オーテック&ニスモの恒例イベント!北海道や九州から、過去最高388台が集結!│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

オーテック&ニスモの恒例イベント!北海道や九州から、過去最高388台が集結!

オーテック&ニスモの恒例イベント!北海道や九州から、過去最高388台が集結!

2025年11月5日、見事に晴れ渡った海に臨む大磯ロングビーチにて、「AOG湘南里帰りミーティング2025」が実施された。初回開催の2004年より21年目となる本年は、遠く北海道や九州からAOGの面々634名が駆け付けた。集まった車両はなんと過去最高の388台だ!

●文&写真:鈴木ケンイチ

AOGとは? 湘南の意味は? どんな特徴があるの?

ちなみにAOGとは「オーテック・オーナーズ・グループ」の略だ。そしてオーテックとは、日産のカスタマイズ・ブランドであり、それを実施する湘南に本拠を構える日産のグループ会社だ。かつてはオーテックジャパンと名乗っていたカスタマイズ部門は、2022年にNISMO(ニスモ)で知られる日産モータースポーツ部門と合併し、現在は日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社(通称NMC)と改称。今回のイベントは、そんなNMCの手掛けた日産車のオーナーが、本拠地である湘南に里帰りするものとなる。

オーテック・ブランドは1980年代から続く長い歴史があり、NISMO仕様の製造にも関わっている。またフルコンプリートの限定生産モデルだけでなく、ライトな量産カスタムまでが含まれる。そのため、オーテックやニスモの名のついた新旧の特別仕様車だけでなく、ミニバンのVIPグレード、ライダーやハイウェイスターといったライトなカスタムまでが対象となっている。ユニークなのは、カスタマイズカーの集いでありつつも、メーカー市販そのままというクルマがほとんどであるということ。お金をかけたカスタム自慢ではない、カスタムカーのオーナーズイベントという点もユニークなところだろう。

西部警察の演奏をバックに最新モデルでゲストが登場

「AOG湘南里帰りミーティング2025」は、日産自動車吹奏楽団による、かつての人気ドラマ「西部警察」のテーマの演奏をバックに、白バイとオーテック製作のR33スカイライン4ドアGT-Rの先導のもと、オーテック仕様の新型リーフに乗ったゲストの登場からスタートした。ゲストは、スーパーGT500の23号車「MOTUL AUTECH Z」のドライバーである高星明誠選手と、2025AUTECHレースアンバサダーの高岡みほさんだ。高星選手は、地元出身で学生時代には、イベント会場である大磯ロングビーチでアルバイト経験があったと告白し、大いに場を盛り上げた。

開会式では、神奈川県警の白バイとオーテック製のR33GT-Rの先導によるゲスト入場が行われた。

オーテック仕様の新型リーフに乗った、スーパーGT500の23号車「MOTUL AUTECH Z」のドライバーである高星明誠選手と2025AUTECHレースアンバサダーの高岡みほさん。

毎年実施される参加者への3賞の受賞者。左から、遠来賞(西南)が佐賀県武雄市のKuroneko E52さん。遠来賞(北東)の北海道室蘭市ぬまっち様。過走大将(最も多く走行距離が多い)のが茨城県のサンプラスさんで、プリメーラオーテックバージョンで走行38万8500㎞を記録する。

グッズ販売に並ぶ長蛇の列。今回は、古いエンブレムの再生産品が目玉として用意された。

モノづくり体験も大人気コンテンツのひとつ。自分の手でメダルを磨くメダルづくりや、型押しのレザーキーホルダーなどを作る。

発表されたばかりの新型「エルグランド」のオーテック仕様を、VR画像のみで公開した。撮影NGなので、ここでしか見ることのできないものだ。

タイヤ付きの台の上に形の異なるボディを載せ、坂を下る速さで、空力効果を確認できるという空力体験ブース。

NMC社員による展示で注目となっていたのは……

ゲスト登場の後は日産自動車吹奏楽団によるポップスの演奏が披露された。AOGの参加者は、演奏を聞く人、販売や展示に向かう人、久しぶりに会う友人と話の花を咲かせる人など、思い思いに開会式が行われたメインステージから離れてゆく。

さっそくオーテック関連グッズとモノ作り体験コースには、長蛇の列が生まれていた。グッズとしては古いオーテックのエンブレムを再生産したものが目玉。また、今年は子ども向けに、遊びながら空力の効果を体験できる空力体感コーナーが新設されていた。展示の中でもトピックと言えるのが、公開されたばかりの新型エルグランドのオーテック仕様をVRゴーグルで見ることができるデザイン部ブースだ。まだ誰も見たことのない新型車のオーテック仕様をいち早く確認できると人気を集めた。

展示はブースだけでなく、実車も用意。最新のオーテックとニスモの特別仕様車たちだ。今回は新型リーフのオーテック仕様をはじめ、エクストレイルのオーテックスポーツスペック、エクストレイルのニスモ仕様、エクストレイルのロッククリーク仕様などの最新モデルがズラリと並べられていた。

なかでも注目だったのが、先日の「ジャパンモビリティショー2025」で2027年日本導入予告と共に公開されたパトロールのニスモ仕様車だ。2025年7月に中東向けに発売されたノーマル+70PSとなる495PSの高性能モデル。現地では2000万円ほどのプライスが付くという話も。もしも日本導入があれば話題となること間違いなしだ。

また、展示車にはNMCが手掛ける福祉車両や車中泊/キャンプ仕様のカスタムも含まれる。こうした車両も用意されているのがNMCの懐の深さだろう。

2025年7月に中東にて発売されたニスモ仕様の「パトロール」。「パトロール」そのものは、2027年の日本導入が予告されている。

中東向けの「パトロール」ニスモ仕様のインテリア。赤いステッチが特徴となる豪華な内装になっていた。

展示車として写真のニスモ仕様やオーテック仕様など、現在の最新のNMCの手掛けるモデルが並んだ。

ミニマムなカスタムに抑えられた「オーテックライン」のノートとキャラバン。

展示車として、新型リーフのオーテック仕様が展示された。

NMCは、ドレスアップやチューニングなどのカスタムだけでなく、福祉車両(ライフケアビークル)の製造も担っている。

参考展示されたのが車中泊仕様のセレナマルチボックス。荷室がマルチに使えるボックスになっている。

HKSをはじめミシュランやフジツボ、モチュールなどのブースも構えられていた。

NMCの開発を司るスタッフとゲストによるトークショー

メインステージでは、午前にNMCスタッフのトークショーとゲストサイン会が行われ、午後にゲストのトークショーが実施された。NMCスタッフは、テストドライバー、カスタム統括、デザイナーの3名が登壇し、それぞれの仕事の内容などが報告された。ざっくばらんな雰囲気の中、開発者の本音トークがさく裂。どのような思いを持ってオーテックとニスモのカスタムカーを製作しているのかを聞けるのは、オーナーにとって何よりの楽しみだったはず。

スタッフトークショーに登壇したNMCの面々。左から、カスタマイズ開発実験部第1実験評価グループ主担/シニアエキスパートドライバーの高澤仁氏、カスタマイズプロジェクト統括部NISMO CARSプロジェクト統括グループ主担の成冨健一郎氏、カスタマイズデザイン部デザインマネージャーの山本賢司氏。

高星明誠選手と2025AUTECHレースアンバサダーの高岡みほさんの2人によるサイン会も実施された。

午後のゲストのトークショーでは、2025年シーズンのスーパーGT500の23号車「MOTUL AUTECH Z」の戦いを、ドライバーである高星明誠選手と2025AUTECHレースアンバサダーの高岡みほさんが振り返るという内容。シーズン前半の苦しい状況から、後半での優勝など、ドラマチックな2025年シーズンを、より深く理解することのできたトークショーだったと言えるだろう。

オーテックバージョンのプリメーラや、R31スカイラインのGTSオーテックバージョンなどの古いオーテック車も数多く参加していた。

4ドアのR33スカイラインGT-R「スカイラインGT-R オーテックバージョン 40th ANNIVERSARY」もオーテックのクルマだ。

マーチを元にオーテックがカスタムしたボレロA30。わずか30台の限定品ではあるが、それが何台も並ぶのが、このイベントならではの光景だ。

NMC社員による見送りでイベントが終了

イベントは14時からの閉会式と集合写真の撮影によって終了。そして14時半に退場が始まる。楽しい時間は、あっという間に過ぎてしまうもの。それでも充実した内容であり、まさに濃厚な半日であった。

取材して思うのは、レアな希少車も多いけれど、市販そのままである車両が多かったことだ。また、子どもを含む家族みんなでの参加や、愛犬を連れての参加も目立っていたこと。もちろんグループでの参加も多い。何度もリピート参戦することで、知り合いが増えていくのも、このイベントならではの部分だろう。

ちなみに、このイベントの展示関連は、すべてNMCの社員の手作りだ。このイベントの運営にNMCの社員が約100名も関わっているという。イベント仕切るスタッフも、当然、NMCの社員である。休日出勤は大変かもしれないが、NMCスタッフのトークショー登壇者が「自分が手掛けたクルマが、こんなにもたくさんあると感動する」と言っていたように、いつもと違うイベント運営もNMCの人間にとっては楽しい仕事なのかもしれない。

そんな風に考えたのは、イベント終了後の退場車を見送るために、列を作って笑顔で手を振るNMCの姿を見たからだ。「また大磯で」という手作りのプラカードを持つスタッフもいる。ただのオーナーズミーティングではなく、“里帰り”と銘打つのは、“自分たちが作り送り出したクルマが、オーナーと共に帰ってくる”と、文字通りの里帰りとNMCが感じてているからだろう。製品を売り買いするというドライな関係ではなく、クルマという製品を間に、送り手と受け手が親密な関係を生み出すことができる。そんな温かい気持ちになれるのが、この「AOG湘南里帰りミーティング」だと感じられた。

NMC
https://www.autech.co.jp/

AOG公式
https://www.autech.co.jp/news_event/event/20250820_01.html

10時に開始されたイベントは、14時半には終了となり、見送りされて解散となった。

閉会式の後の退場では、NMCのスタッフが並んで花道を作り、手を振るお見送りが行われた。

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