クルマ好きなら1度は聞いたことがあるでしょう、「最新は最良」のフレーズ。安全装備が充実していて、燃費もいい、各種快適装備も満載。それでも、最新車では得られない魅力が、旧車&ネオクラシックカーにあるのもまた事実です。そこで今回は、愚問(?!)かもしれませんが「旧車&ネオクラシックカーを所有するメリット/デメリット」について、考えてみました。
●文:松村 透/月刊自家用車編集部
メリット1:ドライバーがクルマに合わせるという”楽しさ”
一般的に、古いクルマになればなるほど、オーナー(ドライバー)がクルマに合わせなければスムーズに動かすことが難しくなります。
古いキャブ車であれば、エンジンスタートにいたるまでの一連の動作そのものが”儀式”。走行中もラフな操作をすれば、とたんにクルマの動きがギクシャクしてしまうことも。下手をすると、壊してしまいかねません。
それでも諦めずに少しずつクルマとの”シンクロ率”を高めていくと、そのうち一心同体になった(と錯覚するような)感覚が得られるようになります。
この醍醐味は、現代のクルマでは決して味わえないもののひとつかもしれません。
メリット2:独特の音/匂い/振動がある
もちろん、現代のクルマでも(それが電気自動車であっても)音・匂い・振動を感じることはできますね。
しかし、ここで言っているのはそれとは「似て非なるもの」です。言うなれば、古い機械が息づくことで発するありとあらゆる音、匂い、そして振動。
どんなイメージなのか想像できないとしたら、たとえば実際に動いているSL(蒸気機関車)など、古い機械のできるだけ側に近寄ってみてください。
もしあなたに”素質”があれば、機械でありながら「まるで生きている」かのような錯覚を覚えるはずです。
最新版では決して表現できない、アナログだからこその味わい。そんな手応えは、何物にも代えがたいと言えます。
メリット3:同じ趣味を持つ仲間との出会いも
「クルマはコミュニケーションツール」なんて言われることがあります。
年齢を重ねるごとに友人を作るのが難しくなる、なんて言われがちですが、たとえ面識がなくとも、同じクルマやメーカーをこよなく愛する者たち同士が集まると、自然な流れで意気投合できることも少なくありません。
そのうち、クルマ談義だけでなく、お互いの境遇や人生観などもざっくばらんに話せるような「波長の合う人」に出会えるかもしれませんね。
幼なじみや学生時代の友人とは異なり、大人になってからの”類トモ”の存在も、人生にとって大きなプラスに作用することでしょう。
デメリット1:現代のクルマより維持費がかかる
メリットがあれば、残念ながらデメリットも存在します。まずは「現代のクルマより維持費がかかる」ことについて、触れないわけにはいきません。
メンテナンス代全般/部品代/ガソリン代/重課税…などなど。旧車&ネオクラシックカーは高い確率で、何かと出費がかさむものです。
だから余裕のある人は、イベントや天気のよい日のみ動かし、日常の移動手段としては別の新しいモデルに乗る、という人も少なくありません。
さらに「せっかくなら雨風をしのげるガレージも作ってしまおう」なんて気になってくると、これらも加算されとんでもないことになりかねません。
はたして総額でいくらかかったのか。古いクルマのオーナー間では、恐ろしくて計算しない(できない)といったエピソードも、笑い話のひとつです。
デメリット2:現代のクルマより故障するリスクが高い
機械である以上は、避けて通ることができないのが”故障”です。パーツのサビや、ヒビ割れ。乗っても乗らなくてもクルマは確実に経年劣化していき、それが止まることは通常ありません。
“腕利きの主治医”が完璧にメンテナンスしたとしても、部品が寿命を迎えた時点で故障してしまうでしょう。
出先で故障してもある程度対応できるように、必要な工具や使用頻度の高い純正部品を愛車に搭載しているオーナーも少なくないはずです。
「手がかかる子ほど可愛い」といわれますが、まさに旧車&ネオクラシックカーにこそふさわしい表現かもしれませんね。
デメリット3:純正部品の確保に苦労する確率が高い
意外に思われるかもしれませんが、旧車&ネオクラシックカーにおいて、輸入車よりも日本車、しかも国内専用車の方が、純正部品の確保に苦労する確率が高いものです。
第2世代スカイラインGT-R(R32以降)など、メーカーが再生産してくれるケースも増えてきましたが、それでも大多数の日本車は純正部品が欠品か、製造廃止(再生産される可能性がない)状態です。
製造廃止である場合は、ネットオークションなどを駆使して入手するしかありません。一般的にマイナーな日本車であればあるほど、部品の確保に苦労するようです。
まとめ:よってそれなりに覚悟は必要!
生産から数十年経過したクルマに乗るのです。現代のクルマのような快適性やメンテナンスフリーさを求めること自体が、ナンセンスと言えるのかもしれません。
それはつまり、オーナーがクルマに合わせ、我慢する場面に必ずといっていいほど遭遇することを意味します。
猛暑日に古いクルマに乗ることを避けたり、”急”のつく動作を避けたりすることはもちろん、クルマの状態によっては、コールドスタート時に暖機運転しないと、まともに動かなかったりします。
大切な愛車を安心して任せられる、主治医の存在も必須でしょう(オーナー兼主治医が理想的かもしれませんね)。
つまり、好きだけではどうにもならない。所有するうえで「覚悟」が必要となります。
「面白そう」と感じたら、飛び込んでみる価値があるでしょう。今後造られることは、ほぼないであろう設計のクルマに乗れるのですから。
反対に「大変そうだ」と感じたらやめておいた方がいいと思います。所有していること自体が苦痛になってしまうようなことは、人とクルマお互いにとっても、避けたいところです。
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