。SNSやYouTubeなどでも頻繁に話題となり、ファンの交流の場にもなっている。

しかし、その“盛り上がり”が度を越すと、PAの機能そのものを阻害してしまう。一般客にとっては騒がしい場所になり、警察や管理者が出動せざるを得ない事態に発展することもある。

つまり、大黒PAは「クルマ文化の象徴」であると同時に、「秩序が崩れるリスクを抱える場所」でもあるのだ。

外国人観光客も巻き込む“迷惑連鎖”

最近では、海外から訪れる観光客のマナー違反も新たな問題になっており、違反が違反を呼ぶ状態だ。SNSを通じて大黒PAの存在が広く知られるようになり、「日本のクルマ文化を体感したい」と訪れる外国人が急増した。

しかし、PAの構造や交通ルールを十分に理解しないまま、徒歩で侵入するケースが相次いでいる。外壁を乗り越えて入場したり、閉鎖中に取り残されてしまう例もある。中にはタクシーで訪れたものの、PAが封鎖され帰れなくなる観光客まで出ているという。

こうした行為は安全面でも重大な問題を引き起こす。ドライバーと歩行者が交錯する場所では事故の危険性が高まり、PAとしての安全運用が困難になるのだ。

封鎖は「罰」ではなく「安全確保」のための措置

大黒PAの夜間封鎖は、単なる罰則ではなく、安全確保を目的としたものだ。警察と高速道路会社は、利用者や周辺地域への影響を最小限に抑えるため、特定の時間帯に一時閉鎖を実施している。

閉鎖時間帯は状況により異なるが、多くの場合は週末の夜20時台から翌朝3時頃まで行われる。PA内の店舗は21時前後に営業を終えることが多く、利用者が退出しやすいタイミングに合わせて封鎖準備が進められるという。

閉鎖中でもトイレなど一部の設備は利用可能だが、EV充電などが必要な場合はスタッフの判断で対応される。管理側も利用者の利便性を完全に奪うことは避け、可能な限り柔軟に対応している。

一時的な封鎖では根本解決にならない

ただし、この夜間封鎖はあくまで“応急処置”にすぎない。根本的な問題を解決するには、利用者一人ひとりの意識変化が欠かせない。

「ちょっとだけ」「自分だけは大丈夫」という小さな油断が、結果的に施設全体の閉鎖を招く。PAは公共の空間であり、誰かが迷惑をかければ、すべての利用者がその影響を受けることになる。

クルマ文化を守るためにも、ルールを理解し、互いに思いやる姿勢が求められている。大黒PAはその象徴的な場所であり、ドライバー同士のマナー意識が問われているのだ。

「守る」ことでしか未来は続かない

大黒PAの封鎖問題は、単なる騒音や違法行為の話にとどまらない。クルマを愛する人々の行動ひとつひとつが、公共の信頼を左右する要素となっている。

夜景を眺めながら仲間と語らう。スーパーカーを眺めて夢を膨らませる。そんな瞬間を守るためにも、マナーを軽視してはならない。誰かがルールを破れば、その場所はすぐに失われてしまう。

大黒PAを「閉ざされた場所」にしないために――。クルマを愛するすべての人に求められるのは、ほんの少しの自制心と、他者への敬意だ。

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