
最終戦を優勝して2025シーズンのGT500チャンピオンとなったau TOM’S GR Supra。ドライバーの坪井選手は前人未到の3連覇を達成。最終戦もてぎと2025シーズンを振り返る
●文/写真:松永和浩(月刊自家用車編集部)
予選2位から優勝をもぎ取ったau TOM’S GR Supra
11月2日、2025 AUTOBACS SUPER GT第8戦(最終戦)『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』の決勝レースが栃木県のモビリティリゾートもてぎにて開催されました。
この最終戦はこれまでの獲得ポイントによって積まれてきたサクセスウェイトが全て取り払われ、重量によるハンデが無いという状態が第2戦以降の他のレースと違うところで、ウェイトによって後半戦が厳しくなってきていた上位チームにとってチャンピオンを狙えるチャンスが再びやって来るというレースでもあります。
ポールポジションのKeePer CERUMO GR Supra
GT500クラスのポールポジションは38号車 KeePer CERUMO GR Supra、2番手が36号車 au TOM’S GR Supraで、GRスープラ勢がフロントローを独占。続いてNissan Z NISMO GT500勢が6位まで、その後にHONDA CIVIC TYPE R GT勢が続き、きれいにメーカーごとにゾーンがわかれた形となりました。
13時には白場やパトカー先導によるパレードラップ、フォーメーションラップに続いてレースがスタートしていきます。ホールショットはポールポジションだったKeePer CERUMO GR Supraでしたが続く3~4コーナーでau TOM’S GR Supraがこれを捉えてトップに立っていきます。
2周目でトップに立つau TOM’S GR Supra
au TOM’S GR Supraは23周目のドライバー交代までトップを守り続けていきましたが、24周目に4位でピットインをした100号車 STANLEY CIVIC TYPE R-GTがタイヤ無交換作戦でピット作業時間を短縮!コースに復帰する際にはau TOM’S GR Supraの前に出ることに成功し、実質的なトップとなりました。
中盤、タイヤ無交換作戦のピットアウトでトップに立ったSTANLEY CIVIC TYPE R-GT
しかしニュータイヤを履いたau TOM’S GR Supraはタイヤの差で29周目にSTANLEY CIVIC TYPE R-GTを抜きピットインを終わらせたチームの中ではトップとなります。そして同門TOM’Sの37号車がピットインをすると正式なトップとなります。
レース後半でトップ争いを繰り広げたTRS IMPUL with SDG Z
しかし12号車 TRS IMPUL with SDG Zが背後に迫っており接近戦が始まり、56周目にFCY(フルコースイエロー)が出されるまで続きます。その56周目のFCYは1周を待たずに解除されますが解除直後の再スタートで2秒ものリードを広げたau TOM’S GR Supraはそのままチェッカーを受け見事優勝!そして2025シーズンのチャンピオンも獲得することとなりました。
チェッカーを受けるトップ2台
au TOM’S GR Supraは3年連続のチャンピオンを獲得。Aドライバーの坪井翔選手も3連覇となりますが、GT500ドライバーの3連覇は史上初!前人未到の記録を打ち立てたのです。
順風満帆ではなかった2025シーズンのau TOM’S GR Supra
最終戦優勝でチャンピオンをもぎ取ったau TOM’S GR Supraですが、シーズン全体で見れば順風満帆とはいいがたい状況と言えます。
最終戦優勝でチャンピオンとなった au TOM’S GR Supra
開幕戦の岡山では予選2位でスタート。予選時は晴れていたものの決勝日となった4月13日は雨となり決勝レースはセイフティカー(SC)先導のスタートとなります。4周目にSCがピットインし5周目が実質的なオープニングラップとなりますが、そこでGT500マシン4台が絡むアクシデントが発生しレースは赤旗中断となります。
その後もアクシデントは続き、トータルで中断1回、SC4回、FCY2回という荒れたレースを2024チャンプの貫禄でau TOM’S GR Supraが制しています。
続く第2戦富士では38号車 KeePer CERUMO GR Supraがスタートから終始トップの完璧なポール・トゥ・ウインを見せて、チームとして6年ぶりの優勝を果たします。au TOM’S GR Supraは2位として表彰台に立つこととなりました。この時点でもポイントランキングではトップとなっています。
第4戦富士スプリントRace1ポールポジションのWedsSport ADVAN GR Supraと優勝のau TOM’S GR Supra
第3戦マレーシアでau TOM’S GR Supraは7位と低迷します。そして8月に迎えた第4戦富士のスプリントレース。8月2日にRace1、8月3日にRace2というスケジュールで、ポイントは各レース共にハーフポイントとなります。Race1でのポールポジションは19号車 WedsSport ADVAN GR Supra。オープニングラップでGT500の下位グループにアクシデントがありSCが導入されます。6周目には解除となり再スタートとなりますが、au TOM’S GR Supraはこのスタートダッシュが素晴らしく再スタートのTGRコーナーでWedsSport ADVAN GR Supraに並びコカ・コーラコーナーで前に出ると、そのままトップをキープして優勝となりました。
Race2優勝のENEOS X PRIME GR Supraと2位のau TOM’S GR Supra
3日に行われたRace2ではポールポジションの14号車 ENEOS X PRIME GR Supraがほぼ逃げ切りの優勝となり、予選2番手だったau TOM’S GR Supraは順位変わらずの2位でチェッカーを受けます。
第5戦鈴鹿、第6戦SUGOでは日産のZ勢が息を吹き返し第5戦鈴鹿では23号車 MOTUL AUTECH Zが優勝。第6戦SUGOでは24号車 リアライズコーポレーション ADVAN Zがチームとして9年ぶりに優勝を果たすなどしています。この2戦でau TOM’S GR Supraは2戦とも9位ということでポイントが低迷。いまだランキング首位とはいえ徐々に背後からENEOS X PRIME GR Supraが忍び寄ってきていました。
第7戦オートポリス優勝のSTANLEY CIVIC TYPE R-GT
そして迎えた第7戦はなんとリタイヤ!レース概要は「SUPER GT 第7戦オートポリスでHONDA CIVIC TYPE R-GTが初優勝!CIVIC TYPE R-GTラストイヤーに大金星!」をご覧ください。
このリタイヤによりランキング2位のENEOS X PRIME GR Supraとのポイント差はau60.5-ENEOS53.5=7!また第7戦オートポリスで優勝したSTANLEY CIVIC TYPE R-GTとのポイント差も8ポイントとなり、もてぎ戦でのこの3台はより上位にいた方がチャンピオンという状況で、決して負けられない最終戦となりました。
そのもてぎを制し前人未到のドライバーランキングで3連覇を果たした坪井選手と山下健太選手には大きな拍手を送りましょう。
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