![](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2023/10/DSC06411.jpg)
ここに来て、BEVの最新モデルが続々と登場しているが、今回試乗したアバルト500eは、走りの質で勝負できる稀有なBEV。アバルトの名にふさわしい刺激的なモデルに仕上がっていたのだ。
●文:川島 茂夫 ●写真:編集部
電動化時代になっても、クルマを操る楽しさは変わらない
アバルト
500e スコーピオニッシマ
価格:630万円(ハッチバック)660万円(カブリオレ)
「アバルト」は、トヨタで言えば「GR」であり、メルセデスベンツなら「AMG」、BMWなら「M」に相当するブランド。ただ、フィアットモデルのスポーティグレードとしての設定ではなく、独立したスポーツカーブランドとして展開されている。以前はマツダ・ロードスターをベースにしたアバルト124スパイダーなどもラインナップしていたが、現在国内に導入されているのはフィアット500ベースのモデルのみだ。
今回試乗したアバルト500eは、BEVのフィアット500eに対して、最高出力は約30%増の114kW、最大トルクは約7%増の235Nmと、高出力型モーターに変更することで性能アップが図られている。専用のシャシーや内外装を採用するだけでなく、動力性能も含めた総合的な性能向上が図られていることは、これまでのアバルトモデルと同様だ。
その走りは、まさに「やんちゃ」とか「わんぱく」と言う言葉がぴったり。
多少角を丸めているとはいえ、路面からの突き上げは大きめで、いかにもハードなスポーツドライビングに対応したサスチューン。それでいて神経質な挙動は少なく、高速コーナリングでも優れたラインコントロール性能を示してくれるので、幅広い速度域で手応え十分の操舵感が楽しむことができる。
アクセル入力の応答性は、電動駆動ならではの瞬発力をことさら主張するタイプではなく、低速から高速までリニアなコントロール感覚を重視したセッティング。BEVとしては速度上昇に癖がなく素直で、伸びやかさを強く意識した特性だ。なお、ドライブモードは、アクセルオフと回生の強度が異なる3つのタイプが選べるが、そのいずれもリニアなコントロール感覚を軸とした特性だ。
多少癖はあるもののクルマを楽しく操れる、レベルの高い走りに対して、ウィークポイントに感じてしまうのが、後席と荷室の余裕&使い勝手。これはベース車のフィアット500と同じ弱点になるのだが、使い倒すには余裕がなく、キャビン実用性はこのクラスの中で見劣りしてしまう。
さらに運転支援機能もフィアット500eにはACCが備わっているにもかかわらず、アバルト500eは定常型のクルーズコントロールとダウングレードしている。ドライバーの疲労軽減を測ってくれる運転支援機能に関しては、一昔前の水準といわざるを得ない。
アバルトらしい丁寧で上質なキャビン仕立ては好ましいが、実用性もある程度は欲しいというユーザーにはオススメしにくいモデルだ。だが、BEVでも走りに刺激が欲しい、楽しく走りたいと願うユーザーにとっては絶妙の味付けで、BEVになっても、アバルトが大事にしてきたスポーツマインドを感じることができる。万人向けではないが、BEV選びの選択肢のひとつとして、面白い存在になりうる一台だ。
ABARTH 500e Scorpionissima / Turismo | |||
ハッチバック | カブリオレ | ||
ハンドル位置 | 右 | ||
全長(mm) | 3675 | ||
全幅(mm) | 1685 | ||
全高(mm) | 1520 | ||
ホイールベース(mm) | 2320 | ||
トレッド 前/後(mm) | 1470 / 1460 | ||
車両重量(kg) | 1360 | 1380 | |
乗車定員(名) | 4 | ||
種類 | 交流同期電動機 | ||
定格出力 kw | 47 | ||
最高出力 kw(ps)/rpm [ECE] | 114(155) / 5000 | ||
最大トルク [ECE] | 235 / 2000 | ||
動力用主電池 | 種類 | リチウムイオン | |
電圧 V | 3.65 | ||
容量 Ah | 120 | ||
個数 | 192 | ||
総電圧 V | 352 | ||
総電力量 kWh | 42 | ||
充電走行距離 WLTCモード | 303 | 294 | |
交流電力消費率 WLTCモード | 152 | 158 | |
駆動方式 | FF | ||
ステアリング形式 | ラック & ピニオン (電動パワーアシスト付) | ||
サスペンション | 前 | マクファーソンストラット (スタビライザー付)) | |
後 | トーションビーム (スタビライザー付) | ||
主ブレーキ | 前 | ディスクブレーキ | |
後 | ディスクブレーキ | ||
タイヤサイズ | 205/40R18 | ||
最小回転半径 (m) | 5.1 |
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(アバルト)
世界限定1368台の特別なアバルト、国内向けは350台を販売 5月末に日本向け生産が終了となった「ABARTH 695」。今回導入される「ABARTH 695 75°Anniversario」は、「6[…]
MTで操れる、特別なアバルトが再び登場 今回導入される「ABARTH F595C 2nd Edition」は、昨年12月に発表した限定車「ABARTH F595C」の第二弾にあたるモデル。「F595」[…]
マニュアルで楽しむ、希少なカブリオレモデル 今回導入される「ABARTH F595C」は、ハッチバックの「F595」をベースに、ブラックの電動開閉式ソフトトップを搭載したカブリオレモデル。パワーユニッ[…]
アバルトシリーズ屈指の加速性能、EVになっても「アバルト」の味は健在 「Abarth 500e」は、アバルトの電動化戦略において中核を担うモデル。コンパクトな車両サイズを維持しつつ、114kW, 23[…]
歌舞伎町に展示される 「ABARTH 500e」はアバルトブランド初の100%電気自動車のモデル。アバルトブランドがオーナーと共に築いてきた、走りの楽しさや速さ、パフォーマンスへの追及といった要素を惜[…]
最新の関連記事(コンパクトカー)
世界限定1368台の特別なアバルト、国内向けは350台を販売 5月末に日本向け生産が終了となった「ABARTH 695」。今回導入される「ABARTH 695 75°Anniversario」は、「6[…]
「FIAT 500」への感謝を捧げる、4つのキャンペーンを実施 イタリア語 ”GRAZIE(グラッツェ)” は、日本語で「ありがとう」を意味する言葉。今回のキャンペーンは、2008年の日本導入以来、多[…]
特別なボディカラー「ノアール ぺルラネラ」も選択可能 今回導入される「DS 3 OPERA BlueHDi Edition Noir et Blanc」は、主力グレードの「OPERA(オペラ)」をベー[…]
MTで操れる、特別なアバルトが再び登場 今回導入される「ABARTH F595C 2nd Edition」は、昨年12月に発表した限定車「ABARTH F595C」の第二弾にあたるモデル。「F595」[…]
世界限定2500台のうち、国内へは227台が限定販売 「GTI」の称号は、フォルクスワーゲンのスポーツモデルに与えられる「伝統のグレード」名称。その起源は1976年に登場した初代「Golf GTI」に[…]
人気記事ランキング(全体)
コスパの高さは最高クラス 外壁や玄関の掃除、洗車などで活躍する高圧洗浄機。人力では落とせない頑固な汚れを落とすことができるため、家庭での使用も増えてきている。しかし、高圧洗浄機は価格が比較的高く、なか[…]
→2人暮らしができるレベルのキャンパーとは ベース車両はトヨタのハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。カスタムの幅が広く、アウトドアを中心としたユーザーに、非常に人気の高い車だ。 ハイエースは[…]
8月1日より、全国各地でフロンクスの実車を展示する、先行展示会を開催 追加した情報は、エクステリア、およびインテリアデザインやカラーラインアップに加え、チーフエンジニアやデザイナーのインタビュー動画な[…]
上級を意識した内外装仕立てで、新たなユーザー層の獲得を狙う 「新しいコンパクトSUVの市場を切り拓く」そんな狙いを持って、この秋インドから日本国内への導入が予定されている新型フロンクス。コンパクトカー[…]
Screenshot 標準車とは全く異なるワクワクするスタイリング、ボディカラーは全9色を展開 本日7月25日にスズキ「新型スペーシア ギア」の先行情報が公開された。現行スペーシアの優れた基本性能の高[…]
最新の投稿記事(全体)
耐水&耐荷重もバッチリ 「ハードシェルソーラーセンサーライト」は、駐車場や庭にピッタリな地面に設置できるソーラー充電式ライト。IPX7の防水性能と耐荷重に優れ、耐荷重約1tで車で踏んでも壊れない頑丈な[…]
ベース車両は日産のNV200バネット ベースとなる車両は日産のNV200バネット。 荷室が広くカスタムの自由度が高い。一方で、キャラバンより小ぶりなため、運転しやすく駐車スペースで悩むことも少ない。4[…]
新型LBX MORIZO RR実力チェック 新型オーラNISMO詳細解説 新型フロンクス先行試乗リポート! 今こそ買いたい!注目モデル10選! 人気ミニバン BEST BUY WLTCモード燃費付き […]
ベース車両はトヨタのハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。カスタムの幅が広く、アウトドアを中心としたユーザーに、非常に人気の高い車だ。 ハイエースはなんと言ってもクラス最大級の荷室の広さが魅力[…]
愛車に個性を持たせよう! カーショップコネクトでは、エプロンや被せるような汎用タイプとは違い、クルマのシート形状ごとに型取りを行って、ジャストフィットするシートを販売している。色やデザインを自由に選ぶ[…]
- 1
- 2