懐かしの「クラウンワゴン」が帰ってきた! トヨタ新型クラウンエステート プロトモデル試乗【推しはPHEVで決まり!】

トヨタ新型クラウンエステート プロトモデル

その存在を明らかにされてから約3年、ようやく発売されることになったトヨタ クラウンエステート。待っていたユーザーも相当多かったようで、正式発表前にもかかわらず、編集部には「すでに販売店では争奪戦に近い状況になっている」という情報が寄せられているほどだ。ともあれ、ここでは事前に試すことができたプロトモデルの印象をお伝えしよう。

●文:川島茂夫(月刊自家用車編集部) ●写真:奥隅圭之

決して焦る必要を感じない、悠々とした上級ワゴンの走り

新世代クラウンの大トリとなったクラウンエステート。最初のモデルとなったクロスオーバー(2022年)を基準とすると3年ほど遅くなってしまったが、個人的にはこのモデルこそがクラウンの「真打ち」と思えるほど、期待値が高かった。

実際に試乗した印象は、まさに想像通り。エステート(=ワゴン)の名前をしっくりと感じられる、正統派ステーションワゴンの走りだった。

パワートレーンは、HEV(ハイブリッド)とPHEV(プラグインハイブリッド)の2系統を用意。スポーツと同じ組み合わせになる。こちらはPHEVモデル。

今回はショートサーキットにおけるごく短時間の試乗で、かつ80km/hの車速制限が設けられていたため評価は部分的になってしまうが、操舵感はとても素直な特性で、高速ツーリングで速度を上げていっても気疲れを感じにくいタイプ。後輪操舵機構(DRS)やストロークを上手に使ったサスチューンの恩恵も大きく、コーナー時の左右に揺すられるような力を上手に低減してくれるので、その挙動は上級FR車を思わせるもの。しなやかさと据わりの良さが重質な味わいを醸し出している。

動力性能については、全開加速でこそスポーティ方向のクラウンスポーツには及ばないものの、高速も山岳路も悠々と走り抜けるには十二分。高負荷域でも紳士的なドライブフィールは崩れず、これも悠々ツーリングのワゴンキャラには似合いと思う。

ハンドリングのキビキビ感を楽しみたいというユーザーにとっては「おとなしすぎる」と感じてしまうかもしれないが、大人の余裕を感じさせるワゴンの悠々とした走りを求める向きにとっては、エステートはかなり魅力的に映るのは間違いないだろう。

全長及びホイールベースはクラウンクロスオーバーと共通だが、バンパーに埋め込まれるようにヘッドランプを配したキレのいいフロントマスクは、クラウンスポーツに通じる印象を受ける。価格はPHEVモデルの「ESTATE RS」が810万円。HEVモデルの「ESTATE Z」が635万円。

ルーフラインは水平を基調にリヤエンドへと緩やかな曲面を描き、キャビン後半部の絞り込みもわずかだ。リヤエンドのデザインもキャビンのボリュームを感じさせるもの。リヤドアからリヤピラーのウインドウ開口も開放的だ。

PHEV車は、走り視点でも明らかに格上の存在

今回はHEV車(ハイブリッド)とPHEV車(プラグインハイブリッド)の2モデルを試乗できたが、電子制御サスのAVSを装備するPHEV車の方が一枚上手。とくに走行モードをリヤコンフォートにセットした状態がもっとも好印象だった。最上級ワゴンの最上級仕様にふさわしい風格を走り出した瞬間から感じることができる。

メーターパネルやステアスイッチも含めた操作系は多くのユーザーにとって馴染みのあるレイアウト。エステートはカジュアルさは残しながらも、落ち着いた上質な仕立てが特徴といえる。

高い室内高と長いホイールベースで後席は寸法的な余裕も開放感も高く、最上級クラスの余裕ぶりを、後席乗員も十分に堪能できるはずだ。

エステートは、後席まで広く開放感の高いキャビンと、積み降ろしの作業性も含めて使い勝手のいい荷室が与えられたことで、クラウン4系統の中でももっとも実用的なモデル。開発者によれば「荷室も含めて全席特等席」とのこと。質の高い走りを含めて、プライベートタイムを楽しめる新世代クラウンの魅力がとても上手に具現化されている。

十分な広さを持つ開口部に加えて、通常時でもラゲッジの長さは十分。後席格納時は前後長2mほどのフラットスペースを活用できることも魅力のひとつ。

上級モデルにふさわしい先進装備も充実している。

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