旅先でも「快適に過ごせて、寝れる。もちろん調理も可」。全長4m級のバンキャンパーは、2人旅のベストパートナーだった│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

旅先でも「快適に過ごせて、寝れる。もちろん調理も可」。全長4m級のバンキャンパーは、2人旅のベストパートナーだった

旅先でも「快適に過ごせて、寝れる。もちろん調理も可」。全長4m級のバンキャンパーは、2人旅のベストパートナーだった

「キャンピングカーは大きくて普段使いが難しい」と思いがちだが、メティオがプロデュースする「ラクネル・レイ」はそんな悩みを解決するコンパクトなバンコンだ。街乗りも快適なサイズ感ながら、独自のベッドシステムで大人2人が余裕で就寝できる広大な空間を実現。本記事では「ラクネル・レイ」の設計思想から装備など、その実力を徹底的に分析・解説する。

●文/写真:月刊自家用車編集部

ミニバンベースの8ナンバーキャンパー

「ラクネル・レイ」を理解する上で、まず着目すべきはその基本設計。ベース車両にはマツダ ボンゴバン、あるいはトヨタ タウンエースが採用され、全長4065mm、全幅1665mm、全高1930mmというボディサイズは、日本の交通環境、特に都市部のコインパーキングや立体駐車場といった物理的制約を考慮した上で最適解のひとつだ。日常的な利用、いわゆる「普段使い」と非日常的な「旅」を高次元で両立させるという、明確な設計思想がここから見て取れる。

乗車定員は5名、そして就寝定員は大人2名がゆったりと休める仕様となっている。これは、核家族化や個人のライフスタイルの多様化が進む現代において、夫婦やカップル、あるいはソロアクティビストといったユーザー層を主たるターゲットとして想定していることの現れだろう。

そして本モデルの核心とも言えるのが8ナンバーのキャンピングカー登録であること。車検は2年ごとなのでランニングコストは4ナンバー車より低く、自動車税は年額で2万7600円に留まる。お財布に優しいのは大きなメリットだ。

また、その名を冠する独自の「ラクネル」ベッドシステムも特筆ポイント。これは簡単な操作でセカンドシートと後部スペースが一体となり、長さ約1800mm、幅約1200mmの広大なフルフラット空間を生み出す機構だ。軽量・強靭な3Dアルミフレーム構造を採用した家具は、フレームの固定にビス類を使わないオリジナルの工法でユーザビリティに優れる。

写真はベース車にトヨタ タウンエースGLを用いた「ラクネル・レイ」。マツダ ボンゴバンも選択できる。ベース車はいずれも本来は商用車のため4ナンバーの1年車検だが、キッチンを備えて8ナンバーのキャンピングカー登録にすることで2年車検となる。

センターテーブルはスライド式のフレームに固定できるため用途に応じて自在なセッティングが可能だ。対面ダイネットスタイルを実現するセカンドシートは、走行時には前向きにレイアウト変更が可能になる。

最適化されたパッケージングで、高いユーティリティを実現

「ラクネル・レイ」の車内レイアウトは、人間工学に基づいた極めて合理的な動線設計がなされている。走行モード、対面ダイネットモード、そしてベッドモードという3つの基本形態を、利用シーンに応じて自在に変化させることができる。

対面ダイネットモードでは、大人4〜5人がテーブルを囲み、食事や歓談を楽しむことが可能だ。テーブルは脱着式であり、不要時にはスマートに収納できる。キッチンキャビネットにはスクエアシンクがビルトインされ、ホース延長式シャワーヘッドによって車外での使用も可能となっている。これは、アウトドアギアの洗浄やペットのケアといった、具体的な利用シーンを想定した優れた機能実装である。

電装系においても抜かりはない。サブバッテリーシステムを標準で搭載し、AC100V電源やUSBポート、DC12Vソケットを複数備えることで、スマートフォンから各種家電製品まで現代生活に必須の電子機器の利用を強力にサポートする。1500Wインバーターや走行充電器も標準装備されており、オプションでソーラーパネルの増設も可能であることから、電力供給に対する不安は限りなく低減されていると言える。

また、助手席側に配置された上開き式の冷凍冷蔵庫は、冷気が逃げにくいという物理法則に忠実な設計であり、実用性を重視する開発姿勢が窺える。収納に関しても、ベッド下の広大なスペースに加え、各所に細やかな配慮が見られる。これらの装備は、すべてが「快適で、自由で、気ままな旅」というコンセプトを実現するために、論理的に配置されている。

ファニチャーはヴィンテージ調の仕上げを採用し、3Dアルミフレームで囲われる。キッチンはスペース効率に配慮してスリムな形状を採用。外部シャワーとしても使えるシャワーフォーセットは車外に引き出せばアウトドアギアの洗浄にも使えて便利だ。

ビギナーにもオススメできる、抜群のコストパフォーマンス

競合する同クラスのバンコンと比較した際、「ラクネル・レイ」の優位性はその徹底した「シンプル&フレキシブル」な思想や、充実した標準装備を備えながら300万円台からという価格が魅力。

また、購入後のFFヒーターやソーラーパネルの追加といったカスタマイズにも柔軟に対応する姿勢は、ユーザーとの長期的な関係性を重視するビルダーの哲学を感じさせる。

これらの要素は「ラクネル・レイ」が初めてキャンピングカーを購入するエントリー層から、より自由な使い方を求める経験豊富なユーザーまで幅広い層に訴求するポテンシャルを秘めていることを示唆し、8ナンバー登録による2年車検という経済合理性とも相まって、市場において独自の地位を築いている。

ルーフクーラーやルーフラック、ルーフキャリアはオプションで選択可能。いっぽう、ベッドキットやシンク+カセットコンロは全モデルで標準装備となり、電装付きモデルは1500Wインバーター/外部充電システム/CTEK走行充電/冷凍冷蔵庫が標準装備になる。

必要なモノをセレクトできるキャンパーなら、“旅”はもっとコスパ良く、楽しめる

このように「ラクネル・レイ」は、単なる移動手段や宿泊施設という旧来のキャンピングカーの枠組みを超えた新たな価値を提示している。

それは、「移動可能な最適化されたプライベート空間」という、現代の多様なライフスタイルに対するひとつの解答だ。日本の道路環境にジャストフィットするコンパクトなボディ、利用シーンに応じて自在に変化するフレキシブルな室内空間、そして過不足なく実装された実用的な装備群。そのすべてが利用者本位の設計思想に基づいて緻密に計算され尽くしている。

「ラクネル・レイ」は、ユーザーを日常の制約から解放し、仕事と生活、日常と非日常の境界線をまたがって楽しむための極めてパワフルかつ合理的なツールになる。この一台がもたらすのは、単なる旅の快適さだけではない。自らの意志で人生をより豊かにするための、無限の可能性を生み出すキャンピングカーなのだ。

●ラクネル・レイ(トヨタ タウンエースバンGL Ver) 税込み車両価格
・ベース車+電装+ベッド:365万円

東京キャンピングカーショー 2025に展示されていたメティオの「ラクネル・レイ」は、14インチアルミ&タイヤ/サイドバイザー/ルーフクーラー/カーペットマット/リチウムバッテリー/バックモニターなどのオプションを装備し、車両価格は470万7820円だった。

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