
アウトドアで気ままに過ごす時間が、いま大人たちの新しい贅沢になってきた。そんな自由な旅に寄り添う存在として、軽自動車をベースにした“ちょい車中泊仕様”が注目を集めている。家具職人が手掛けた装備を積むこのスタイルは、ただ寝られるだけの車ではない。趣味道具を積み込み、街を走り、自然で夜を迎え、また日常に戻る。そんな気取らない旅の相棒として、軽バンを進化させる「ちょいCam」を紹介しよう。
●文:月刊自家用車編集部
小さな車で、自由が大きく広がる
軽バンが、ただの仕事車という時代は遠い。趣味の基地として、週末の逃避先として、そして日常とのブリッジとして、いま新しい価値を手に入れている。家具職人が仕立てたキャビネットやベッドマットを組み合わせ、車内を自分だけの小さな“旅の部屋”に変えてしまうという発想だ。
都会の駐車場にも気軽に停められるコンパクトサイズながら、キャンプや釣り、登山、撮影旅など、アウトドアを楽しむための機能を揃えている。車は単なる道具ではなく、趣味を自由に広げるための相棒になる。
この仕様のユニークなところは、軽自動車の普段使い感をそのまま残した点にある。狭い道でもストレスなく走り、燃費の良さも期待できる。買い物や通勤に使いながら、休日はそのまま旅へ出発できるというフットワークの良さが魅力だ。
駐車場所を選ばず、車中泊地までスッと入り込む。自由は、意外と小さなボディからはじまる。
職人家具が作る“趣味基地”の居心地
室内に足を踏み入れると、空気が変わる。木の温もりと職人の精度が生む、美しい収まりの空間。両側面にキャビネットが並び、天井にも収納を配置。必要なモノをしっかり持ち出しながら、散らかりづらい室内を保てる仕様だ。
大切なキャンプ用品や登山ギア、カメラ機材などを安心して積みたい、そんなこだわり派にもフィットする。収納を増やすために空間が犠牲になるような野暮ったさは感じない。コンパクトなのに“秘密基地”感が漂うのだ。
セカンドシートを残した構成もポイントだ。家族や仲間、愛犬とのドライブもそのまま楽しめるし、車内での過ごし方も広がる。座り心地の良いリクライニング機能付きで、旅先の景色を見ながらくつろぐ時間は、まさに自分だけの”ちょいリビング”。
寝るときはフルフラットになり、大人二人が横になれる寝床へと変身する。軽自動車の中でここまで落ち着ける空間を作り上げる、家具の存在感は大きい。
旅のテーマに合わせて育てるクルマ
この仕様が“ちょうどいい”と言われる理由は、余計なものを盛り込んでいない点にある。最低限の装備と、カスタムする余地を残した設計。だからこそ目的に応じて育てていける楽しさが生まれる。
旅をしながら仕事もしたいなら、サブバッテリーやインバーターを追加して車内で電源を確保。自然の中で静かにパソコンで作業をして、疲れたらベッドに横になる。そんなデジタルノマド的時間が身近になる。
冬のキャンプが主目的なら、FFヒーターを積んで寒さ対策を万全にする。冷え込みの厳しい朝、暖かい車内でコーヒーを淹れながら夜明けを待つ。そんな“最高の瞬間”を逃さず手に入れられる。
オーニングを付ければ、車外での時間もより快適に。テーブルを引き出し、チェアを置いて外の風を感じる。やりたいことに合わせて、必要なものだけを足していく。その柔軟さが、使う人のスタイルを育てていく。
ベース車は気軽に選べる、選択肢は広い
今回紹介した仕様はダイハツのアトレーをベースにしたものだが、対応する車種は幅広い。ハイゼットカーゴ/エブリイワゴン/エブリイバン/ピクシスバン/クリッパーバン等、好みに合わせて選べる柔軟性を備えている。通勤メインの人、週末だけアクティブに動く人、ペットと全国を旅したい人、用途は人それぞれだ。
重要なのは、シンプルな仕立てによって誰でも“自分の理想の旅車”に近づける余地があること。軽バンという器の中で、理想の暮らし方を自由に描いていける。
ラインナップには、収納力重視の構成だけでなく、広さを優先したスタイルや、就寝機能に特化したシンプルな仕様も存在する。軽自動車の車中泊と聞けば窮屈なイメージを持つ人もいるかもしれないが、実際は“必要なものだけを積む快適さ”が味わえる。
車に乗り込めば、そこは仕事も日常も置いてきた自分だけの空間。小さなボディに詰め込んだ自由が、旅をもっと軽やかにしてくれる。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
実験車はコラムシフトのトヨタ ビスタ! 今回用意したクルマはトヨタのビスタ。最近ではあまり見ないコラムシフトのクルマだ。ビスタは、DレンジからPへの操作量が長くとられているので、相当なおバカさんでない[…]
今回の一部仕様変更では「キャリイ」シリーズ全車においてフロントの外観デザインを刷新するとともに、視認性に優れたデジタルメーターディスプレイや利便性を高めるスマートフォントレー、助手席カップホルダーなど[…]
車種専用設計だから、ピッタリ装着。見た目にも違和感なし カーメイトと言えば、使い勝手の良い様々なカーグッズをリリースしており、多くのユーザーから評価されているブランドとして知られている。今回紹介するの[…]
洗車してもツヤが冴えない本当の理由 どれだけ丁寧に洗車しても、どこかボディがくすんで見える。ワックスをかけても、思ったほど光沢が出ない。そんな状態に心当たりがあるなら、塗装表面に鉄粉が刺さっている可能[…]
「Z」と「アドベンチャー」専用プログラムを用意 今回導入される新型RAV4のモデリスタパーツは、「Z」と「アドベンチャー」のおのおののグレードに対応する専用プログラムが設定される。 「Z」向けのエアロ[…]
最新の投稿記事(全体)
運転中に荷物が崩れる瞬間が、思った以上に危険な理由 クルマでの買い物は便利だが、ラゲッジに積んだ荷物が走行中に倒れる問題は意外と深刻だ。発進時やカーブで荷物が動く音が聞こえるたび、無意識に注意がそちら[…]
直6の「GT-R」ではなく直4の「RS」としてイレギュラー気味に誕生した戦闘機 「DR30型」の「スカイライン2000ターボRS」が誕生したのは1983年です。「2000ターボRS」グレードは、198[…]
センチュリー(大会本部車) 大会オリジナルモデル、FCEVセンチュリーも投入 1920年の創設以来、100年以上の歴史を持つ同大会に対し、トヨタは2003年から車両提供を開始し、2011年からは協賛社[…]
佳き時代のGの面影は、BEV時代になっても陰りなし クルマの世界で近未来といえば、BEVがそのイメージリーダーであることに異論はないだろう。市販されている多くのBEVが、未来的あるいはサイバー時代を想[…]
「Z」と「アドベンチャー」専用プログラムを用意 今回導入される新型RAV4のモデリスタパーツは、「Z」と「アドベンチャー」のおのおののグレードに対応する専用プログラムが設定される。 「Z」向けのエアロ[…]
- 1
- 2


















