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オープンソースの自動運転ソフトウェアを先導する株式会社ティアフォー(以下「ティアフォー」)は、自動運転のためのAI(Artificial Intelligence)の開発をスケールさせる新たな取り組みとして、Co-MLOps(Cooperative Machine Learning Operations)プロジェクトを開始しました。本プロジェクトにて開発するCo-MLOps Platformを導入することにより、世界中の様々な地域で収集されるカメラ画像やLiDAR(Light Detection and Ranging)点群などのセンサデータが共有可能となり、さらにCo-MLOps Platform上で提供されるMLOps機能やエッジAIのリファレンスモデルを活用することで、各社が独自の自動運転AI開発を強化できることが期待されます。
2024年1月9日から12日まで米国ネバダ州ラスベガスで開催されるCES 2024では、1回目の実証実験で得られたエッジAIモデルをティアフォーのブースにて展示します。実証実験は、2023年に日本、ドイツ、ポーランド、台湾、トルコ、アメリカを含む世界8地域で行われました。各地域で収集された映像データを用いてマルチタスク学習を行い、10W以下の低消費電力で動作するように最適化されたエッジAIモデルの環境認識性能を評価しました。
従来の課題
自動運転のためのAIの開発において、競争力のある性能を得るためには、大規模なデータセットが必要不可欠です。一方で、これまでは各社が独自にデータを収集し、類似する技術開発に取り組む傾向があり、結果としてデータベースの構築や開発プロセスにおいて重複が生じていました。さらに一部の企業では、開発環境の整備やデータ収集のためのリソースが限られていることから、十分な性能を得るための開発プロセスを運用することが難しく、業界全体の技術開発のスケーラビリティに影響を与えていました。
本プラットフォームの位置づけ・内容
ティアフォーは、様々な企業や研究機関が業界最高水準の自動運転AI開発に取り組むための土台となるCo-MLOps Platformの開発を推進します。これにより、従来はスケーラビリティが不十分なために制限されていた技術開発が促進され、協調に基づくオープンイノベーションを生み出すことを狙います。具体的には、以下の要求を満たせる仕組みの構築を目指します。
- 各社が収集したデータに対してプライバシーやセキュリティが適切に管理された状態で各社の間で共有できること
- 各社の間で共有される大規模データに対して自動運転AI開発に必要となるMLOps機能が利用できること
- 共通のMLOps機能により生成されるエッジAIのリファレンスモデルを各社独自の自動運転AI開発に活用できること
本プラットフォームの開発では、アマゾン ウェブ サービス(AWS)の多様なサービスを活用します。AWSが提供するストレージ、データベース、コンピューティングなどの基本サービスや、全世界にまたがるグローバルインフラストラクチャは、プラットフォームの効率的かつ安定した運用を支える基盤となります。また、本プラットフォームはクラウドネイティブなアプローチを採用し、将来的にはOTA(Over the Air)を介した認識モデルの更新にも対応します。AWSのソリューションを活用することで、Co-MLOps Platformは最先端の技術と安定したインフラを提供し、革新的な自動運転AI開発を加速させることを目指します。
さらに本プラットフォームでは、参加する企業が独自のプロプライエタリな技術資産、機能安全、開発プロセス、品質管理手段を保持することができます。このプラットフォーム上で開発された成果を、SOAFEEフレームワーク、および、The Autoware Foundationによって定義されたOpen AD Kitと統合することで、Arm®のオートモーティブ・プラットフォームを最大限に活用しながら、ソフトウェア定義型自動車(Software-Defined Vehicle:SDV)の量産に向けたソフトウェア開発を促進することができます。
ティアフォー 代表取締役社長CEO兼CTO 加藤真平のコメント
本プロジェクトの推進により、モビリティ業界のAI開発において新たな協調と競争が生まれ、認識技術を中心に様々なイノベーションが生まれると信じています。多くのパートナー企業や研究機関とのコラボレーションを通して、自動運転のための世界最高水準のAI技術を開発し、安心・安全な自動運転技術の社会実装を推進していきます。
東京大学大学院工学系研究科 教授 松尾豊氏のコメント
本プロジェクトを通して、世界中で収集される大規模で多様なデータセットを用いながら、最先端の自動運転AIを日本から発信できることには大きな価値があります。また、世界モデルなどの次世代のAI技術と組み合わせることにより、自動運転の性能を大幅に向上させ、安全で快適なモビリティの実現に寄与することを期待しています。
Amazon Web Services Director of Automotive Solutions and GTM Bill Foyのコメント
AWSは、モビリティ業界における共通課題を解決し、イノベーションの創出を加速させるティアフォーの本プロジェクトの革新的なビジョン実現を支持します。AWSのさまざまなサービスやグローバルインフラストラクチャを用いた包括的な支援を行い、本プロジェクトの長期的な成功に貢献します。
Arm Automotive Line of Business SOAFEE SIG Governing Body representative and director of automotive partnerships Robert Dayのコメント
今日、ソフトウェアは自動車を所有することの意味を変えつつあります。ソフトウェア定義型自動車を市場で提供するためには、SOAFEEのようなイニシアチブを通した業界全体の専門知識や協調体制が必要です。この例に続き、Co-MLOps Platformプロジェクトは、業界全体の専門知識を活用しながら、ソフトウェア定義型自動車の開発と展開を促進し、さらに加速させる重要な活動となります。
今後の展開
2024年の上期には、センサアーキテクチャの最適化、アノテーション形式の標準化、および大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)を活用したデータ検索とアクティブ・ラーニング基盤の開発を目指します。これらの進展により、より効率的かつ精度の高い自動運転AIの開発が可能になることを期待しています。また、低消費電力で動作するマルチモーダルAIモデルの開発(センサフュージョン)を進めることで、様々なセンサから得られるデータを統合し、高度な環境認識能力を備えたエッジAIモデルを実現します。さらに、世界モデルや生成AIを用いた学習データの生成、およびNeural Simulatorとの連携を通じて、現実世界の複雑な状況をシミュレーションし、AIモデルの訓練を強化していきます。
2024年の下期には、これらの新機能を含むCo-MLOps Platformの本格的な運用を開始する計画です。このプラットフォームを通じて、パートナー企業との協力により、自動運転AIの開発プロセスを大幅に改善し、業界全体の技術進歩を加速させることを目指します。また、ティアフォーはこれらの機能開発および仕様策定を進めるために、パートナー企業を継続して募集していきます。
ティアフォーについて
TIER IV(ティアフォー)は、世界初の自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」の開発を主導するディープテック企業として、自動運転技術の社会実装に向けて挑戦を続けています。「自動運転の民主化」をビジョンとし、世界各地のパートナーと協力して、Autowareを活用したソフトウェアプラットフォームと統合開発環境を自社製品として提供しています。これらの製品を基盤に市場のニーズに対応したソリューションを展開し、顧客と共に自動運転技術の社会実装を推進しています。Autowareが生み出すエコシステムを通じて、個人から組織まで、全てのステークホルダーと共に自動運転技術の可能性を拡大し、より良い社会の実現を目指しています。
Autowareは、The Autoware Foundationの登録商標です。
━━会社概要━━
【社名】株式会社ティアフォー
【所在地】東京都品川区
【URL】https://www.tier4.jp
【設立年月】2015年12月
【主な事業内容】
・自動運転プラットフォーム開発事業
・自動運転ウェブサービス開発事業
・自動運転システム開発キット販売事業
・自動運転技術の教育事業
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