【卓越したハンドリングと実用性を併せ持つ、新感覚ハイブリッドが登場】プジョー・408 GTハイブリッド 試乗インプレッション

個性的なSUVを輩出しているプジョーから新世代クロスオーバーがこの夏に国内導入。セダンの品格とクーペの美しさにSUVの快適性を融合させたファストバックモデル「408」の魅力をお伝えしよう。

●文:川島茂夫 ●まとめ/写真:編集部

スタイルだけじゃない。実用面でもなかなかの優等生

プジョー・408 GTハイブリッド
価格:629万円

スバル・クロストレックやトヨタ・クラウンクロスオーバーが登場したこともあって、ここにきてセダンやハッチバック、ワゴンの乗用車パッケージングをベースとしたクロスオーバーSUVの勢いが凄い。今回試乗したプジョー408は、そんな最新トレンドを色濃く感じさせてくれる新感覚のクロスオーバーSUVだ。

セダンとクーペ、SUVを融合したファストバックスタイルが与えられた408。スタイリング&パッケージで注目したいのは1500mmという低めの全高だ。このクラスの平均的なセダンよりもおおよそ50mmほど高いが、SUVと名乗るにはかなり低い設定。キャビンも縦横寸法はともかく室内高は一般的なセダン/ハッチバックなどさほど変わらない。着座位置が低くなることもあって運転席からのアイポイントも低めで、ドラポジやインパネ周りの操作動線や視認性にもSUV感はほとんど感じられない。

一方、クロスオーバーSUVを求める向きにとって重要なユーティリティ機能はクロスオーバーらしい強みを感じることができる。テールゲートの傾斜を浅くしたことで丈のある荷物の積載などでは少し不自由も感じるが、キャビン/荷室の居住性&広さに不満はない。後席格納時(最大1611L)はもちろん、通常時でも広々とした荷室(最大536L)が確保されている。クーペライクなスペシャリティな「雰囲気」とセダンらしい「実用性」をバランスよく狙ったコンセプトはなかなか新鮮だ。

この手のスペシャリティ志向が強いモデルは、エアロデザインや専用仕立ての足周り&ローダウンで差別化されることが多かったが、プジョー408はSUVモチーフにリフトアップを加えた新趣向の味付けで、これもかなり新鮮。

人を中心に構築したプジョー独自設計のi-Cockpitレイアウトを採用。ステアリングの上から覗く高い位置に設定された10インチデジタルヘッドアップインストルメントパネルなど、未来感溢れるコクピットデザインもセールスポイントのひとつ。

座り心地とホールド性に優れた完成度の高いシートの魅力も健在。ロングホイールベースの恩恵で後席のニースペースのゆとりも約188mmと十分。

ハイブリッドでも小気味良い走りが楽しめる

試乗したモデルは、1.6Lターボ&8速ATに最高出力81kWのモーターを組み合わせたGTハイブリッド。
走りの印象は、リズムよく操れることに好感を覚える。エンジンの振動騒音も控え目で、アクセル全開でも穏やか。ステップ変速時のタイムラグも僅かで、入力に対しての反応もしっかりとしている。反応も良く操る楽しさが感じられる。

この小気味よさはフットワークも同様。サスチューニングはちょっと硬めだが、ストローク量は抑えられており、弾むような揺れ返しはなく収束性もいい。荒れた路面でも上下動は穏やかで、据わりのいい乗り心地を示してくれる。操舵も神経質な挙動がないことも好印象だ。

走りの特性も含め、このクラスではスポーティ寄りのモデルだが、実用や快適性とのバランスも考慮しており、普段使いでも扱いやすい。駆動方式はFWDのみなのででオフロードには向かないが、170mmの最低地上高があれば多少のラフロードも問題ない。

ハイブリッドの名を冠しているが外部充電機構を備えたPHEVであり、満蓄電状態では66kmのEV走行が可能。ハイブリッド車としての燃費も17.1km/ℓ(WLTCモード・ハイブリッド燃料消費率)を記録している。

パワーユニットは、1598cc直列4気筒DOHC(180PS/250kW)+モーター(81kW/320Nm)の組み合わせ。システム合計出力は225PS、システム合計最大トルクは360Nmを発揮する。

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