
最新メカニズムと装備満載の割には、意外と価格アップは控えめ。近々の新車購入を検討しているユーザーほど、新型フリードの価格を見た時に、そう感じたのではないだろうか? 新型フリードは、異例ともいうべき事前の予約受注に力を入れていたこともあって、すでに編集部には多くの購入報告例が寄せられているのだが、かなり目が付くのはホンダのミドルミニバン「ステップワゴン」と迷ってしまったというケースなのだ。
●文:月刊自家用車編集部
少し値上がりしたとはいえ、新型フリードの価格はなかなか魅力的
ガソリン車なら250万8000円から、大進化したハイブリッド車でも285万7800円からと、先代よりも若干価格アップしたとはいえ、最近の新車価格の高騰ぶりを考えれば、新型フリードの価格は、十分納得できるレベル。
本誌でお馴染みの新車購入&値引きのスペシャリスト・松本隆一氏が開催している電話相談でも、かなり早い段階から多くの相談が寄せられていたことを考えると、新型フリードを検討しているユーザーたちも、この価格は十分許容範囲だった、と考えていいだろう。
月刊自家用車本誌でお馴染みの松本隆一氏。新車購入ひとすじ40年以上のキャリアを持つ「値引きの神様」であり、これまでに多くのユーザーの新車購入をサポートしてきている。毎週火曜日の12時~17時に(一部休みの日もあり)クルマの購入に関しての電話相談(03-5830-0267)も実施しているので、新車購入で困ったことや商談テクニックを知りたいならばなんでも相談して欲しい。(メールでの相談にも対応。https://form.run/@jikayosha03まで)
困るのはシエンタだけにあらず、ホンダ同門のステップワゴンへの影響は必至
大幅な性能アップにもかかわらず、価格の上昇をがんばって控えめにした新型フリードの登場は、コンパクトミニバン選びに大きな影響を与えるのは間違いなく、シエンタを販売するトヨタ陣営は「新型フリード、手ごわし!」と最大級の警戒をしているのだが、実はそれと同じくらい懸念されているのが、フリードの1クラス上のミニバン、ホンダ・ステップワゴンへの影響だ。
松本氏曰く「新型フリードのランクが上がったことによって『ステップワゴンの客が相当数、新型フリードに流れる』とみているディーラーマンが多い。ここまでフリードが良くなったら、価格が高いステップワゴンよりも、価格に納得できる『フリードで十分』と考えてしまうのでは? とディーラーマンたちは本気で思っている」とのこと。
新型フリードとステップワゴンの価格帯を見ていくと、ステップワゴンは7月4日に価格改定を実施するため、いまよりもフリードの価格差が広がり、新価格は316万9100〜406万6700円。ガソリン車、ハイブリッド車同士で新型フリードの価格を見比べるとだいたい60万円強の違いになる。
ボディサイズやパワートレーンの性能差を考えれば、なんとか納得できる価格差といえるが、無理にステップワゴンにこだわらなくても……というのも事実だろう。商談を進めていくと値引きの差により総支払額はもう少し縮まるだろうが、これから新型フリードの試乗車がディーラーに用意されてくれば、「走り」「装備」「価格」の三拍子が揃っている新型フリードの勢いがさらに加速するのは間違いなさそうだ。
フリードよりも1サイズ大きくなるステップワゴン。サイズが大きくなっただけ、キャビンの広さも使い勝手もステップワゴンの方が上のは間違いない。現在値引きが大盤振る舞い中で、上手に商談をすれば30万円前後の値引きを狙える。ちなみに新型フリードは5~8万円が値引きの目安。
テレビCMが流れだしたら、フリードの注目度はさらにアップ
松本氏「いずれにせよ、正式発売されたこの週末(6月29日、30日)は、テレビCMもバンバン流れるだろうし、多くのホンダディーラーに試乗車が用意される。ホンダのディーラーマンたちにとっては、新型フリードを売る環境が整ったといえるわけ。そこで輝くばかりのフレッシュな新型フリードと並ぶことになるステップワゴン。発売は2022年夏と古いモデルじゃないけれど、ホンダのミニバンを検討しているユーザーたちにとっては、どちらが魅力的に映るか……。あと、地味に7月からのステップワゴンの価格アップ(平均して2~5%の値上げ)も痛いよね」
ホンダとしてはステップワゴンも大事にしていきたい根幹車種だが、新型フリードががんばりすぎたことで、ホンダ・ミニバンのヒエラルキーが崩れてしまう可能性が……。メーカーとしては新型フリードの大成功(事前予約で相当な受注を受けているようで、急がないと年内納車も危うい状況)は嬉しいだろうが、ステップワゴンのことを考えると手放しで喜んでいいのか、という事態になりそうだ。
パワートレーンはガソリン車が1.5Lターボ、ハイブリッド車が2Lのe:HEVと、どちらを選んでもフリードよりも格上。ただ、新型フリードの走行性能が向上したことを考えると、先代よりもその差は縮まっていることは間違いない。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ホンダ)
外装塗装の変更に伴い、価格改定も実施 今回実施される一部改良では、シビックRSやフリードに導入されている新たな外装塗料を採用。塗料に使用するクリア材を、従来のアクリルメラミン素材から、より機能が向上し[…]
「カーボンニュートラル達成」「交通事故死者ゼロ」に対する具体的なアプローチ例を公開 今年の「人とくるまのテクノロジー展 2025」のホンダブースでは、究極の安全を目指すモビリティの未来像が具体的に提示[…]
スパーダを、さらに漆黒に染める専用パーツを発売 今回発売されるステップワゴン・スパーダ用エクステリアパーツは、黒色を感情に訴えかける力強さと存在感を表現するカラーとして捉える「Emotional Bl[…]
パワーテールゲートや2列目シートオットマンを装着したエアーEXを設定 今回、実施される改良では、ステップワゴン エアー(ガソリン車/e:HEV車)に、パワーテールゲートや2列目シートオットマンなどを追[…]
若いユーザー層がターゲット。ベルノ店の主力モデルとして登場 「CR-X」という車種名を聞いたことがあるという人は多いと思いますが、初代「CR-X」のフルネームが「バラードスポーツ CR-X」だというこ[…]
人気記事ランキング(全体)
ナットの取り外しの基本を無視すると、トラブルの原因に… 整備作業においてボルトやナットの脱着は避けて通れない基本中の基本の作業。それだけに、ソケットレンチやメガネレンチの使用頻度は必然的に高まる。が、[…]
社内のエンスー達による趣味的な活動から始まったロードスターの開発 工業製品の商品企画は、マーケットイン型とプロダクトアウト型に大別できる。市場のニーズを調べつくして、「これこそがあなたの必要としている[…]
どんな車にも絶対ついているのがサンバイザー 車種を問わず、あらゆるタイプの車に装備されているサンバイザー。軽自動車でも高級車でも、オープンカーでも装着されていることが多い。サンバイザーは、その名の通り[…]
新型プリウスオーナーに朗報! 最新のフロントガラス周り事情に対応した内窓専用ワイパー 今回紹介するのは、内窓専用ワイパーの『エクスクリア360ワイパーフラット』。幅広いカー用品を展開するカーメイトから[…]
ネジはナメやすい! だからこそ、ちゃんとした外し方をマスター まず断っておきたいのが、本記事で紹介するテクニックは、自動車整備を前提にしている。それ以外のシチュエーションは想定していないのでご注意頂き[…]
最新の投稿記事(全体)
外装塗装の変更に伴い、価格改定も実施 今回実施される一部改良では、シビックRSやフリードに導入されている新たな外装塗料を採用。塗料に使用するクリア材を、従来のアクリルメラミン素材から、より機能が向上し[…]
コーティング剤が人気だが、ワックス派も確実に存在 簡単系コーティング剤は、カー用品店でも独立したコーナーが設けられるほど人気のジャンルだ。その立役者の1つが、シュアラスターのゼロウォーターだ。とは言う[…]
アウトランダーPHEVのコア技術を、専門の技術説明員が解説 三菱自動車ブースの主役は、2024年10月に大幅な改良を施し、市場に投入されたフラッグシップモデルのアウトランダーPHEV。リアル展示会のブ[…]
408&308で好評のボディカラー「オブセッションブルー」を採用 今回導入される「GT Obsession Blue」は、GTグレードに、2008初採用のボディカラー「オブセッションブルー」をまとった[…]
「カーボンニュートラル達成」「交通事故死者ゼロ」に対する具体的なアプローチ例を公開 今年の「人とくるまのテクノロジー展 2025」のホンダブースでは、究極の安全を目指すモビリティの未来像が具体的に提示[…]
- 1
- 2