
日本初の国産実用四輪駆動車として知られる「九五式小型乗用車(通称:くろがね四起)」。2016年に奇跡的な修復作業が完了し、半世紀以上の時を超えて再び自力走行可能となってから今年で10周年という節目を迎える。それを記念して、NPO法人「防衛技術博物館を創る会」の主催する特別イベントが、9月22日に静岡県御殿場市で開催することが決定した。国内にたった1台しか現存しない極めて貴重な車両の展示をはじめ、修復を成し遂げた職人たちによるトークショー、さらには実際にエンジン音を響かせて走るお披露目走行など、歴史的なメカニズムに触れられる催しとなっている。
●文:月刊自家用車編集部(奥津)
時を超えて再び息を吹き返した「奇跡の1台」が再び疾走する
「くろがね四起」は、アメリカのジープよりも早く、1935年に日本陸軍が制式化した日本初の国産実用四輪駆動車だ。製造を手掛けた日本内燃機のブランド名から「くろがね」の愛称で親しまれ、日中戦争から第二次世界大戦にかけて厳しい環境下での連絡や偵察用途といて使用された。しかし終戦後、多くが戦地に棄てられるか民間用として使い潰され、国内では完全に姿を消したと思われていた。
今回展示される前期型車両は、終戦後に民間に払い下げられたあと、昭和30年代頃に故障のため長年放置されていた個体だ。
2014年にNPO法人「防衛技術博物館を創る会」が入手し、2年余りの歳月を経て、当時のエンジンのまま走行できる状態へと復元された。現在、日本国内に現存する前期型はこのわずか1台のみであり、日本の機械技術遺産としても非常に高い価値を誇っている。
約90年前の車が当時の姿の状態で走れるのは驚きだ。
奇跡の修復劇を振り返るトークショーやお披露目走行も実施
イベント当日は、貴重な実車の展示だけでなく、トークイベント「くろがね四起(前期型)修復作業を振り返って」が実施される。
登壇するのは、プロジェクトを牽引したNPO法人代表の小林雅彦氏をはじめ、車体の復元を担当した永遠ボディ代表の松村敬太氏、そして機関系やメカニックを担当したカマドの藤原昌典氏という、レストアを成功に導いた中心メンバーたちだ。
当時の図面やパーツがほとんど残されていない絶望的な状況のなか、どのようなアイデアと技術で当時の空冷エンジンや駆動系を蘇らせたのか、10年前の修復劇の舞台裏を詳しく聞くことができる。
苦労に満ちた10年前のレストア秘話を語り尽くしてくれる。
さらにトークイベント終了後には、来場者が最も期待を寄せる「お披露目走行」が実施される予定だ。半世紀以上の時を超えて蘇った空冷V型2気筒エンジンが放つ独特の排気音とともに、くろがね四起が走る姿を間近で体感できる極めて貴重な時間となっている。
日本のモータリゼーション史、そして4WDテクノロジーの原点に触れられる1日限定のスペシャルイベントであり、クルマ好きなら絶対に足を運んでおきたいイベントだ。
イベント開催概要
- 催事名:「くろがね四起」修復10周年記念イベント
- 日時:2026年9月22日(火・祝)12時~15時
- 会場:御殿場高原ホテル「かえでの間」およびエントランス(静岡県御殿場市)
- アクセス:駐車場あり/JR御殿場駅・三島駅よりシャトルバス運行あり
- 参加費:入場無料(※事前に入場整理券が必要)
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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