![「これぞ日本のスーパーカー」「今見てもスペシャル」ホンダNSX NA1【120回ローンを組んででも買いたい名車】](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2025/02/top_image_nsx001_01002H.jpg?v=1739185639)
昔憧れたクルマや、所有していたクルマ。もう一度「手にしたい」と思っても、昨今の旧車/ネオクラシックカーは目を疑うような価格帯になってしまったモデルも少なくない。そこで「120回ローンを組んででも買っておきたい国産車」と題して、モデル概要や現在の相場、「実際、買いか否か」などを考察してみた。なお今回は、NA1のみの設定だった初期型で記事をまとめている。
●文:松村 透/月刊自家用車編集部
ホンダNSX[NA1] 概要
1990年9月。ホンダから、誰もがひと目でスポーツカーだと分かるフォルムをまとったNSX(NA1型)がデビューした。
ご存知の通り、NSXは量産車として当時世界初となる、オールアルミモノコックボディを採用している。またエンジンやシャーシ、足まわり、さらにはシートの構造部材にいたるまで、各部にアルミ合金が用いられ、大幅な軽量化を実現したのだ。
そのデザインは、超音速ジェット機をイメージしている。キャビンをフロント寄りにレイアウトした、ミッドシップエンジン車ならではのキャノピーデザインが特徴。
さらに、高曲率大型ラウンドガラスを採用することで、ミッドシップレイアウトのスポーツカーにおけるトップクラスの視界を確保している。ちなみに数値上では、水平方向で311.8度という”全方位視界”ぶりだ。
NSXに採用されたエンジンは、新開発の排気量3リッター、V6気筒DOHC VTECのC30A型が搭載され、最高出力はNAエンジンながら280psを発揮した(ATは265ps)。
また、4チャンネルデジタル制御式のABSや、トランクションコントロールシステム、SRSエアバッグシステムといった、当時としては多くのクルマがメーカーオプション扱いだった(あるいはまだ設定すらなかった)さまざまな安全装備が採用された。運動性能だけでなく、安全性にも配慮が行き届いたモデルだったといえる。
注目すべき点としては、NSXを生産するにあたって栃木県に少量生産の専用工場を新たに建設したこと(2004年4月に閉鎖)。この工場で、1日あたり25台ペースでNSXが生産された。その後、S2000やインサイト(一部モデル)も、この工場で生産されている。
各構造部品のほとんどをアルミ化し、軽量化を図った”インホイール型サスペンション”を採用。4輪ともダブルウイッシュボーンだ。
大型コンソールで前席間を分割し、最適な空間を目指したという”ダブルサラウンドコクピット”を採用。これまでと同等の冷暖房能力を持ちつつ、30%小型化させた新エアコンユニットを縦置きに搭載するなどし、スポーツカーらしい低全高と室内スペース確保に注力。
ホンダNSX[NA1] デビュー時グレードの主要諸元
NSX
- 全長×全幅×全高:4430×1810×1170mm
- ホイールベース:2530mm
- 車両重量:1350kg(MT)・1390kg(AT)
- 駆動方式:MR
- トランスミッション:5速MT・4速AT
- エンジン:水冷V型6気筒DOHC24バルブ
- 排気量:2977cc
- エンジン最高出力:280ps/7300rpm(MT)・265ps/6800rpm(AT)
- 最大トルク:30.0kg-m/5400rpm(MT)・30.0kg-m/5400rpm(AT)
- タイヤサイズ:205/50ZR15(フロント)・225/50ZR16(リヤ)
エンジンはビッグボア×ショートストローク型。センタープラグのペントルーフ形燃焼室などで圧縮比10.2とした”スポーツ型エンジン”だ。キャビンはフロントに大きく前進させレイアウト。さらに、高曲率大型ラウンドガラスの採用も特徴だ。
新車時の価格と中古車の価格帯
ホンダNSX[NA1]
- 生産期間:1990年9月~1997年1月
- 新車時価格:800.3万円〜1035.7万円
- 中古車の価格帯:600万円~1358万円
今回の記事はNA1型のみだった初期タイプ(NSXを1〜4期で分けると1期のみ)でまとめており、タイプRおよびNA2型、1997年のマイナーチェンジ後も残ったNA1型は含まれていない。いわゆる「登場時のNSX(3リッターモデル)」のみの中古車相場ということになる。
意外…といっては何だが、R34のGT-RやA80スープラなどと比較すると、驚くようなプレミア価格とはいえない印象を受ける(それでも高いことに変わりはないのだが)。
基本的にはATが主流でMTの流通量は少なめ。人気があるのは当然ながらMTの方だ。走行距離が10万キロを優に超えた個体も少なくないが、もともと高価なクルマだけに大切に乗り継いでこられた個体も多いと推察する。
それだけに、強気の価格で売られていることも多い。極端に低走行の個体よりも、年式相応かつきっちりとメンテナンスを受けてきたクルマを、選択肢に入れるのはありだろう。
空力テストの結果、気流に沿うように絞り込んだリヤや長く低いテールエンドに。なだらかに傾いたリヤウインドウも、優れた空力に寄与。
買いか否か:「憧れを現実にする価値は…」
NSXがデビューした当時、800万円オーバーという車両本体価格に驚いたものだ。それでも注文が殺到し、納車まで2年待ちなどといわれた。
やがてバブルが崩壊し、相次いでキャンセルが出たことなどにより、安定した資産を持つクルマ好きの手に渡ることとなった。
屋根付きのガレージで大切に保管され、セカンド、サードオーナーと代替わりをしても”過保護”にされてきた個体が多いのだろう。
いっぽうでモディファイされた個体も多く、後期型の6速MTに換装されたクルマもある。また、一部の純正部品が欠品・製造廃止となりつつあるので、信頼できる主治医の目処がつくようなら、思い切って手に入れる価値はあると考える。
V型6気筒エンジンは横置きに、トランスミッションは側方配置とするなど工夫して生まれたパッケージング。オールアルミボディとすることで、ホワイトボディ重量は210kg。スチールボディに比べ140kg、軽量化を果たした。
今回紹介したのは初期型。1997年2月からは3.2LのNA2が登場したが、3.0LのNA1も2005年の生産終了までラインナップされていた。なお2001年の12月からは各グレードのヘッドランプがリトラクタブルではなく固定型に。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。※中古車価格は大手検索サイトをもとにした2024年11月時点調査のものです。
最新の関連記事(旧車FAN)
Zに対抗できる6気筒エンジン車、それがなによりも求められた アメリカという国の偉大なところは、良いものを良いとフラットに認め、優れた仕事に惜しみない喝采を送る精神だ。それは貧しい敗戦国だった日本にとっ[…]
フルラインナップ化を図る、東洋工業(現マツダ)のロータリーエンジン車 数々の課題を独自の技術で乗り越え、東洋工業(現マツダ)が1967年に発売にこぎ着けたコスモスポーツは、世界初の2ローター量産ロータ[…]
“継承”と“革新”を繰り返したクラウンの開発の歴史を辿る 今回開催される「クラウン70周年記念展~なぜ70年生き続けているのか~」では、誕生から今年で70年を迎えるトヨタ クラウンに注目。 1955年[…]
「4A-G」エンジンとは? トヨタ中型エンジン・A型の4世代目にあたる高性能ユニット ハチロクの心臓部ともいえるエンジン。その形式は「4A-GE」で、1587cc直列4気筒DOHCユニットになります。[…]
スバル360初期型 【1958 スバル360増加試作型K-111】おもに航空機で使われたこの言葉を使ったのがスバルらしい。増加試作型は東京地区で50台が販売され、第1号車は松下幸之助が購入したことは有[…]
最新の関連記事(ホンダ)
新たな外装塗料を採用し、同時に価格改定も実施 今回実施される一部改良では、新たな外装塗料を採用。塗料に使用されるクリア材を、従来のアクリルメラミンクリア素材から、より機能が向上したクリア素材へ変更する[…]
1:トヨタ ハリアー[30系/2代目] デビュー:2003年2月 都市型SUVというジャンルを切り拓いた「ハリアー(初代)」の後継モデルとしてデビュー。 初代モデルが掲げた「高級サルーンの基本性能を備[…]
ソニー・ホンダモビリティが手がける、進化し続けるクルマ SHMとして最初のモデルとなるAFEELA 1は、先進のソフトウェアと高性能なハードウェアに加え、モビリティの知能化を融合させることで、従来のク[…]
未来的なデザインを残しつつ、市販化に向け進化発展 「Honda 0(ゼロ)シリーズ」は、2024年のCESにおいてコンセプトモデルが公開されたが、今回のCES2025では、2026年の北米発売に向け進[…]
パワートレーン&装備機能の充実で、車格は1ランク向上 2024年6月に発売された現行フリード。コンパクトなボディに3列シートを収めた優れたパッケージングはそのまま踏襲されているが、ハイブリッド車がe:[…]
人気記事ランキング(全体)
ポップなカラーがイケてるPANEL VAN Paw Pal イエローとホワイトの2トーンカラーで塗り分けられたこちらの軽キャンパー「PANEL VAN Paw Pal」。Bug-truckシリーズで知[…]
タウンエースに高機能を詰め込んだ、コスパに優れたキャンピングカー ベースとなる車両はトヨタのタウンエース。タウンエースは、全長×全幅×全高=4065×1665×1930mmのコンパクトなボディサイズで[…]
スバル360初期型 【1958 スバル360増加試作型K-111】おもに航空機で使われたこの言葉を使ったのがスバルらしい。増加試作型は東京地区で50台が販売され、第1号車は松下幸之助が購入したことは有[…]
Zに対抗できる6気筒エンジン車、それがなによりも求められた アメリカという国の偉大なところは、良いものを良いとフラットに認め、優れた仕事に惜しみない喝采を送る精神だ。それは貧しい敗戦国だった日本にとっ[…]
走りはどんなクルマなの?:レヴォーグよりもコンフォート志向が強め、家族も納得できる高速ツアラー スバル レヴォーグレイバック(以下レイバック)は、レヴォーグをベースにサスペンションまわりのセッティング[…]
最新の投稿記事(全体)
ホンダNSX[NA1] 概要 1990年9月。ホンダから、誰もがひと目でスポーツカーだと分かるフォルムをまとったNSX(NA1型)がデビューした。 ご存知の通り、NSXは量産車として当時世界初となる、[…]
Zに対抗できる6気筒エンジン車、それがなによりも求められた アメリカという国の偉大なところは、良いものを良いとフラットに認め、優れた仕事に惜しみない喝采を送る精神だ。それは貧しい敗戦国だった日本にとっ[…]
シリカの力で輝きを守るGYEONのカーケアケミカル 二酸化ケイ素(いわゆるシリカ)をいち早く取り入れ、カーケアケミカル業界のグローバル市場を席巻しつつGYEON(ジーオン)。洗車初期のデブリ除去/ブレ[…]
VIPセダンのビッグエンジンだからこそ楽しめるATドリフト VIP系ドレスアップとチューニングを得意とするSENSE BRAND(センスブランド)。2025年の提案は“ATで運転を楽しむ”こと。その代[…]
レヴォーグ:モデル概要〈見た目はキープコンセプトながら、中身はまるで別物に進化〉 初代モデル(先代)の大成功を引き継いで登場した現行レヴォーグ(2代目)。エクステリアはキープコンセプト路線を採用したた[…]
- 1
- 2