
10月30日から11月7日まで開催されたジャパンモビリティショー2025に、ボルトやナットの専門メーカー「イワタボルト」が出展し、普段ではなかなかお目にかかれない特殊なボルトやナットが展示されていた。そこで見つけた数多くのボルト、ナットの中から、ホームセンターなどではお目にかかれない、特殊で面白いボルト&ナットを紹介しよう。
●文/写真:橘祐一
外したければ、「壊す」しかない
HRPナット&ボルト
HRPナットは、取り外し防止用フランジ付きナットだ。一見では普通のフランジ(鍔)付きナットだが、下の方に斜めの山がある。この形状のおかげで、右回しの締める方向には力がかかるが、緩める方向の左回しの場合、工具が浮いてしまって力を掛けることができない。同形状のフランジ付き六角ボルトHRPボルトも用意されている。
HRPボルトは、取り外し防止用フランジ付き六角ボルト。締付けられるけど戻せない、盗難防止ボルトになる。HRPはHexagon Removal Preventionの略で、輸送機器や電気機器、精密機器などに使われている。イワタニボルトの紹介ページはこちら→https://iwatabolt.co.jp/product/hrpボルト/
HTS/ITRナット&ボルト
HTS/ITRも、同様に盗難防止用のネジになる。HTSは6角レンチを使用するネジで、右回しの締め付け方向ではしっかりと工具がフィットして力をかけられるが、緩める方向では工具が浮いてしまい力をかけられない。ITRはプラスドライバーを使うタイプで、こちらも右回しだけしか力を掛けることができない。
ITRやHTSも一度締め付けたら二度と外せないネジ。プラスドライバーや六角レンチで使用するタイプ。
こちらは実際にHTSが使われているバイクのイグニッションスイッチ。ハンドルロックを解除できないようにこちらのボルトが使用されている。
これらのボルト、ナットは一度締め付けたら2度と外すことができない。キーシリンダーやヘルメットホルダーなど、簡単に外されては困る部分に使用されており、どうしても取り外したい時は破壊するしかない。もし、自分の車やバイクの修理中にこれらのボルト、ナットを取り外さなければならない時が来たら……頑張って破壊しよう。取り外せる専用ツールは存在しないのだ。
壊したら「ヤバい」ねじ山を労ってくれる、優しいタイプ
AA/APボルト&ナット
AAボルトやAPボルトは、ねじ穴に斜めに差し込んでしまったとしても、正しい位置に補正して真っ直ぐに締め付けができるボルトだ。うっかり斜めの状態で締め込んでねじ山を痛めてしまう心配がないので、目視できない裏側のねじや、狭い場所での作業で心強いタイプといえる。
AAボルトは先端のねじ山が特殊な形状になっているので、うっかり斜めに差し込んでも傾きを補正して正しい位置で締め込むことが可能。AAの略はAngle Absorb。輸送機器や電気機器 、精密機器などの作業性の悪い部位や、締付け部の視認性が悪い部位に使われている。イワタニボルトの紹介ページはこちら→https://iwatabolt.co.jp/product/aa-bottle/
AAナットはねじ山のない平滑な部分により、傾いたまま装着されたナットを正し角度に導いて斜めに締め付けることを防止してくれる。
APボルトは特殊なテーパー形状の先端案内部によって、ねじ山への引っ掛かりを抑制して正しいねじ山に案内してくれる。APの略は「Adjustment Point」。主に自動車や家電、事務機器などで使われている。イワタニボルトの紹介ページはこちら→https://iwatabolt.co.jp/product/ap-ボルト/
実際にこのくらいの角度で差し込んでも、ナットを真っ直ぐに補正してくれるので、目視できない部分の固定でも難なくこなせる。
AAナットも同様に、斜めに取り付けても角度を制限することで正しい位置に補正し、ねじ山のかじりを防止してくれるナットだ。この仕組みのためにナットの高さが従来のナットより高くなってしまうため、全てのナットに置き換えることはできないが、あったら便利なナットだ。ただ、どちらも規格品とは異なり、一般的な市場では流通していないのが残念である。これ、欲しいなぁ。
本文中では解説していないが、2枚のパネルを重ねて固定するときに、締め付けるだけでセンター出しができる「センタリングボルト」なる製品も。センタリングボルトは、締め付け時に締結部材の位置補正をする特殊なネジ。自動車や家電、事務機器などの締結位置精度が重要な部位に使われる。イワタニボルトの紹介ページはこちら→https://iwatabolt.co.jp/product/センタリングボルト/
イワタニボルトのブースは、地味な展示ながら気になる最先端の特殊ボルト&ナットがたくさん。スタッフはアマチュアにも丁寧にわかりやすく解説してくれた。他にも普段はなかなか見かけない特殊なボルトがたくさんあるので、気になるユーザーはイワタボルトのホームページをチェックしてみては?https://iwatabolt.co.jp
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(メンテナンス)
気温が下がるとタイヤの空気圧も低下!冬に向けて備えておきたい 愛車のメンテナンスで、つい後回しにしてしまいがちなのがタイヤの空気圧チェックではないだろうか。エンジンオイルの交換時期などは気にしていても[…]
夏の間にフル稼働したカーエアコン。気になる汚れやニオイは大丈夫? 猛暑が続いた今年の夏。クルマで出かける際、エアコンをつけっぱなしにしていたという人も多いのではないだろうか。近年の夏は、エアコンなしで[…]
電源不要! ポンピングするだけで“泡洗車”が楽しめる 洗車場などで見かける、クルマ全体を真っ白な泡で包み込む泡洗車。見た目にも気持ちがいいが、自宅で楽しもうとすると、すごく手間のかかる位メーがある。高[…]
手のひらサイズなのに、風はかなり強烈! 洗車後のクルマを拭き上げたのに、ドアミラーやグリルの隙間から水が垂れてくる…。 そんな小さなストレスを解消してくれそうなのが、「パワフルハンディーブロワーmin[…]
エンジン破損の危機も。誤った油種の選択が招く深刻なトラブル 過ごしやすい秋の気候となり、紅葉狩りなど車でドライブに出かける機会が増加する季節である。遠方への旅行などで車の稼働が増えれば、当然ながらガソ[…]
最新の関連記事(カー用品)
1位「打倒カローラ&サニー!」50年前、三菱が放った美しすぎる刺客とは? 流麗なクーペスタイルと100馬力の実力を持つ【ランサーセレステ】 この記事で分かること 1975年に登場した三菱「ランサーセレ[…]
秋冬のドライブでも気になる車内の空気。休憩中に換気したいことも 秋も深まり、朝晩は肌寒さを感じる日が増えてきた。夏のような厳しい暑さからは解放されたものの、クルマの中で過ごしていると、空気のこもりや湿[…]
気温が下がるとタイヤの空気圧も低下!冬に向けて備えておきたい 愛車のメンテナンスで、つい後回しにしてしまいがちなのがタイヤの空気圧チェックではないだろうか。エンジンオイルの交換時期などは気にしていても[…]
IMPUL SERENAは上質な一体感とスポーティさを融合 マイナーチェンジっでフェイスリフトを受けたセレナ。その新しいフロントマスクに合わせて専用開発されたのが、今回の「フロントアンダースポイラー」[…]
今回のテスト車両(日産サクラ) カーナビやディスプレイオーディオの拡張性を飛躍的に高めてくれる注目のカー用品 データシステム「USB KIT(CEA940)」は、カーナビやディスプレイオーディオの拡張[…]
人気記事ランキング(全体)
秋冬のドライブでも気になる車内の空気。休憩中に換気したいことも 秋も深まり、朝晩は肌寒さを感じる日が増えてきた。夏のような厳しい暑さからは解放されたものの、クルマの中で過ごしていると、空気のこもりや湿[…]
2026年9月 軽乗用車販売ランキングTOP15 2026年9月の軽乗用車販売台数ランキングでは、ホンダ「N-BOX」が1万9105台で1位となった。2位はスズキ「スペーシア」/マツダ「フレアワゴン」[…]
使っていないUSB端子が、愛車をドレスアップする場所に変わる!? 愛車のインテリアにちょっとした変化を加えたい。そう思っても、内装パーツの交換や本格的なイルミネーションの設置となれば、費用も手間もかか[…]
RVパーク 大江戸温泉物語 三好屋 車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推進する「RVパーク」は、キャンピングカーやマイカーで旅行を楽しむユーザーに向けた、車[…]
RVパーク 大江戸温泉物語Premium 白浜御苑 車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推進する「RVパーク」は、キャンピングカーやマイカーで旅行[…]
最新の投稿記事(全体)
20人の手で、1日8台を生産する小規模な工房 トヨタが9月10日に市場投入した「GR KART」。一番の衝撃は、従来の入門用レーシングカートのほぼ半額に当たる38万5000円(消費税込み)というプライ[…]
待望の新グレード「HEV G」と「PHEV Z」を新設定 今回の一部改良の狙いは、ユーザーからの要望に応えたエントリーじから中間層におけるグレードの拡充だ。 これまでクラウン エステートは、ハイブリッ[…]
往年のアイデンティティを宿す「丸目」仕様 今回アナウンスされた最大の注目ポイントは、メーカーオプションとして設定される丸目ヘッドランプだ。 スクエアなフォルムが際立つランドクルーザーFJのフロントマス[…]
スズキ e SKY スズキ初の軽乗用バッテリーEVである。ガソリン軽自動車からの乗り換えを意識した扱いやすい操作性と、新開発プラットフォーム「HEARTECT-e」による広い室内空間が特徴である。床下[…]
2026年9月 軽乗用車販売ランキングTOP15 2026年9月の軽乗用車販売台数ランキングでは、ホンダ「N-BOX」が1万9105台で1位となった。2位はスズキ「スペーシア」/マツダ「フレアワゴン」[…]
- 1
- 2




























