空冷ビートルのホイール年式変遷

ヴィンテージVWの足元は純正のままでもゴージャス!

VWロゴのホイールキャップがついたビートルの純正ホイールは、とってもオシャレ。ずっと同じように見えるホイールも、実は長い歴史のなかで足元も進化していったのです。

●文/まとめ:ストリートVWs編集部

「オシャレは足元から」

これは人もクルマも同じだ。クルマいじりの手始めとしてホイールを交換するのは定番で、カーマニアならアルミホイールに履き替えるのが基本中の基本といった感じだ。

しかし、昔ながらの鉄ホイールもクラシックカーの魅力だ。特にヴィンテージ・ビートルの純正ホイールはシンプルで美しいデザインで人気が高い。可愛いくてオシャレでしょ?


そんな純正ホイールも年代によって変化していたので、ここで全貌を把握しよう。

スプリット時代は16インチ

スプリット・ウィンドーの時代のホイール径は16インチで、幅は3インチと細かった。PCDは205mmの5穴。ホイール本体は基本的に変わらないが、ハブキャップが大きく変化した時代だ。

1938~1939年 16インチ/ドーム型ハブキャップ

1938~1939年 16インチ/ドーム型ハブキャップ

ビートルのオリジナルデザインである試作車のハブキャップは、なんの刻印もないスムースなドーム型だった。

1939~1941年 16インチ/プロペラロゴ・ハブキャップ

1939~1941年 16インチ/プロペラロゴ・ハブキャップ(写真はリプロダクション。本来はボディカラー単色で塗装される)

プロモーションのために、プロペラと歯車をモチーフにした当時のVWロゴを刻印したハブキャップが一部の個体に装着されていた。

1939~1948年 16インチ/ニップル型ハブキャップ

1939~1948年 16インチ/ニップル型ハブキャップ

1939年からニップル型のハブキャップが登場し、ドーム型から次第に置き換わっていった。

戦時中はプロペラを省略し歯車を残したVWロゴだったが、戦後は歯車をなくしたロゴになり、1948年初頭までこの形状のハブキャップが採用されていた。

1948~1949年 16インチ/ラージロゴ・ハブキャップ

1948~1949年 16インチ/ラージロゴ・ハブキャップ

1948年にドーム型に戻り、大きなVWロゴが刻印されるようになった。まだ正式なVWロゴの様式もはっきりと決まっておらず、おなじみのVWロゴとは雰囲気が異なる。

1949~1952年 16インチ/スモールロゴ・ハブキャップ

1949~1952年 16インチ/スモールロゴ・ハブキャップ

1949年からおなじみのロゴに変わり、このハブキャップは1965年式まで使われていた。

ロゴはボディカラーでペイントされ、ボディカラーによってはホイールも2色に塗り分けられるようになった。

低年式は5穴の15インチ

1952年~1965年式 15インチ・スロットなし/ドーム型ハブキャップ

1952年~1965年式 15インチ・スロットなし/ドーム型ハブキャップ

1952年のスプリット最終型からホイールが15×4インチに変更された。ハブキャップは変わらず継承。ホイールは必ず2色に塗り分けられるようになり、多くのカラーバリエーションがあった。

1966~1967年式 15インチ・10スロット/平型ハブキャップ

1966~1967年式 15インチ・10スロット/平型ハブキャップ

1966年式からサスペンションとブレーキの改良に伴ってホイールも変更。10個のスロットがあけられ、オフセット変更とともにハブキャップの形状も平たく変更された。塗り分けは基本的に白と黒のみ。

1965年までのホイールとPCDは同じだが、ハブキャップの互換性はない。

高年式から4穴に変更

左:PCD205の5穴/右:PCD130の4穴

1967年式に登場したディスクブレーキ車はPCD130の4穴に変更され、翌1968年式からはドラムブレーキ車もすべて4穴になる。これも1967年で低年式と高年式を区切る大きなポイントである。

スロットの数は8個になり、ハブキャップも5穴とは互換性がない。低年式と高年式ではアフターマーケットホイールの選択肢も違うので、履きたいホイールがある場合はホイールピッチを優先してクルマを選ぶのも重要だ。

1967~1969年式 15インチ・8スロット・白黒

1967~1969年式 15インチ・4穴・白黒

ホイールとハブキャップのデザインは2003年まで変わらなかったが、1969年式までは白と黒に塗り分けられるのが大きな特徴だ。

1970~2003年式 15インチ・8スロット・シルバー

1970~2003年式 15インチ・4穴・シルバー

1970年式からホイールがシルバー塗装に変更された。幅とオフセットのバリエーションはあるものの、2003年までこのスタイルのまま生産されていた。

純正ホイールは年式にマッチさせるのが基本

最後にマニア向けのアドバイス。純正ホイールは塗り分けひとつで雰囲気が変わってしまう。カスタムムードを高めたり、より古い年式に見せるために好きな色に塗るのも楽しいけれど、オリジナル車ならば年式にマッチさせることが基本。違和感のない自然な佇まいを生むからだ。個性を演出したいならばオリジナルをキープしたうえで、トリムリングやホワイトウォールタイヤなどのアクセサリー選びで差をつけよう。ホイール選びに悩んだら、まずは純正でビシッと仕上げるのがオシャレ! ハズしワザは、オリジナルを知っているからこそのハズしなのだ。

毎週水曜日はVOLKSWEDNESDAY! 面白くて勉強になるフォルクスワーゲン情報をお届けしますので、お楽しみに。


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