月々の登録台数をベースに本誌が独自集計を行う最新販売ランキングから2022年1-12月で売れていたクルマにズームイン。軽自動車、小型&普通登録車を含んだ総合ランキングで上位に位置するモデルモデルをピックアップしました。今回取り上げるのは総合ランキングで9位となったコンパクトSUVのヤリスクロス。なぜこのクルマが売れているのか? その理由や魅力、強みをお教えしましょう!
●文:月刊自家用車編集部(ハラ)
弱点らしき弱点がない、コンパクト級の優等生
トヨタ
ヤリスクロス
価格:189万6000〜293万6000円
2022年1月-12月の登録台数は8万2710台。小型&普通登録車に絞りこめば5位、SUVの中では2位にランクインしている。なお、前年の2021年1月-12月の登録台数は10万4010台で、この数字は総合ランキングの6位になる。前年より2万台ほど登録台数が少なくなったのは、人気の衰えというよりも供給不足の影響が大きい。そのことを裏付けるよう、直近の納期の目安もガソリン車は10か月〜、ハイブリッド車は1年以上〜と、トヨタ車の中でも深刻な状態が続いてしまっている1台でもある。
なお2020年8月の発売時に出されたリリースには、月販目標台数は4100台と記載されていた。月ごとに多少の波はあるものの、総じて目標の2倍近い台数がコンスタントに売れ続けているともいえる。
これほど好調なセールスを記録できる理由は、こなれた価格設定もさることながら、走りやキャビン性能、装備設定がバランス良くまとまっていることが挙げられる。
まず走りに関しては、ヤリス譲りの良質な走りが楽しめることが強み。1.5Lガソリン車も1.5Lハイブリッド車もパワフルとまではいえないものの十分な余力感を持っており、ゴー&ストップが多い市街路から負荷が高まる高速道路まで扱いやすい。特に高速走行時の安定性はクラストップレベルといってもいいほどだ。また燃費に優れることも見逃せない。ハイブリッド車はもちろん、ガソリン車の燃費が優れていることも美点だ。
キャビンはこのクラスとしては平均的なサイズ。ただヤリスがフロント優先の設計で2名乗車を前提にしているに対して、ヤリスクロスは後席の快適性も考慮した設計で大人4名が無理なく座ることができる。荷室は2BOX型としては無難な設計でライバルたちに対して優れているとはいえないが、普段使いレベルなら十分な内容を持つ。
そして装備の充実ぶりはヤリスクロスの最大の強みといってもいい部分。高速道路上で操舵支援を行うACCやLTAまでカバーするトヨタセーフティセンスが備わるほか、車載ITのディスプレイオーディオも装着。さほど価格が変わらないトヨタ同門のライズだと同等機能がグレード別設定になったりするのだが、ヤリスクロスは全グレード標準装着が基本になっている。下位グレードの内装加飾は価格なりでシンプルすぎる感も受けるが、このカテゴリーのモデルの中では際立って高い装備水準を誇っている。
ガソリン車は189万6000円〜、ハイブリッド車は228万4000円〜という価格設定も追い風のひとつ。最大で1年以上という納期の遅れは気になるが、待つだけの価値はある1台といえる。
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