
クルマ好きであれば、空いた時間に中古車検索サイトなどを介して、”出物”ウォッチをしたことがあるはず。買わない(買えない)と分かっていても、思いがけず”出物”に遭遇すると心がざわめく。そして、あっけなく誰かに「かっさらわれて」、意味もなく落ち込んだり……。しかし最近は、ハナから想定を大きく超えるクルマも目立ってきた。特に国産スポーツカーではその傾向が顕著で、入力ミスではないかと疑いたくなるほどの価格を提示するケースも。そこで今回は1990年代にデビューしたモデルを軸に、驚きの値段を付けているクルマ5車種をピックアップしてみた。
●文:松村 透/月刊自家用車編集部
ホンダNSX[NA1/NA2]
- 生産期間:1990年9月~2005年12月
- 新車時価格:800.3万円〜1035.7万円
- 中古車の価格帯:635万円~5930万円
1990年9月デビュー。クルマ好きであればもちろんのこと、一般の人が見ても”特別なクルマ”だということがひと目で分かるホンダ初代NSX。新車価格が800万円という、当時の日本車のなかでも別格といえる存在だった。バブル期に発売されたこともあり、予約が殺到。2年待ちとアナウンスされたほどだ。ちなみに3リッターがNA1型、3.2リッター車がNA2型となる。1992年にはよりスポーツ走行に舵を切ったタイプRもデビューし、2002年にはNSX-Rと名前を変えて再び登場している。たゆまぬ進化を繰り返し、じつに15年間も生産された、日本を代表するスポーツカーのひとつだ。
そんな初代NSX、一時期はATであれば400万円を切る中古車もあったが、今や600万円台が底値という状況。走行距離が10万km未満の個体はAT/MTを問わず1000万円オーバーとなっている。
ホンダ初代NSX
ホンダ初代NSX
ホンダ初代NSX
ホンダ初代NSX
ホンダ初代NSXタイプR
アンフィニ/マツダRX-7[FD3S]
- 生産期間: [アンフィニ]1991年12月~1997年10月/[マツダ]1997年10月~2002年8月
- 新車時価格:299.8万円〜444万円
- 中古車の価格帯:280万円~1530万円
1991年12月デビュー。“ロータリーエンジン・ベスト・ピュア・スポーツカー”のコンセプトを引っさげてデビューした、アンフィニRX-7。マツダがル・マン24時間耐久レースで総合優勝した年にデビューしたのも、不思議な因縁といえるかも。アンフィニチャンネル消滅に伴い、1997年10月からはマツダRX-7に車名変更しつつ、デビューから11年間も生産されたロングセラーモデルだ。走りはもちろん、今見ても美しい、時代を超越したフォルムをこよなく愛するファンも多い。
スポーツカーゆえにチューニングされ、事故で廃車になったRX-7も少なからずあるなか、今日まで生き延びてきた個体はかなり貴重な存在だ。かつては100万円以下の個体もゴロゴロあったが、いまや200万円台後半がスタートライン。低走行&フルノーマルの場合は、1000万円をはるかにオーバーする個体もあるほどだ。
アンフィニRX-7[FD]
アンフィニRX-7[FD]
マツダRX-7[FD]
マツダRX-7[FD]
トヨタ スープラ[A80]
- 生産期間:1993年5月~2002年8月
- 新車時価格:284万円〜474万円
- 中古車の価格帯:513.3万円~1100万円
1993年5月デビュー。派手な大型リヤスポイラーや、搭載される3リッター直列6気筒ツインターボエンジンに、6速MTなどなど。メーカーが販売するクルマとしては当時、かなりインパクトが強かったモデルだ。ほかにもNAエンジン/5速MT、ATモデルや、タルガトップ仕様も用意された。ル・マン24時間耐久レースに参戦したほか、国内のレースにおいてもGT500クラスにエントリーするなど、モータースポーツの世界でも活躍した。
いわゆる”80スープラ”の現在の中古車相場には、ただただ驚くしかない。スタートラインが500万円台なのだ。走行距離10万kmオーバーでもスポーツグレードのRZなら700〜800万円も珍しくないという状況だ。
トヨタ80スープラ
トヨタ80スープラ
トヨタ80スープラ[タルガトップ]
ニッサン スカイラインGT-R[BNR34]
- 生産期間:1999年1月~2002年8月
- 新車時価格:499.8万円〜630万円
- 中古車の価格帯:1478万円~7329.4万円
”第2世代GT-R”の最後を飾るべく、1999年1月にデビューしたニッサン スカイラインGT-R[BNR34]。生産期間はおよそ3年半と、R32GT-RやR33GT-Rと比べても短い。先代のR33GT-Rよりもボディサイズをコンパクトにしたことで知られ、名機”RB26DETTエンジン”を搭載した最後のモデルとしても人気が高い。ファイナルモデルである”VスペックIIニュル”および”Mスペック ニュル”は発売日に即完売になるほどの過熱ぶりであった。
もともと中古車相場も高値安定のまま現在にいたるR34GT-Rだが、ここ数年の過熱ぶりは数ある国産スポーツカーのなかでも突出しているといえる。いまやスタートラインが1500万円であり、もっとも高価な個体ともなれば、豪邸が建つほどの価格帯となってしまったほどだ。
ニッサン スカイラインGT-R[R34]
ニッサン スカイラインGT-R[R34]
ニッサン スカイラインGT-R[R34]Mスペック ニュル
ニッサン スカイラインGT-R[R34]Mスペック ニュル
ニッサン スカイラインGT-R[R34]Mスペック ニュル
ニッサン スカイラインGT-R[R34]Vスペック ニュルII
ホンダS2000[AP1/AP2]
- 生産期間:1999年4月~2009年6月
- 新車時価格:378万円〜399万円
- 中古車の価格帯:169万円~1531万円
1999年4月デビュー。S800以来、およそ30年振りに復活したホンダのFRオープンスポーツモデルとして知られる。前後重量配分50:50を実現し、2リッターの直列4気筒エンジン”FC20型”のレッドゾーンは9000回転という、超高回転ユニットも大きな魅力とされる1台だ。2003年のマイナーチェンジ時には、多少ピーキーさが抑えられるなどクルマとして熟成が進んだ。2005年11月には、エンジンが2.2リッターに変更され型式はAP2に。生産終了から15年経過した現在も、高い人気を誇る。
今回取り上げた5台のなかでもっとも振り幅が大きなモデルといえるのがS2000だ。20万km前後の過走行&修復歴ありの個体であれば、100万円台で販売されているいっぽうで、10万kmオーバーのクルマでも200〜300万円台個体もある。走行距離よりも、オリジナル度やコンディションを重視した相場感といえる。
ホンダS2000[AP1]
ホンダS2000[AP1]
ホンダS2000[AP2]
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。※価格帯の値は車両本体価格です。中古車価格については、2024年9月時点での中古車相場をもとに掲載しています(大手中古車サイトを用いた編集部調べ)。新車当時価格は、デビュー時などある時点でのカタログをベースとするなどした、参考値です。
最新の関連記事(旧車FAN)
人気タレントを使ったテレビCM戦略は、ミゼットから始まった クルマのCMにタレントが登場するのは、今では当たり前のこと。旬のタレントと新型車の取り合わせは、時に大きな話題にもなる。その先駆けとなったの[…]
最後のFRレイアウトとなった4代目のカローラ 「カローラ」として4代目になる「E70系」シリーズは1979年に発売されました。 初代の時からニーズに細かく合わせて、セダン/クーペ/バン/ワゴンと多くの[…]
自動車での物流に先駆け、安価なオート三輪を開発 マツダの自動車製造の第一歩 1920 年(大正9年)、中国地方の山間部で自生していたブナ科の落葉樹「アベマキ」を使用したコルクを製造するメーカーとして、[…]
初代センチュリー(VG20) 政財界のVIPにより認知度を上げていった国産ショーファーカー ショーファードリブン。後席に乗る主役のために運転手つきで運用される大型セダンは、専属の御者が操る貴族の自家用[…]
大阪の商人らしい、「商いのうまさ」で誕生したコンパーノ コンパーノは、ダイハツが戦前から築き上げてきた商用車メーカーとしての地位から、乗用車市場へと本格的に参入する転機となった記念すべきシリーズモデル[…]
最新の関連記事(スポーツ)
欧州スポーツカーとは異なる出自 まずお金の話で失礼しますが、クルマの開発にはそもそも大金がかかります。一例をあげると、ドアを1枚新たに開発するだけで、そのコストは軽く数億から10億円超にもなるといいま[…]
「アルピーヌ A110 R 70」:世界770台限定の「R」バージョン最終仕様 今年でブランド創立70周年となるアルピーヌ。今回実施されるラインナップ変更では、ブランド設立を記念した「アルピーヌ A1[…]
プロトタイプといいつつも、スガタカタチはほぼ完成形 このたびインテリアやメカニズムが公開された次期プレリュードは、“プロトタイプ”こそ取れないものの、そのスガタカタチはどうみても製品仕様に限りなく近い[…]
争奪戦必至のSTIコンプリート、ボディカラーは5色を設定 S210は、WRX S4をベースに、スバルが2008年から参戦しているニュルブルクリンク24時間レースで得られたノウハウが投入されている500[…]
F1参戦のホンダに対しトヨタが目指したのは「ル・マン」だった 高度経済成長に沸いていた1960年代の日本人にとって、あらゆるカテゴリーにおいて世界に肩を並べることは、悲願とも言えた。世界に負けないモノ[…]
人気記事ランキング(全体)
侮るなかれ、さまざまな効果が得られる空力パーツ 先日、知り合いからユニークなカーグッズを紹介された。細長いプラスチックパーツが12個並べられているパッケージ。一見すると、どんな用途でどのように使用する[…]
最後のFRレイアウトとなった4代目のカローラ 「カローラ」として4代目になる「E70系」シリーズは1979年に発売されました。 初代の時からニーズに細かく合わせて、セダン/クーペ/バン/ワゴンと多くの[…]
コンパクトボディに快適空間を凝縮。夫婦旅に最適な「北斗 対座モデル」 キャンピングカー選びにおいて重要なのは、自分たちのライフスタイルに合った1台を見つけること。家族4人でワイワイ出かけたい人もいれば[…]
トラブル時にも対応可能。万が一に備えて安心ドライブ 車に乗っていると、どうしても避けられれないトラブルに遭遇することがある。どれだけ用心していても、不可抗力で発生することもある。例えば、釘やネジを踏ん[…]
夏の猛暑も怖くない、ロール式サンシェードが作る快適空間 夏のドライブで誰もが感じる悩みは、車内の暑さだ。炎天下に駐車すれば、シートやダッシュボード、ハンドルが触れないほど熱くなる。さらに紫外線による内[…]
最新の投稿記事(全体)
ガソリンモデルにクラス初となるインテリジェントクルーズコントロールを採用 今回実施される仕様向上では、各種法規に適合したうえで、安心安全快適を提供する機能を追加。 ガソリンモデルにクラス初となるインテ[…]
家族連れにも楽しんでもらえる、多くのコンテンツを用意 「フォーラムエイト・ラリージャパン 2025」は、ラリー競技の最高峰であるFIA世界ラリー選手権のシリーズ戦の一つである世界大会で、全14戦となる[…]
静粛性強化で、より自然に寛げるキャビンを実現 今回の改良では、静粛性の向上と居住空間の快適性、利便性の改善が図られた。 具体的には、 後輪からのロードノイズやバックドアからの振動音を軽減するため、リヤ[…]
新しい外装塗料が導入したことで、価格改定を実施 今回の改良で、すでにシビックRSグレードやZR-Vに採用されている新しい外装塗料が導入される。この塗料は、クリア材が従来のアクリルメラミンから、より高性[…]
人気タレントを使ったテレビCM戦略は、ミゼットから始まった クルマのCMにタレントが登場するのは、今では当たり前のこと。旬のタレントと新型車の取り合わせは、時に大きな話題にもなる。その先駆けとなったの[…]
- 1
- 2