
「ドアパンチ」とは、駐車スペースの狭さ/ドライバーの不注意などが原因で、クルマのドアを開けた際に隣りのクルマにぶつけてしまう事故のこと。また、急いでいるときや注意力が散漫なときにドアを勢いよく開けてしまうことも原因として挙げられます。ドアパンチは一見些細な事故のように見えますが、被害を受けたクルマの持ち主にとっては、大きなストレスや修理費用がかかることがあります。では、もしドアパンチをしてしまった、または被害に遭った場合はどのように対処すればよいのでしょうか?
●文:月刊自家用車編集部(ピーコックブルー)
少し擦れた程度の傷でも、物損事故と認識すべし
そもそもこの事故の厄介なポイントは、加害者の特定が難しいこと。
ドアパンチをした加害者はバレないように立ち去ってしまうことも少なくないため、後から愛車に傷がついていることに気づいても、加害者を特定するのは困難です。
そのためドアパンチの現場に居合わすか、ドライブレコーダー/監視カメラなどの証拠を残せないと、泣き寝入りするケースが多いとも言われています。
もしもうっかりドアパンチしてしまった、あるいはされた場合は、冷静に対処することが重要なポイントと言えます。
まず、相手が近くにいる際にドアパンチをしてしまった場合は、すぐに謝罪をすることが大切です。
次に、相手の氏名/住所/連絡先/ナンバープレートを確認し、警察に連絡して物損事故として対応してもらいましょう。
相手がわからなくても、車両保険で修理は可能
その後、修理費用の交渉に備えて、損傷箇所を写真に収めた後は、自分が加入している保険会社に連絡します。
なお、当事者同士の交渉はトラブルにつながる可能性があるため、保険会社を通してやり取りしたほうがよいでしょう。
相手が近くにいない場合は、被害車両のナンバープレートを確認してから警察へ連絡します。
また可能であれば、損傷箇所/発生日時/自分の連絡先/警察へ連絡した旨などをメモして、ワイパーに挟んでおきましょう。
次に、自分がドアパンチの被害にあった際の対処法について。
前述のように、ドアパンチでは愛車のドアに凹み/傷があるのに加害者が見当たらない場合も少なくありません。
このような状況に直面したら、警察に通報して交通事故証明書を発行してもらいましょう。
交通事故証明書は、事故が実際に発生したことを証明する重要な書類のこと。
この証明書がなければ、あとになって加害者が警察に出頭した場合でも被害者にその情報が伝わらないことがあるため、必ず取得しておきましょう。
そして警察への連絡が済んだら、保険会社へ連絡します。
相手がわからない場合でも、車両保険に加入していれば、契約内容に応じて修理代が補償されることがあるため、状況を詳しく説明して必要な手続きを進めましょう。
駐車場ではリスクを避ける行動がベスト
ただ、ドアパンチは駐車スペースの狭さ/ドライバーの不注意などといった要因以外にも、強風の日にドアを開けることで発生することもあります。
つまりドアパンチは、誰しも被害者/加害者になる可能性があるため、トラブルに巻き込まれないためにも工夫を講じておくことも大切です。
まず駐車する際は、(選べるのであれば)できるだけ広いスペースを選びます。
片側が空いている場所/壁際のスペースなど、隣りにクルマがない状態を確保したり、隣りのクルマが片側に寄っていたり、斜めに駐車されていたりする場所を避けることでドアパンチのリスクを軽減できます。
また、ドアを開ける際は周囲に注意をはらい、隣りの車にぶつからないように慎重に開けましょう。
さらに、ドアストッパーやドアガードなどのアイテムを利用することも有効手段のひとつ。
このようにちょっとした対策でドアパンチのリスクは大幅に減らせるため、常に配慮を忘れたくないものです。
ドアパンチをしてしまった場合は、現場確認と謝罪/連絡先の交換/写真撮影/保険会社への連絡を行う。もし被害に遭った場合は、警察と保険会社に連絡して手続きを進める…。冷静かつ誠実な態度で対処し、双方にとって円満な解決を目指しましょう。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(クルマ雑学)
リアサスは、固定式リーフスプリングからコイルスプリングへ進化していった 長い間、リアの車軸は固定式で、それをリーフスプリングで支えていた。コイルスプリングが実用化されると、一部の高級車でそれを使うもの[…]
馬車の時代から採用されていたサスペンション サスペンションを日本語にした懸架装置という言葉が長く使われていた。その名のとおり、初期のサスペンションは車輪を車体から吊すものととらえられていたのだ。 サス[…]
初期のCVTは、駆動プーリーのみで変速比幅は狭かった ベルトやチェーンで動力を伝達する方法は古くから行われていた。この方式で変速までも行おうと考案されたのがCVTだ。 オランダのDAF社は1959年、[…]
1速からはじまった変速機 世界で初めてガソリンエンジンを搭載した自動車はベンツの3輪車で、次いでダイムラーが4輪車を送り出した。ベンツのエンジンは985㏄で最高出力は0.88ps/400回転と非力なも[…]
トーイングトラクター TOYOTA L&F 2TD-25:小さくても超ヘビー! 重い理由はボディの鉄板にあり 旅客機に積み込まれる手荷物の入ったコンテナを運ぶ。これも空港での重要な仕事のひとつ[…]
人気記事ランキング(全体)
前輪ディスクブレーキ装備やトレッド拡大で、高速走行に対応 オーナーカー時代に向けて提案したスタイリングが時代を先取りしすぎたのか、世間の無理解と保守性に翻弄されてしまった4代目クラウン(MS60系)。[…]
一年中快適。冷暖房完備の“住める”軽キャンパー これまでの軽キャンパーに対する常識は、スペースや装備の制限を前提とした“妥協の産物”という印象が拭えなかった。しかしこの「TAIZA PRO」は、そんな[…]
サイドソファとスライドベッドがもたらす“ゆとりの居住空間” 「BASE CAMP Cross」のインテリアでまず印象的なのは、左側に設けられたL字型のサイドソファと、そのソファと組み合わせるように設計[…]
ベッド展開不要の快適な生活空間 全長5380mm、全幅1880mm、全高2380mmという大型バンコンでありながら、その中身は大人二人、あるいは二人+ペットでの旅にフォーカスされている。7名乗車・大人[…]
デッドスペースにジャストフィット! 車内の温度較差を解消! 暑いシーズンのドライブは、車内の環境がシビアになりがち。炎天下に駐車後に乗り込む際や、夏場の渋滞中など、クーラーだけではなかなか車内温度が下[…]
最新の投稿記事(全体)
3年ぶりの総合優勝を目指し、3台体制で参戦 今年で30回目を迎えるAXCRは、例年の約2000kmから約2500kmへと総走行距離が延長され、競技期間も8日間に延びるなど、例年以上に過酷な設定で競われ[…]
鉄粉やドロ、油などの汚れが蓄積されがちなホイール 普段の洗車で、ある程度洗えていると思っていても、実は、汚れを見落としがちなのがホイールだ。最近は、複雑な形状のものも多く、なかなか細部まで洗浄しにくい[…]
アウトドアに最適化された外観 まず目を引くのは、アウトドアギアのような無骨さと機能美を感じさせるエクステリアだ。純正の商用車然とした表情は完全に姿を消し、精悍なライトカスタムやリフトアップ、アンダーガ[…]
「未来の国からやって来た」挑戦的なキャッチフレーズも話題 初代の「A20/30系セリカ」は1970年に登場しました。ちょうどこの時期は、モータリゼーション先進国の欧米に追い付けという気概で貪欲に技術を[…]
スノーピークが特別出展「キャンパーの食卓」も登場 スターキャンプは、1991年から続く三菱自動車が主催する名物オートキャンプイベント。これまで1万組以上の家族が参加し、自然の尊さを学びながら、家族や仲[…]