
●文:月刊自家用車編集部
アクア:モデル概要
ハイブリッド専用モデルとして、圧倒的な低燃費/静粛性を低価格で提供するアクア。10年ぶりのフルモデルチェンジとなった2代目も、先代の流れを汲んで圧倒的な低燃費を武器にしている。
エクステリアのイメージはキープコンセプトだが、メカニズム関係は大きく進化。駆動用バッテリーは先代に搭載されていたニッケル水素電池から高出力のバイポーラ型ニッケル水素電池に変更(Bグレードを除く)されたことで、 バッテリー出力は約2倍向上。これによりアクセル操作の応答性が向上し、低速からリニアでスムースな加速が可能になっている。また、モーターだけでの走行可能速度域も拡大されており、街中の多くのシーンでエンジンを使わず電気だけでの走行も可能だ。
さらに走りの質を高める装備として「快感ペダル」をトヨタ車として初採用。これは走行モードの“POWER+モード”を選択すると、アクセルペダルを緩めるだけで回生によって減速度を増大させ、滑らかに減速することができるようになる機能で、アクセル/ブレーキペダルの踏みかえ頻度を抑え、アクセルワークだけでも意のままの走りを楽しむことが可能になる。また、E-Fourを初採用したこともトピックスのひとつ。4WD車が追加されたことで、雪道でもより安心して走行することが可能になっている。
パワーユニットは、高効率の1.5Lダイナミックフォースエンジンと最適化したハイブリッドシステムを採用。コンパクトカークラストップレベルの35.8km/Lの低燃費と、モーター駆動ならではの軽快な走りを高次元で両立。
プラットフォームはTNGA(GA-B)を採用。軽量化と高い剛性を得たことでクルマの基本性能が向上しており、安定感のある走りに大きな貢献を果たしている。ボディパッケージも日本の道路環境にぴったりなコンパクトなボディサイズはそのままに、ホイールベースを先代比で50mm延長することで、リヤシートの居住空間や荷室空間を拡大。実用車としての性能も高めている。
アクア:スタイリング&パッケージ
先代譲りのロングキャビンプロポーションを踏襲しているが、左右フェンダーやルーフリヤエンドの造形に変化を付けることで差別化。立体的なグリルやランプシグニチャーを組み合わせることで精悍さをプラス。一体感のあるカタマリ感を表現するサイドビューも印象に残る。プリウスほどではないが、コンパクトカーとしては、かなり先鋭的な空力設計も見どころのひとつになっている。
【TOYOTA AQUA G 4WD(2021年7月モデル)】●全長×全幅×全高:4050×1695×1485mm ●ホイールベース:2600mm ●車両重量:1220kg ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:1490cc直3DOHC(91ps/12.2kg-m)+モーター(フロント:58kW/141Nm/リヤ:4.7kW/52Nm) ●トランスミッション:電気式CVT ●WLTCモード総合燃費:30.0km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/リーディングトレーリング(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)/ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:185/65R15
アクア:インパネ内装&シート
天井やリヤピラーの圧迫感の解消や、座り心地の変化による改善効果、シートに収まった際の居心地の良さは、現行型の開発要点のひとつ。ホイールベースの延長の効果もあるが、シートを含めた設計の工夫で、先代の弱点を上手に克服している。
ただ、後席格納はシングルフォールディングの一般的なタイプと、シートアレンジなどは平凡なまま。レジャーで便利という積極的な工夫は見当たらない。デザインや加飾は、先代よりも落ち着きのある雰囲気を優先したイメージ。あくまでもその本質は、街なかで重宝される実用コンパクトカーだ。
マット☓グロスを組み合わせた落ち着きのあるインパネデザイン。インパネはセンターメーターを廃止して、オーソドックスなメーター配置に変更。センターメーターや整理されたスイッチ配置など、運転時の視野や操作動線を意識した設計も見所のひとつ。Gのディスプレイオーディオは10.5インチタイプが標準となる。
後席シートバックはシンプルな前倒式のため段差が生じてしまうが、アジャスタブルデッキボードを用いることでフラット床面が可能。アジャスタブルデッキボードの下面は小物収納に便利なサブトランクとしても活用できる。
アクア:パワートレーン
パワートレーンは、ヤリスハイブリッドと同型になる1.5Lエンジン+モーターのスプリット式ハイブリッドだが、駆動用バッテリーがより柔軟に電力を使えるバイポーラ型ニッケル水素に変更されたことで、パワー感にゆとりがあることが特徴。とくに中庸域での力強さを持つことはこのクラスでは大きなアドバンテージになっている。
フットワークは先代よりも乗り心地を意識したものに変化。先代は高速安定性を重視していたこともあって段差での突き上げ感が強めだったが、現行型はサスペンションのストロークを上手に使うことで突き上げ感を上手に和らげている。ヤリスよりも快適性を意識したセッテイングに仕上げている。
アクア:モデル変遷
【2021年7月:初期型】2代目アクア発売開始
パワートレーンは1.5Lハイブリッドのみ。ガソリン車も選ぶことができるヤリスとは異なり、ハイブリッド専用モデルとして登場している。駆動方式はFFの2WDとリヤモーターを備える4WD(E-Four)も選択可能。グレードはフリート向けのBを含めて、合計4タイプが用意される。当時の月販目標台数は9800台とされていた。
●アクア グレードバリエーション&価格【2021年7月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【2WD/4WD】 |
1490cc直3DOHC 91ps/12.2kgm + モーター 59kW/141Nm | B【電気式CVT】 | 198万円/ー |
X【電気式CVT】 | 209万円/ー | |
G【電気式CVT】 | 223万円/ー | |
Z【電気式CVT】 | 240万円/ー | |
1490cc直3DOHC 91ps/12.2kgm + フロントモーター 59kW/141Nm リヤモーター 4.7kW(※Bのみ3.9kW)/52Nm | B【電気式CVT】 | ー/217万8000円 |
X【電気式CVT】 | ー/228万8000円 | |
G【電気式CVT】 | ー/242万8000円 | |
Z【電気式CVT】 | ー/259万8000円 |
【2022年11月:車種追加】GRスポーツを追加
TOYOTA GAZOO Racingのノウハウが注がれたGR SPORTを追加発売。ボディ剛性の強化や足まわりやパワーステアリング制御のチューニングにより走行性能を向上させたほか、前後に専用サスペンションを採用したことで路面追従性も高まっている。エクステリアはファンクショナルマトリックスグリル、専用バンパーの採用などにより、標準モデルと差別化。インテリアも専用シート表皮(エアヌバック+合成皮革)を用いたスポーティシート(GRロゴ付)を採用している。価格は259万5000円。
トヨタ アクア GRスポーツ
【2024年4月:最新型】一部改良を実施。上級志向を強めた特別仕様車・Zラフィネを設定
アクア 特別仕様車 Z“Raffine”
アクアに特別仕様車「Zラフィネ」を設定するとともに、標準車にも一部改良を実施。フランス語で「上質な」という意味を冠する特別仕様車「Zラフィネ」は、ブロンズを意識した専用の装備を多数装着することで差別化が図られている。標準車には、グレード別で以下の一部改良が実施された。
おもな改良内容
- ブラインドスポットモニター(停車時警報機能付)⁺パーキングサポートブレーキ(前方静止物/後方接近車両)をZグレードに標準設定
- パーキングサポートブレーキ(前後方静止物)をXグレードに標準設定
- パノラミックビューモニター(シースルービュー&ムービングビュー付)をZグレードに標準設定
- 自動防眩インナーミラー(ドライブレコーダー付)をZ、G、GR SPORTグレードに標準設定
●アクア グレードバリエーション&価格【2024年4月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード | 価格【FF/4WD】 |
1490cc直3DOHC 91ps/12.2kg-m + フロントモーター 59kW/141Nm | X | 214万6000円/ー |
G | 229万4000円/ー | |
Z | 256万5000円/ー | |
GRスポーツ | 265万9000円/ー | |
特別仕様車 Z ラフィネ | 266万7000円/ー | |
1490cc直3DOHC 91ps/12.2kg-m + フロントモーター 59kW/141Nm リヤモーター 4.7kW/52Nm | X | ー/234万4000円 |
G | ー/249万2000円 | |
Z | ー/276万3000円 | |
特別仕様車 Z ラフィネ | ー/283万7000円 |
アクア:最新値引き額/納期情報(2024年9月)
- 車両本体目標値引き額:15万円
- 納期の目安:3〜5か月
- リセール予想:C+
黙って座っていると、「値引きは一律5万円引きです」などと話してくるが、商談を進めていくと段階的に値引きは拡大する。ライバルのノートやフィットを絡めて車両本体と付属品の値引き額が20万円に近くなってきたら限界が近いと考えていい。最後はトヨタ同士の競合を組み合わせることで、良い条件を狙いたい。納期は安定しており3か月程度で納車されるが、春に追加された特別仕様車のラフィネは少し納期が長くなる傾向が強い。
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