最新メカニズムと装備満載の割には、意外と価格アップは控えめ。近々の新車購入を検討しているユーザーほど、新型フリードの価格を見た時に、そう感じたのではないだろうか? 新型フリードは、異例ともいうべき事前の予約受注に力を入れていたこともあって、すでに編集部には多くの購入報告例が寄せられているのだが、かなり目が付くのはホンダのミドルミニバン「ステップワゴン」と迷ってしまったというケースなのだ。
●文:月刊自家用車編集部
少し値上がりしたとはいえ、新型フリードの価格はなかなか魅力的
ガソリン車なら250万8000円から、大進化したハイブリッド車でも285万7800円からと、先代よりも若干価格アップしたとはいえ、最近の新車価格の高騰ぶりを考えれば、新型フリードの価格は、十分納得できるレベル。
本誌でお馴染みの新車購入&値引きのスペシャリスト・松本隆一氏が開催している電話相談でも、かなり早い段階から多くの相談が寄せられていたことを考えると、新型フリードを検討しているユーザーたちも、この価格は十分許容範囲だった、と考えていいだろう。
困るのはシエンタだけにあらず、ホンダ同門のステップワゴンへの影響は必至
大幅な性能アップにもかかわらず、価格の上昇をがんばって控えめにした新型フリードの登場は、コンパクトミニバン選びに大きな影響を与えるのは間違いなく、シエンタを販売するトヨタ陣営は「新型フリード、手ごわし!」と最大級の警戒をしているのだが、実はそれと同じくらい懸念されているのが、フリードの1クラス上のミニバン、ホンダ・ステップワゴンへの影響だ。
松本氏曰く「新型フリードのランクが上がったことによって『ステップワゴンの客が相当数、新型フリードに流れる』とみているディーラーマンが多い。ここまでフリードが良くなったら、価格が高いステップワゴンよりも、価格に納得できる『フリードで十分』と考えてしまうのでは? とディーラーマンたちは本気で思っている」とのこと。
新型フリードとステップワゴンの価格帯を見ていくと、ステップワゴンは7月4日に価格改定を実施するため、いまよりもフリードの価格差が広がり、新価格は316万9100〜406万6700円。ガソリン車、ハイブリッド車同士で新型フリードの価格を見比べるとだいたい60万円強の違いになる。
ボディサイズやパワートレーンの性能差を考えれば、なんとか納得できる価格差といえるが、無理にステップワゴンにこだわらなくても……というのも事実だろう。商談を進めていくと値引きの差により総支払額はもう少し縮まるだろうが、これから新型フリードの試乗車がディーラーに用意されてくれば、「走り」「装備」「価格」の三拍子が揃っている新型フリードの勢いがさらに加速するのは間違いなさそうだ。
テレビCMが流れだしたら、フリードの注目度はさらにアップ
松本氏「いずれにせよ、正式発売されたこの週末(6月29日、30日)は、テレビCMもバンバン流れるだろうし、多くのホンダディーラーに試乗車が用意される。ホンダのディーラーマンたちにとっては、新型フリードを売る環境が整ったといえるわけ。そこで輝くばかりのフレッシュな新型フリードと並ぶことになるステップワゴン。発売は2022年夏と古いモデルじゃないけれど、ホンダのミニバンを検討しているユーザーたちにとっては、どちらが魅力的に映るか……。あと、地味に7月からのステップワゴンの価格アップ(平均して2~5%の値上げ)も痛いよね」
ホンダとしてはステップワゴンも大事にしていきたい根幹車種だが、新型フリードががんばりすぎたことで、ホンダ・ミニバンのヒエラルキーが崩れてしまう可能性が……。メーカーとしては新型フリードの大成功(事前予約で相当な受注を受けているようで、急がないと年内納車も危うい状況)は嬉しいだろうが、ステップワゴンのことを考えると手放しで喜んでいいのか、という事態になりそうだ。
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