少し前のクルマのインパネにあったこのマーク。最近のクルマではあまり見かけなくなった。果たしてこのマークは何を意味して、どうして姿を消したのか? そのナゾを追った。
●写真/文:オートメカニック編集部
なぜ消えた?排気温センサー激減のナゾ
排気温度センサーは、触媒の温度を検知し、触媒が危険な高温に達したときに排気温度警告灯を点灯させるためのセンサーだ。このセンサーは、いつのまにか触媒マフラーから消滅し、同時に排気温度警告灯もインパネから消滅した。その理由は何か? これは、世にも分かり難い文章の手本のような「法律」ってやつが改正されたことにある。
クルマの構造を決めているのは、皆さんご存知の“道路運送車両の保安基準”だ。その31条の中に、触媒 マフラー遮熱板の取り付けと、触媒マフラー温度異常上昇時の警告灯取り付けが規定されている。
こんな規則は、だいたいがアメリカの決まりを取り入れたものだが、アメリカでは平成7年に、OBDII(車載 故障診断)システム、またはOBDIIと同等の機能を持っていると認められるシステムを、排気温度警報装置として認めることになった。そして、不完全燃焼によって触媒が過熱状態になると検知したとき、燃料カットを行う機能を持っているクルマについては、 排気温度警告灯の取り付けをしなくてもいいことになった。
ここまではアメリカの話だが、それじゃあ日本も同じようにしようかということになるのは当然の流れ。でも、日本の道路運送車両の保安基準では、ちょっと面白い条件が付くことになった。それは“無接点式断続器採用エンジン車”について、排気温度警告灯の取り付け除外を認めるというものだ。
これが排気温センサー。初代ホンダ オデッセイのもの。不完全燃焼による排気(触媒)温度の異常上昇を監視している。
無接点式断続器というのは“フルトラ”やデスビレス・コンピューター・コントロールタイプのこと。接点式(ポイント式)は経年変化によって点火ミスが発生する可能性があるが、無接点式は方式だけを見れば経年変化はないので、触媒過熱は発生しないだろうということが、排気温度警告灯の取り付けを不要にした大きな理由だ(もちろん、プラグコードなどの 不具合による失火は起こりうる)。
そして、平成9年5月1日から、排気温度警告灯を付けなくてもいいことになった。だから、この時期から排気温度警告灯と排気温度センサー省略車が現れ始めた。また、ここでの道路運送車両の保安基準改正には、もう一つの改正点がある。それは、遮熱板の取り付けも不要になったことだ。ただし、ここでの決まりは、あくまでも“無接点式の断続器”を備えたクルマということだから“接点式断続器”タイプのエンジンは対象にならない。
排気温センサー動作のメカニズム
動作メカニズムは、図のように先端に温度ヒューズが設けられていて、一定温度を超えた時点で溶断することで異常を伝達する。一度限りの自己犠牲パーツなのだ。
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