夏場の車内温度は、多くの人が想像する以上に高温になります。JAFが行った真夏の車内温度の変化に関するテストによると、外気温35℃の炎天下に置かれたクルマの車内温度は、60℃近くまで上昇するそうです。また車内の温度は、クルマの色/材質/駐車場の環境によっても上昇具合が異なり、たとえば黒/紺色などの濃色のクルマは、白/薄い色のクルマに比べて熱を吸収しやすく、内部の温度が高くなる傾向があります。つまり夏場の車内は、人体にとって危険な温度域に達しやすいということ。車内に置かれた荷物にも大きな影響を与えますが、放置すると危険なものとして、どのようなものが挙げられるのでしょうか?
●文:月刊自家用車編集部(ピーコックブルー)
スプレー缶:消臭剤や虫除け剤などは爆発も
夏場の車内でもっとも注意が必要なものとして、スプレー缶/缶入り飲料などの密閉容器が挙げられます。
ヘアスプレー/制汗剤/虫除けスプレーなどの日用品や、塗装用スプレー/潤滑油スプレーといったDIY用品などは、日常的に使用する機会が多いため、ついつい車内に置き忘れてしまいがち。
しかし、スプレー缶は高温になると内部の圧力が上昇し、最悪の場合爆発する危険性も。可燃性のガスを含むものも多いため、火災の原因にもなりかねません。
実際に、駐車中の車内でスプレー缶が爆発し、窓ガラスが割れるなどの事故が報告されています。
また、缶入り飲料も同様のリスクが。とくに炭酸飲料は、内部の二酸化炭素が膨張して缶が破裂するおそれがあります。
ちなみに、ペットボトル入りの飲料も、高温で変形/破裂したり、内容物が劣化したりすることがあるため要注意。
ガスボンベ:BBQ&キャンプで大活躍も、車内放置は厳禁
ライターやガスボンベなども、高温環境下に放置するのはとても危険です。これらは可燃性ガスを含んでおり、車内の高温によって爆発や火災を引き起こす可能性があります。
使い捨てのライターは忘れやすく、ダッシュボードの上や座席の隙間に落ちているのを放置してしまうケースも多いでしょう。キャンプなどで使用される小型のガスボンベも車内に置き忘れやすいので、クルマから降りる際は必ず確認することが大切です。
ちなみに事故防止の観点から、車内に消毒用のアルコールを放置するのもNGです。アルコールは温度上昇によって蒸発するため、たばこの火や静電気などの小さな火種でも引火事故を起こす可能性があります。
スマホ/ノートパソコン:バッテリー膨張→発火のコンボも
また夏場の車内は、スマートフォン/タブレット/ノートパソコンなどの電子機器にとっても過酷な環境といえます。
これらの電子機器は、0~35℃程度の温度範囲での使用を想定して設計されているのが一般的ですが、真夏の車内温度は60℃以上に達するなど、電子機器の許容範囲を大きく超えてしまう可能性が高いです。
高温環境下では電子部品の劣化が急速に進行し、バッテリーの膨張や液晶画面の損傷などの問題が発生する可能性があります。とくにスマートフォンやモバイルバッテリーなどに搭載されているリチウムイオン電池は、熱に弱く、高温環境下で膨張や変形が起こりやすいです。
最悪の場合、発火や爆発につながる可能性があり、車内に放置されたスマートフォンが発火し、車両火災を引き起こした事例も報告されています。
そのほか、ポータブルゲーム機やデジタルカメラなども注意が必要です。
これらの機器は、内部に精密な電子部品やレンズを使用しているため、高温による影響で機器の性能が低下したり、故障したりする可能性があります。
また、USBメモリやポータブルハードディスクなどの記録媒体も同様で、データの破損や読み取り不能になるおそれがあります。大切な機器を守るためにも、車内に放置しないよう心がけましょう。
子ども&ペット:短時間でも置き去りは絶対に厳禁
そして、子どもやペットを置き去りにすることは絶対に避けるべきです。
子どもは体温調節機能が未発達なため、「短時間だから大丈夫」という気持ちで車内に残していくと、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
また、ペットも車内放置の被害者となりやすい存在です。
犬や猫は、汗腺が少なく体温調節が難しいため、人間以上に熱中症のリスクが高いと言われています。JAFによって行われたテストでは、窓を開けたりサンシェードを装着したりしても、温度抑制効果は低く、人や動物が耐えられない温度まで上昇するという結果が発表されました。
最悪の場合、死亡事故につながる可能性もあるため、炎天下の車内に子ども/高齢者/ペットは置き去りにしないようにしましょう。
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