トヨタのスポーツコンパクト「GRヤリス」が一部改良を施され、2024年4月に新たな姿で市場に登場しました。このマイナーチェンジモデルは、モータースポーツの厳しい要求を受けて進化を遂げたモデルであり、プロドライバーからの直接的なフィードバックをもとに設計が練り直されています。ディーラー各店では、この新しいGRヤリスの発表後、多くの問い合わせが寄せられているとのこと。では、アップデートが施され、さらに洗練されたGRヤリスの反響はいかほどでしょうか?
●まとめ:月刊自家用車編集部(ピーコックブルー)
大規模な改良を実施したことで、ラリーモデルの魅力が大きくアップ
「ヤリス」が日常での使い勝手のよさを意識して作られているのに対し、GRヤリスはWRC(世界ラリー選手権)での成功を目標に開発されたモデルです。
今回のマイナーチェンジモデルは、プロドライバーと評価ドライバーからの厳しいフィードバックをもとに、“壊しては直す”を繰り返しながら、ドライバーファーストの姿勢で開発されています。
こうした取り組みの結果、ボディや内外装だけでなく、パワーユニットも含めた車両性能が総合的に向上したとのこと。
パワーユニット:新開発の8速AT「GR-DAT」
パワーユニットとして特筆すべきは、新開発された8速AT「GR-DAT」です。
このトランスミッションは、1.6Lターボエンジンとの組み合わせで4WDのポテンシャルを最大限に引き出すよう設計され、プロドライバーが行うシフト操作と同じようなギア選択が可能になりました。
また、世界トップレベルの変速スピードを実現しており、スムーズで素早いギアチェンジがドライビングの快感をさらに高めています。
エンジンの性能も大幅に向上しており、出力は200kwから224kwへ、トルクは370N・mから400N・mへと強化されました。
コックピット:インパネまわりを再設計。よりラリー走行が楽しめるモデルへ
コックピットは、モータースポーツの現場で戦うプロドライバーとともに開発されたため、操作性と視認性が大幅に向上しています。
操作パネルとディスプレイはドライバー側へ傾けて設置され、ドライビングポジションとステアリング位置の調整により、より運転に集中しやすくなっているのが特徴です。
また、12.3インチのフルカラーTFTディスプレイや、GR専用に開発されたフルTFTメーターが採用されており、スポーツ走行に必要な情報を瞬時に伝えられる作りになっています。
エクステリア:フロントからリヤまで改良
エクステリアにおいても、フロントからリヤまで多くの改良が加えられました。
まずフロントバンパーは分割構造を採用し、冷却性能を高めるために大きな形状のスチールメッシュロアグリルが新設されています。
そしてリヤでは、一文字形状のテールランプやリヤロアガーニッシュの下部に開口部を設けることで、操縦安定性の向上とマフラー排熱の効率化が図られています。
サーキットモード:非日常な躍動感
さらに、非日常な躍動感を体験できる「サーキットモード」が有料オプションとして新設。
このモードはGPSによる位置測位を利用したもので、サーキットの利用可能エリアに入ると、抑えていた制御を開放し、再加速時のアクセルレスポンス向上/車速の引き上げなど、クルマ本来の走行性能を引き出します。
競技仕様として作られたGRヤリスのアグレッシブな走りを体験したいなら、試してみたくなる装備のひとつです。
このようにトヨタGRヤリスの最新マイナーチェンジは、すでに高い評価を受けていたモデルの魅力をより一層引き立てるものとなりました。
マイナーチェンジ後のGRヤリスで人気が高いのは、中間グレードの「RZ」
そんなGRヤリスですが、ディーラーでの評判も良好です。担当者によると、GRヤリスのおすすめのグレードは「RZ」とのこと。
GRヤリスに用意されたグレードは「RZ “High performance”」「RZ」「RC」の3種類。
もっとも安い「RC」グレードは、レース専用のベースモデルとして位置づけられており、走行に必要な装備以外が極力排除されています。
そのためエアコンも搭載されておらず、ふだん使いには向いていないこともあって、多くの人はそのひとつ上の「RZ」グレードを選んでいるとのことでした。
ちなみに取材当時は、マイナーチェンジモデルが発売された時期ということもあって、GRヤリスはその人気に比例して生産が追いつかず、新たな注文を一時停止している状況でした。
この先の新規の受注再開については、取材時点では未定。トヨタの人気モデルの中には抽選購入というモデルもありますが、GRヤリスはそこまで深刻な状況になる可能性は低そうとのことでした。
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