「頭も下げない」「ハザードも付けない」激怒する運転手。サンキューハザードって必要?

ハザードランプ、正式名称「非常点滅表示灯」は一般的に車両の故障や緊急停止を知らせる手段として使用されるものです。しかしドライバーの間では、感謝の意を示す際にサンキューハザードという使い方が広まっています。サンキューハザードは本来の使用目的とは異なりますが、違反になるのでしょうか。

●文:月刊自家用車編集部

ハザードランプの正しい使用方法とは?

SNSなどで「道を譲ってやったのに、ハザードランプどころか頭も下げない」無駄にイライラした投稿をチラホラと見かけるが、そもそもサンキューハザードは違反ではないのか?

ハザードランプボタン

交通法規においては、ハザードランプは主に車両の故障/事故による停車を知らせるときなどに使用されます。

具体的には、エンジン故障/タイヤパンク/交通事故などで車両が停車しなければならない場合、他のドライバーに自車の存在を知らせるために使用することで、後続車が自車に衝突するリスクを減らすことができます。

また、急な障害物や事故に遭遇して急停車を余儀なくされた場合、後続車に対して自車が停車する可能性を知らせたり、渋滞/混雑の際に自車が長時間にわたり低速で走行することを知らせるために使用することもあります。

これは、とくに高速道路での長時間の渋滞や混雑時に有効です。

そしてハザードランプは、感謝の意を示すための “サンキューハザード”という形でドライバー間のコミュニケーション方法として広まっています。

サンキューハザードは他の車に道を譲ってもらったり、助けられた時に感謝の意を示すためにハザードランプを点滅させることを指します。

本来ハザードランプは、交通事故や車両トラブルといった緊急時に使用する。

しかしサンキューハザードは、前述した本来の使用目的とは異なります。交通法規には違反しないのでしょうか。

結論から言えば、サンキューハザードを一概に違反と断じるのは難しいです。

ハザードランプの使用に関する法規制は、主に車両が故障や事故で停車した際の使用を前提としています。そのため、サンキューハザードが具体的に禁止されているわけではありません。

しかし、注意を喚起するための道具としてのハザードランプが、危険を伴わない状況で乱用されることで、他のドライバーが混乱を招く可能性もあります。

とくに、他のドライバーがハザードランプの点滅を危険信号と誤認し、不必要な運転操作をおこなう可能性がある場合、道路交通法の安全運転義務違反に該当する可能性もあります。

安全運転義務違反が適用された場合は違反点数2点に加え、大型車は1万2000円、普通自動車には9,000円の反則金が科せられるのです。

また、ハザードランプを無闇に使用すると煽り運転として罰せられる場合もあります。

煽り運転の罰則は非常に厳しく、著しく危険な運転と判断された場合には3年以下の懲役または50万円以下の罰金に加え、違反点数25点が加算されることで免許取消し処分となります。

サンキューハザード自体は感謝の意を示すコミュニケーションの一環として広まっているものの、その使い方が混乱や誤解を生む可能性がある場合は、使用する際には注意が必要です。

サンキューハザード以外の方法で感謝を伝えることも

サンキューハザードは、使用方法によっては他のドライバーや通行人に対して不必要な混乱を招いてしまう可能性があります。

そのため、サンキューハザード以外の方法で感謝を伝えることが望ましいと言えるでしょう。

たとえば道を譲ってもらった際は片手をあげるなど、ハザードランプを用いなくても相手に感謝を伝えられます。

ハザードランプを無闇に使用すると無用なトラブルを招くことも。使用状況の見極めが大切だ。

しかし、サンキューハザードはドライバー同士のコミュニケーション文化として深く根付いているため、サンキューハザードがないからと怒ってしまうドライバーもいるかもしれません。

文化としての側面を理解したうえで、サンキューハザードの代わりになる手段を取ることで、お互いに気持ちがいい運転を実現できるでしょう。

また、ありがとうランプという後続車への感謝をつたえるアイテムも市販されている。そういったものを使用してみるのも良いかもしれません。

通行人や周囲の車両のためにも、常に相手を尊重してルールを守り、感謝の気持ちを伝えることが大切です。他のドライバーにとって混乱の元にならないように、ハザードランプを無闇に使用することは絶対に避けましょう。

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