
今年3月にニューヨークで発表された次期キックス。北米ではこの夏のデリバリーが予告されていたが、8月13日(現地時間)に北米仕様車の価格などが発表された。
●文:月刊自家用車編集部
北米仕様車は「e-POWER」ではなく2Lガソリン車だが、予想よりもこなれた価格
注目される北米キックスの価格は2万1830ドル(1ドル147円換算で約321万8000円)から。
前世代モデルと比べると500ドル未満の値上げになっているが、予想よりも値上げ幅は少ないというのが率直な感想だ。
キックスの北米仕様車のパワートレーンは、2LのNAエンジンにCVTを組み合わせたもので、シリーズ式ハイブリッドの「e-POWER」を搭載する現行キックスの国内仕様車とは単純に比較することはできないが、シャシーや走行メカニズム、車載IT機能が大きくジャンプアップするにもかかわらず、この程度の値上げ幅で抑えられているのは、国内仕様車を待つ立場としては心強く思える。
●次期キックス 北米仕様車のグレードと価格 | |
モデル | 価格 |
キックスS | 21,830ドル |
キックスS AWD | 23,330ドル |
キックスSV | 23,680ドル |
キックスSV AWD | 25,330ドル |
キックスSR | 26,180ドル |
キックスSR AWD | 27,680ドル |
8,4インチ(約213mm)の最低地上高やAWD機構の強化、大径タイヤの採用で、都会的な見た目以上に高いオフロード適性を持つ。レジャービークルとしても相当な実力アップが期待できそうだ。
適度に包まれ感を感じるキャビンは、レイアウトも装備機能も現行ノート世代へとジャンプアップ。車載ITも一気に世代が進むことになる。
シートは無重力空間をヒントに設計されたゼログラビティシートが装着。無重力状態で脱力した姿勢に近いポジションを取ることで、長時間の着座による疲労感を軽減してくれる工夫が盛り込まれる。
最上級グレードとなるSR。横基調に描かれたボクシーな面構えや、エッジを効かせた数々のパネル加飾は、これまでの日産のクルマとは違ったアプローチ。個性の面でも相当面白いモデルになりそうだ。
国内仕様車の導入時期は不明だが、現行モデルと同じく「e-POWER」で勝負するのは確実
現時点では、日産は新型キックスの国内導入についてアナウンスを行っておらず、導入時期はもちろん、導入されるかどうかも不明という立ち位置だが、2020年に国内導入が始まった現行キックスは約4年間の累計で10万台に迫る登録台数を記録している人気のコンパクトSUV。当然、日産がこれだけのマーケットを手放すとも思えないため、次期型が導入されるのは既定路線と考えていい。
ちなみに現行キックスの価格は308万3300~348万1500円。ライバルとみなされているヤリスクロスやカローラクロス、ヴェゼルよりもスタート価格が高くなっているのは、パワートレーンがハイブリッド車のみ&装備充実の上級グレード中心の展開という理由が大きい。最近の日産が進めているe-POWERを中心に据えたモデル展開を考えれば、新型キックスの国内仕様車もe-POWER車のみになるだろう。
ガソリン車が中心の北米仕様車とはいえ、新旧の価格差が500ドル未満に収まっていること、さらに1クラス上のエクストレイルの価格(360万1400円から)を考えれば、新型キックスの国内価格はエクストレイルとの関係からして、現行型の価格にプラスαした程度になりそうだ。
現行型の国内仕様車はタイ工場が生産を担当。グレード展開は上級グレード相当のみに絞られる。豪華な内外装加飾に加えプロパイロットも標準装備、あとは好きなナビを選ぶだけでOKだ。
フォーマルな雰囲気が強まった新型に対して、現行型はカジュアルなイメージでまとめられている。ナビ&オーディオは2DINスペースに好きなシステムをインストールするタイプ。
荷室はサイズなりで、後席格納もシンプルな前倒式だが、床面に段差を生じさせないことで積載性の向上が図られている。
2022年のマイナーチェンジでリヤにも駆動モーターを配置する4WD車を追加。巧みな前後輪駆動制御を行うことで、オンロードでも上質な走りを追求している。中古車でも後期型は人気が高く、新車価格とさほどかわらない水準で取引されている。値引き次第では、現行型を狙うのも十分ありだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(日産)
ベース車両は日産・セレナ セレナはミニバンの中でも特に室内空間が広く、乗員全員が快適に過ごせる設計になっている。3列シート仕様が標準で、7人乗りと8人乗りの選択肢がある。2列目にはキャプテンシート(7[…]
新型「日産リーフ」は、北米市場に投入後に日本国内でもデビュー 公開された投入計画によると、2025年度から2026年度にかけてハイブリッド車(第3世代e-POWER&プラグインハイブリッド)、次世代電[…]
日産NV200バネットベースのキャンパー ツェルトNV(東和モータース販売) ベースとなる車両は日産 NV200バネット。荷室が広くカスタムの自由度が高い。一方で、ハイエースやキャラバンより小ぶりなた[…]
快適な車中泊に必要な装備が満載。もはや移動できる部屋 日産ピーズフィールドクラフトの最新モデルとなる「クラフトキャンパーブリランテ」は、同社独自のキャビン設計が注入された使いやすさと豪華な機能にこだわ[…]
欧州市場の拡大を目指した901活動で生まれ変わった、日産伝統のFRクーペ 日産のCMに使われている「技術の日産」というキャッチフレーズは、けっして伊達ではない。経営環境の変化の波に揉まれることもあった[…]
最新の関連記事(SUV)
インテリアにエンペラドールブラウン色のレザーシートを採用 今回導入されるジープ・コマンダー フリーダム エディションは、リミテッドをベースモデルに、人気オプション のコマンドビュー デュアルペインパノ[…]
NIGO氏が手掛けたアート作品に着想を得た特別仕様車 今回発表された「Gクラス Past Ⅱ Future」は、メルセデス・ベンツとファッションブランド「MONCLER(モンクレール)のコラボレーショ[…]
国内仕様は6つのグレードを設定。最新ハイブリッド「S:HEV」が主力モデルに 新型フォレスターはすでに北米では発売されているが、まもなく正式発売される国内仕様車の概要(諸元はプロトタイプの数値)やグレ[…]
“OVERTRAIL+”に加えて、7人乗りの“version L”を新規設定 GX550は、「ザ・プレミアム・オフローダー」を開発コンセプトに掲げるモデル。GA-Fプラットフォームや、静粛性と出力燃費[…]
よりフォーマルな雰囲気が楽しめるバイトーン仕様も選択可能 今回導入される「”THE 70th”」は、クラウン誕生70周年を記念して発売される特別仕様車。 「日本の風景との調和」を表現した2つのバイトー[…]
人気記事ランキング(全体)
困ったときのお助けサービス。知っておくと、いざというときに安心 サービスエリアやパーキングエリアの片隅に置かれた、コンパクトな機器。ほとんどの人が、気にもとめずに素通りするが、必要な人にとっては、実は[…]
見た目は普通でも中身はスペシャル、あえて別ネームで差別化 「トヨタ・1600GT」は、1967年に発売されたトヨタのスポーツクーペです。 もしこの段階で名称をWEBで検索してその画像を見たとしたら、「[…]
便利なカーナビ、画面が暗くなると汚れが目立つ いつでもどこでも知らない道を案内してくれる、ドライバーにとって心強い相棒とも言える「カーナビ」だが、ふと気がつくと指紋や皮脂でベタベタ…タッチパネルの宿命[…]
軽自動車でも『車中泊』は『快適』にできます。ベース車両はスズキのエブリイ。 エブリイの最大の強みは、その広い荷室空間にある。軽自動車でありながら広い荷室空間は、後部座席を畳めば大人が横になれるほどのス[…]
ショックレスリングとは? 一般の金属とは異なる原子の規則相と不規則相が存在する“特殊制振合金”を採用した金属製のリングで、シート取付ボルトやサスペンションアッパーマウントのボルトに挟み込むだけで、効果[…]
最新の投稿記事(全体)
インテリアにエンペラドールブラウン色のレザーシートを採用 今回導入されるジープ・コマンダー フリーダム エディションは、リミテッドをベースモデルに、人気オプション のコマンドビュー デュアルペインパノ[…]
ルームミラータイプの変更で、価格を抑えた特別仕様車 今回導入される特別仕様車T Premium Limited Edition/G Premium Limited Editionは、上級グレードのT […]
NIGO氏が手掛けたアート作品に着想を得た特別仕様車 今回発表された「Gクラス Past Ⅱ Future」は、メルセデス・ベンツとファッションブランド「MONCLER(モンクレール)のコラボレーショ[…]
新デザインやカラーをプラスすることでイメージ一新 今回のステップワゴン スパーダ用純正アクセサリーは、従来の「Emotional Solid(エモーショナルソリッド)」から「Emotional Bla[…]
レジャー系装備をプラスしつつも、価格は据え置き トナーレは、La Metamorfosi(ラ・メタモルフォシ/変革)」を体現したミドルサイズSUV。エモーショナルなイタリアンデザインや伝統のスポーツ性[…]
- 1
- 2