
日本のキャンピングカー市場は、大型モーターホームではなく日常と両立できるコンパクトモデルが主役となりつつある。その潮流を牽引するホワイトハウスキャンパーが新たに展開するプランが「Style_ID」であり、その第一弾がホンダ フリード クロスターをベースにしたコンパクトキャンパーだ。自由にカスタマイズ可能な「Style_ID」の特徴と魅力を探る。
●文/写真:月刊自家用車編集部
WEB上で自由に仕様を選べてオーダーも可能な「Style_ID」の第一弾
キャンピングカーと聞くと、巨大なモーターホームを思い浮かべる人が多いだろう。しかし日本の道路事情や生活環境を考えると、大型キャンピングカーを日常で使いこなすのは現実的ではない。そこで近年注目されているのが、普段使いのクルマをベースにしたコンパクトキャンピングカーだ。
横浜に本拠を置くホワイトハウスキャンパーは、まさにその分野を長年切り開いてきたメーカー。そして同社が展開するカスタマイズプラン「Style_ID」の第一弾が、ホンダ フリード クロスターをベースとしたキャンパーであり、東京キャンピングカーショーではそのフルカスタムである「FREED CROSSTAR “POP HOT Package” Weekend Trail」を出展した。
「Style_ID」とは、ユーザーそれぞれのライフスタイルに合わせてキャンピングカーを仕立てる仕組みだ。従来のキャンピングカーは「出来上がった仕様を選ぶ」ことが多かったが、Style_IDでは「自分らしい使い方に合わせて形にする」ことが前提となる。つまり、自分の趣味や家族構成、休日の過ごし方を反映させた“自分専用のキャンピングカー”を作れるのである。この自由度が、今の多様なライフスタイルにフィットしている。
そのカスタムはボディやシート、ポップアップなど、各パーツのカラーやデザイン、マテリアルをWEB上で自由に選択してシミュレーションし、そのままオーダーできる。カスタマイズ箇所はエクステリアやインテリア、ルーフキャリア、ラダー、キャビネットなどの各種装備品を含めて20箇所以上に及び、ボディカラーだけでも20色以上、さらにツートンカラーも選択できる。
実例がここで紹介する「Weekend Trail」だ。
ベースとなるのはホンダ フリードのクロスオーバー仕様「CROSSTAR」は全長4.3メートル程度と取り回しやすく、日常の買い物や通勤にも違和感なく使えるサイズ感で、外観はSUV風の力強さを持ちつつ、街乗りにも自然に溶け込む。そのベース車両に、ホワイトハウスキャンパーの十八番であるポップアップルーフを搭載し、週末のアウトドアに最適化したのが「POP HOT Package Weekend Trail」である。
ホワイトハウスキャンパーが提案するスマートカスタマイズ「Style_ID」は、WEB上で自由にカスタムプランを選びそのままオーダーまで可能なシステム。第一弾に選ばれたベース車はホンダ フリード クロスターで、装備やボディカラーはそれぞれ20色以上の選択肢を用意する。
東京キャンピングカーショーに出展されたStyle_IDの第一弾は、オレンジ色のラッピングとフルカスタム仕様を与えた「FREED CROSSTAR “POP HOT Package” Weekend Trail」。参考までにこの仕様で価格は税別673万7000円だ。
コンパクトなフリードで大人4人の車中泊を実現
このモデルの一番の魅力はやはりポップアップルーフだろう。停車時に屋根を跳ね上げることで、車内に立って移動できるスペースが生まれ、さらに上段に就寝スペースを確保でき、大人4人が寝られるレベルの空間が確保される。コンパクトなフリードにここまでの居住性が加わるのは驚きだ。実際にキャンプ場で使うと、テントを張る手間が省け、荷物の量も減る。雨天や寒い季節でも安心して眠れるのも大きなメリットだ。
「Weekend Trail」という名前が示すように、この仕様は長期の旅を想定した大型キャンピングカーではなく、週末の小旅行や車中泊を楽しむ人に向けている。室内にはシンクや固定式のコンロといった大掛かりな装備はない。その代わりにフラットに展開できるシートや収納スペース、そしてポップアップルーフのベッドがある。
料理や電源はポータブル機器を組み合わせて使うことが前提だ。この割り切りは今の時代に合っている。ポータブル電源やアウトドア調理器具は豊富に揃っており、ユーザーは自分のスタイルに合わせて持ち込めばよい。クルマそのものは「キャンプのベース」として柔軟に機能する。
車中泊を快適にするポップアップルーフ仕様と、標準ルーフ仕様の2タイプがベースモデルとして設定されている。ポップアップルーフ仕様であれば車内を立って歩けるし広大な就寝スペースも確保される。
ベッドキットは12色から選択可能で、クラシカルなチェック柄も用意。CTEKの走行充電システム、サブバッテリー、FFヒーター、DCソケット、室内照明をセットにした「ホットパッケージ」もラインナップ。
無限にも思えるカラーの組み合わせが可能
ボディカラーはアッパーとボトム、それぞれ20色から選べる上、キャラクターラインやサイドモール&ロゴカラーも同様に20色選択でき、ツートーン仕様にすることも可能。まさにその組み合わせは無限とも言えるほど豊富であり、さらにフォグランプやフロントグリル&ガーニッシュ、サイドミラーのカラーも選べるので、自分だけの個性を存分に発揮できる。
また、グリルガードやリアラダー、ルーフキャリア、サイドオーニング、タイヤ&ホイール、リフトアップなど、実用装備の設定も多数用意され、必ず自分好みの仕様が見つかるだろう。これらの選択はWEB上で視覚的に確認しながら選べるため、カスタムの出来上がりが予想と異なるという恐れも少ない。実に痒いところに手が届くプランだと言えよう。
実用面でも安心感がある。ベースモデルはガソリンのFFと4WD、ハイブリッドのFFと4WDの4モデルから選択でき、ハイブリッド仕様を選べば燃費性能に優れ、維持費も大きく膨らまない。さらにHonda SENSINGによる運転支援機能も備わっており、長距離移動でも安心感がある。大型キャンピングカーにありがちな「普段は持て余す」という欠点も、コンパクトな本車両ならほぼ解消される。平日は子どもの送迎や買い物、休日はそのままキャンプ場へ――そうした生活が無理なく描ける。
実際にこのWeekend Trailを体験するユーザー目線で考えると、その魅力は「準備の気軽さ」に集約されるだろう。テントを張らなくても就寝スペースがある、荷物を最小限にできる、そして帰宅後の片付けも楽になる。キャンプや車中泊は楽しい一方で、準備と片付けの大変さがネックになることも多い。その負担を軽くし、「思い立ったら出かけられる」環境を作ってくれるのが、このクルマの強みだ。
エクステリアギアはグリルガードやリアラダー、ルーフキャリア、サイドオーニング、タイヤ&ホイール、リフトアップ、ステンシルなどを設定。用途や好みに応じて自由な選択肢が用意されるのもStyle_IDの利点だ。
オンリーワンのキャンピングカーを望むならベストな選択だ
もちろん、Style_IDがすべての人にとっての最適解ではなく、調理や水まわりを車内に装備したい人にとっては物足りないかもしれない。しかし日本のキャンピングカー利用者の大多数は、数日以内の旅行や週末のアウトドアを楽しむ層だ。その現実的な需要を考えれば、Style_IDのコンセプトは的を射ている。
総じてStyle_IDは、日本におけるキャンピングカーの理想形のひとつを体現している。大きすぎず、小さすぎず、普段の生活に寄り添いながら、非日常の楽しみを気軽に実現できる。Style_IDという仕組みを通じてユーザーの個性を反映できる点は特に強調すべきポイントであり、単なる“クルマ”以上に“ライフスタイルのパートナー”と呼ぶにふさわしい存在を手に入れることが可能になっている。
キャンピングカーに興味はあるが「大きすぎる」「維持が大変そう」「個性を大事にしたい」と感じていた人にとって、この現実的で手に届く選択肢の誕生は朗報だろう。週末に気軽に自然へアクセスしたい、家族や仲間と車中泊を楽しみたいーーそんな願いをシンプルに叶えてくれるクルマだ。
●ホワイトハウスキャンパー Style_ID 販売価格(税別)
・ホンダ フリード クロスターベース(標準ルーフ):358万3800円〜
・ホンダ フリード クロスターベース(ポップアップルーフ):412万7200円〜
※写真のフルカスタムプラン「FREED CROSSTAR “POP HOT Package” Weekend Trail」は673万7000円
Style_IDはオンリーワンの個性の実現を可能にした新しいキャンピングカーのカタチだ。ホワイトハウスキャンパーのWEBサイトでは手軽にカスタマイズプランをあれこれ確認できるので、キャンピングカーに興味があるならぜひ試してほしい。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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