
2024年の夏、日本列島は例年を上回る猛烈な暑さに見舞われています。私たちのドライブライフにも大きな影響を及ぼすかもしれません。この夏を安全かつ快適に過ごすためには、例年以上の対策が必要となりそうですが、そもそもなぜ、2024年の夏はとくに暑いのでしょうか。
●文:月刊自家用車編集部(ピーコックブルー)
2024年の夏は例年より暑い…は、科学的な裏付けあり
2024年の夏が例年よりも暑くなっている背景には、さまざまな気象現象が複雑に絡み合っているとのこと。
まず、地球温暖化の影響により、中緯度帯を中心とした大気全体の温度が上昇している点が挙げられます。
地球温暖化とは、大気中の二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)などの温室効果ガスが増加し、地球の気温が上昇する現象のこと。
温室効果ガスは太陽からのエネルギーを吸収し、地表から放出される熱を再び地表に戻すことで、地球の表面温度を上昇させます。
この地球温暖化が原因で、異常気象や平均気温の上昇につながっているとされています。
近年は最高気温が40度近くなることも少なくない
海面水温上昇の影響で、チベット高気圧も太平洋高気圧も活発に。8月上旬が暑さのピーク
また、海洋の状況も今年の猛暑に関係しているようです。
西部太平洋熱帯域やインド洋熱帯域で海面水温が高くなると予測されており、これらの地域では積乱雲の発生が活発になります。
その影響で、上空に位置するチベット高気圧が北東方向へ張り出す傾向が強まり、日本付近を流れる偏西風は平年よりも北寄りになると予想されます。
加えて、太平洋高気圧の北西への張り出しが強まることも、今年の夏の暑さに拍車をかける要因のひとつです。
こうした気象条件が重なることで、日本列島全体が暖かい空気に包まれやすくなり、今年の夏は例年よりも暑くなるというのが専門家の見解です。
気象庁の予報によれば、7月下旬から8月上旬にかけて、フィリピン近海の対流活動が活発化し、本州付近への太平洋高気圧の張り出しが一層強まります。
この時期が今年の夏の暑さのピークとなり、昨年に匹敵する猛暑に。とくに本州の内陸部を中心に、35度以上の猛暑日を観測する地点数が多くなる可能性があり、場所によっては40度前後の酷暑に見舞われています。
35℃超えのドライブは危険もたっぷり。子どもやペットの放置は厳禁
猛暑日のドライブは、快適な旅行を楽しむはずが、思わぬ危険につながることがあります。
炎天下の車内は、エンジン停止からわずか30分で45℃まで上昇すると言われており、人体に深刻な影響をおよぼす可能性があります。
とくに注意すべきは、短時間であっても車内に子ども/高齢者/ペットを置き去りにするのは大変危険だということ。
子どもや高齢者は体温調節機能が未発達または低下しているため、より大きなリスクにさらされるおそれがあります。
また、ペットも同様に熱に弱い生き物が多く、車内に置き去りにすると命の危険にさらされてしまいます。
たとえ短時間であったとしても、猛暑日は子ども/高齢者/ペットを車内に残さないようにしましょう。
次に、可燃物を置きっぱなしにする危険性について。スプレー缶/電子機器/リチウム電池/ライターなどを真夏の車内に放置すると、車内温度の上昇が原因で破裂や爆発し、最悪の場合クルマに引火して車両火災につながるおそれがあります。
実際、モバイルバッテリーや使い捨てライターの置き忘れが原因の車両火災は多数報告されているため、クルマから降りる際は置き忘れがないか必ず確認しましょう。
また、長時間駐車していたクルマに乗り込む際は、ハンドル/ダッシュボード/チャイルドシートの表面/シートベルトの金具などに触れる前に温度を確認することが重要です。
これらの部分は熱を帯びており、不用意に触れるとやけどをする危険性があります。とくに幼い子どもを乗せる際は、細心の注意を払いましょう。
夏場は短時間でも屋外に駐車すると車内が高温になる。気温の上昇を抑えるためにもサンシェードなどのアイテムを活用したいところだ
“車内だから大丈夫”はNG。油断していると熱中症にかかる可能性も…
そして、ドライブ中の熱中症対策も忘れてはいけません。
車内は密閉された空間のため、外気温以上に温度が上昇しやすく、熱中症のリスクが高まります。熱中症の初期症状として、めまい/立ちくらみ/手足のしびれ/筋肉の痛みなどが現れることがあります。
これらの症状を感じたら、すぐにクルマを安全な場所に停車し、涼しい場所で休息をとることが重要です。
また、長距離ドライブの際はこまめに休憩をとり、水分補給を忘れないようにしましょう。
このように、2024年の夏は地球温暖化の進行/海洋の温度上昇/大気の循環パターンの変化などが原因で、例年以上の猛暑になっています。
猛暑日のドライブは熱中症のリスクが高まることを認識し、十分な注意を払うことが大切です。
こまめな水分補給、定期的な休憩、そして車内の温度管理をしっかりと行うことが、快適な夏のドライブには欠かせません。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(クルマ雑学)
高齢運転者標識:もみじマークから四葉のクローバーにリニューアル済み まず最初のマークは、高齢者が自動車運転中であることを示すマーク「高齢運転者標識」。 「シルバーマーク/高齢者マーク」とも呼ばれており[…]
青色は危険?事故率の高いクルマの色とは 自動車のボディカラーには、見た目の印象だけでなく、安全性に関わる重要な側面があります。交通事故の発生要因についての研究は多岐にわたりますが、自動車の事故率とボデ[…]
そもそも、なぜ乗り物酔いは発生するのか? 人によって程度はあるが、揺れるクルマや船などで本を読んだり、スマートフォンを操作したりすると、吐き気などの症状に見舞われることがある。いわゆる乗り物酔いと呼ば[…]
車検ステッカーは、車検時に保安基準適合すると交付される 車検ステッカー(検査標章)は、新規検査・継続検査(車検)等において、保安基準に適合すると、自動車検査証とともに交付されます。これまではフロントウ[…]
電波法関連法令の改正で、一部のETC車載器が使えなくなる ETC(Electronic Toll Collection System)とは、有料道路料金回収自動システムのことで、2001年より全国で運[…]
人気記事ランキング(全体)
ショックレスリングとは? 一般の金属とは異なる原子の規則相と不規則相が存在する“特殊制振合金”を採用した金属製のリングで、シート取付ボルトやサスペンションアッパーマウントのボルトに挟み込むだけで、効果[…]
車の足元は暗くて見にくい、そんな時のコンパクトライト 車の座席の下は暗くて、何か物を落とすと見つけにくい。例えば夜、足元に小銭を落とした際などは、車内はとても暗くて、次の日の明るい時間にならまいと見つ[…]
ベース車両はトヨタのノア トヨタ・ノアの最大の魅力は、広い室内空間と高い実用性にある。3列シートを備え、7人または8人乗りの設定があり、多人数での移動に適している。スライドドアを採用しているため、狭い[…]
争奪戦必至のSTIコンプリート、ボディカラーは5色を設定 S210は、WRX S4をベースに、スバルが2008年から参戦しているニュルブルクリンク24時間レースで得られたノウハウが投入されている500[…]
大人数でもOK! ベース車両はトヨタのハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。大型の荷室は、快適な車中泊空間や収納スペース、キッチンやベッドなどのレイアウトに柔軟に対応可能。カスタムの幅が広く、[…]
最新の投稿記事(全体)
プロトタイプといいつつも、スガタカタチはほぼ完成形 このたびインテリアやメカニズムが公開された次期プレリュードは、“プロトタイプ”こそ取れないものの、そのスガタカタチはどうみても製品仕様に限りなく近い[…]
パーキングメーターの時間を超過した…いったいどうなる? ゲート式駐車場/クイック式駐車場など、一口に駐車場といってもその形態は多種多様。都市部の大通りに設置されていることの多い「パーキングメーター」も[…]
ベース車両はトヨタのハイエース 圧倒的な耐久性と広い荷室を備えた日本を代表する車種の1つ、トヨタ・ハイエース。ビジネスユースからアウトドア、さらにはキャンピングカーのベース車両としても高い人気を誇る。[…]
軽自動車でも『車中泊』は『快適』にできます。ベース車両はスズキのエブリイ。 エブリイの最大の強みは、その広い荷室空間にある。軽自動車でありながら広い荷室空間は、後部座席を畳めば大人が横になれるほどのス[…]
見た目は普通でも中身はスペシャル、あえて別ネームで差別化 「トヨタ・1600GT」は、1967年に発売されたトヨタのスポーツクーペです。 もしこの段階で名称をWEBで検索してその画像を見たとしたら、「[…]
- 1
- 2