
安全システム「ホンダセンシング360」や車載ITの「Googleビルトイン」、2Lハイブリッド「新開発e:HEV」といった国内初となる最新技術が惜しみなく注入されるなど、新世代のプレミアムセダンらしい内容で話題を集める新型アコード。いまやホンダのフラッグシップモデルに登りつめたこともあって、走りの実力ぶりも気になるところだろう。ここではクローズドコースでいち早く新型アコードを試乗! その魅力をお伝えしよう。
●文:川島茂夫 ●写真:本田技研工業/編集部
2Lのe:HEVもアップデートでパワーアップ
もともとはミドルセダンとして誕生したモデルだが、代を重ねるごとに北米市場での人気が高まり、ボディ寸法もサイズアップし、それに伴い車格も向上してきた。現在、国内で販売しているFF系セダンの最上位に位置するモデルであり、ホンダのラインナップとしてもフラッグシップに相当するクルマだ。
今回導入される新型(11代目)は、基本コンセプトや適応用途は従来型と大きく変わっておらず、ファストバック風のプロポーションや6ライトキャビンを継承しながら、デザインをより洗練なイメージでまとめている。全体的にクーペ的な味わいが強まっているのも、後席の快適性に配慮しつつも、前席の居住性や機能性をより優先する最近のセダン設計のトレンドに沿ったもので、標準的な考え方といえるものだ。
パワートレーンはシリーズ/パラレル切替式のe:HEVを採用しているが、発電機と駆動モーターを並列配置した新型に変更。ベースの2L直4エンジンはシビックと同型となるが、電動系が変更されたことで中高回転域の出力が向上するなどパワーアップも施されている。ホンダセンシング360やGoogleビルトインの採用など、次を見据えた装備機能の充実ぶりも魅力のひとつになっている。
従来型と同様に2ℓのe:HEVを搭載するが、エンジンが直噴タイプに変更されたことで出力特性を強化。新設計の駆動モーターは135kW/335Nmにパワーアップ。WLTC総合モード燃費は23.8km/L。
力強さと余力感が高まったことで、上級セダンとしての魅力もアップ
ただ外観や内外装の仕立て、走行ハードウェアの構成を見た時の正直な印象は「改良型」とも感じてしまった。ブラッシュアップとかアップデート、あるいは“熟成”と言い換えてもいい。もちろん腐したつもりはなく、大人のクルマであることが求められるセダンにとっては、クルマとしての基本性能の充実はとても重要なことであり、新型には上級セダンに求められる要素をしっかりとキャッチアップした、実のある部分の進化ぶりを感じることができる。
新型をテストコースで走らせた印象も、正常進化という言葉が真っ先に思い浮かぶ。特に最高熱効率を41%にまで引き上げ、高負荷側に高効率域を拡大したエンジンの制御が巧み。従来型は登坂加速などで負荷がかかる状況だと、高回転まで一気に上がってしまう傾向が強かったが、新型は同じような状況でもエンジン回転の上昇は緩やかで、最高回転数も上手に抑えられている。力強さと余力感が増したことで、より上級セダンらしい雰囲気が増している。
乗員全てが快適に過ごせる、落ち着き十分のフットワークも好印象
フットワークは、電子制御ダンパーの効果もあって、接地安定性とラインコントロールを意識した素直な操縦性が印象的。従来型も落ち着いた運転感覚を武器にしていたが、新型と比較すると、回頭挙動や過渡特性に忙しさを感じてしまう。新型のほうが「大人のクルマ」らしく、より安心して身をまかすことができる。
ちなみにドライブモードでサスの制御特性を3つのモードから選択できるが、乗り心地や操縦性に極端な変化はない。硬さの好み違いといったレベルで、あざとい演出は成されていない。悠々としているが、けっしてルーズではなく、アコードを乗り継いできたユーザーが自然に馴染めるバランスの良さも絶妙。こんな気配りにも好感を覚える。
「グーグル」の純正採用に伴うインフォテイメントの進化や、最新のホンダセンシング360の標準装備化など、ドライバーが“便利”や“安心”を実感できる利便性のさらなる向上も新型アコードの魅力のひとつだが、全体的にバランスよくまとまっている走りの質の高さも見どころ。フラッグシップを名乗るにふさわしい、「大人の余裕」を感じさせるセダンに仕上がっているのだ。
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