「VWカルマンギア」の年代別見分け方を教えます

同じように見えて進化しているのです。左から’50年代、’60年代、’70年代のVWカルマンギア。見比べてみてください。

●文/まとめ:ストリートVWs編集部

ビートルがベースのスポーティモデル

最も美しいフォルクスワーゲンと言われたカルマンギア。ビートルをベースに背の低いクーペボディを架装したスポーティモデルだ。空冷水平対向エンジンを搭載するRR駆動であることもビートルと一緒。だからフロントにエンジンが無いからラジエターグリルもないのだ。

エンジンはリアに搭載。ビートルと同じ空冷水平対向4気筒。デビュー時は1192ccで最終モデルは1584ccまで拡大された。

イタリアンデザインのドイツ車

カルマンギアは、イタリアのギア社がデザインを担当した。どことなくエキゾチックなイタリア車の色気を感じるボディは、当時のワーゲン社のラインナップのなかでは異端児。しかし世界中で大ヒットして、1955年から1974年まで生産されたベストセラーになったのだ。特にアメリカでは大人気で、多数が輸出された。

世界中のVWファンに愛されるカルマンギア。ベルギーのイベントにて撮影。

カルマンギアの名前の由来は?

ギアはデザインを担当したギア社から、それではカルマンは? 実はカルマンも会社の名前。由緒正しいVWのカタログモデルながら、製造を担当したのはカルマン社というコーチビルダーだった。カルマン社とギア社の共同作品だからカルマンギアなのだ。

カルマン社+ギア社でカルマンギア。美しいデザインのカルマンギアに備わるエンブレムも、これまた美しい芸術品だ。

スポーティなのに実は遅い?

イタリア生まれの流麗なスポーティモデルだから、ポルシェ並に速そうに見えるでしょう。しかし、実はベースとなったビートルと性能はほとんど同じ。エンジンも同じ、サスペンションも同じ。最終モデルでも50馬力で最高速度は140km/hという非力なスペックだ。

ノーマルでは遅いカルマンギアも、チューニングすれば速い。リアエンジンだからウイリーだってしちゃうのだ。

モデルチェンジは無し。しかし、ちょっとづつデザインが変化していった

1955年にデビューした初期型は、その特徴からローライト(日本では角テール)と呼ばれる。1959年に最大のマイナーチェンジが行われて、ヘッドライトの位置が高くなり、フロントグリルが少し大きくなる。テールライトも大きくなった。その後、’70年代になると安全基準にあわせてウインカーが大きくなっていく。またバンパーも大型のものになった。

ローライトと呼ばれる初期型。ヘッドライトが後のモデルよりも下に装着され、フロントグリルが2本ヒゲなのが特徴。

ローライト時代のテールライトは小さな角型のため、日本では「角テール」と呼ばれている。

1959年のマイナーチェンジでフロントグリルのデザインが変更。ちなみにカルマンギアにはカブリオレも用意された。

1959年のマイナーチェンジでテールライトは三日月型になった。

年々厳しくなる安全基準に対応するために灯火類は次第に大きくなり、1972年型でバンパーも大きくなった。

最終型の大きなテールランプにはバックランプも内蔵。それでも基本フォルムは変わらなかった。

タイプ3ベースの兄弟モデルやブラジル製もあり。奥が深いカルマンギアの世界

モデルチェンジ無しでロングセラーとなったカルマンギアは、ビートル同様に多くの小変更が行われた。また兄弟モデルも存在する。全部を解説すれば一冊の本ができあがってしまうほどで、本当に一冊ができあがってしまったのがStreet VWs増刊のフォルクスワーゲン・カルマンギア・コレクションだ。もっと知りたい人は、是非とも読んで欲しい。

Street VWs増刊のフォルクスワーゲン・カルマンギア・コレクション。発行は内外出版社。カルマンギアの歴史やバリエーション、そしてCal Lookやカスタムカーも多数収録している。


※本記事の内容はオリジナルサイト公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
※特別な表記がないかぎり、価格情報は消費税込みの価格です。

最新の記事