愛らしさはそのままに中身は最新へ! スズキ・ラパンが賢く進化【改良モデルの概要を解説】│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

愛らしさはそのままに中身は最新へ! スズキ・ラパンが賢く進化【改良モデルの概要を解説】

愛らしさはそのままに中身は最新へ! スズキ・ラパンが賢く進化【改良モデルの概要を解説】

「カワイイ」を武器に独自の世界観で勝負しているスズキ・ラパンが大幅改良を実施した。今回の改良では、見た目の大きな変化は抑えつつも、中身は大幅に進化。最新のパワートレーンや安全装備を惜しみなく投入することで、愛らしいスタイルはそのままに、走りと安全性能を格段に向上させている。ここではそんな最新ラパンシリーズの魅力を解説したい。

●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

人気の「カワイイ」系、そのパイオニアとして登場

2002年に登場した初代アルト・ラパンは、当時の軽乗用車市場ではまだ浸透していなかった「カワイイ」というサブカルチャー的な要素をいち早く取り入れたパイオニア的存在。ラパン(Lapin)はフランス語で「ウサギ」を意味し、内外装やキー、アクセサリーなどにはウサギのアイコンが散りばめられている。登場から20年以上が経過した今では、プレーンなアルトとは異なる魅力を持つ、もう一つのベーシック軽として確固たる地位を築き上げている。

現行型ラパンは、2015年に3代目として登場。初代と2代目が持っていた可愛いながらも実用的なキャビンパッケージや、ボンネット形状、控えめなリヤデッキといったレトロな雰囲気を継承しつつも、大型の丸形ランプベゼルを採用したヘッドランプでフロントマスクのイメージを一新。レトロでありながら現代的なニュアンスも備えているのが特徴だ。

そして2022年に追加されたのが、ラパンLCだ。この「LC」は、2代目フロンテの車両型式「LC10型」に由来しており、レトロモダンなデザインを模したフロントマスクが最大の特徴となっている。

主要諸元(ラパンLC HYBRID X・2WD)
全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1525 ホイールベース(mm):2460 トレッド【前/後】(mm):1295/1300 最低地上高(mm):130 車両重量(kg):710 パワーユニット:657cc直列3気筒DOHC 最高出力:36kW/6500rpm、最大トルク:5.9kg-m/5000rpm  ブレーキ:ディスク(前)リーディングトレーリング(後) サスペンション:マクファーソンストラット式(前)トーションビーム式(後) タイヤ:155/65R14

10年目のテコ入れで、パワートレーン&安全装備を大幅に強化

現行型が登場してから10年目となるが、フルモデルチェンジではなく、今回大幅な改良が加えられた。エクステリアは、フロントグリルとバンパーのデザイン変更、新色2色の追加が行われた。インテリアも内装色の設定変更や、最上級グレードのインパネに木目調のオーナメントが採用されるなどの変更も実施されている。

アイボリーを基調としたシンプルで居心地の良いキャビン空間。インパネ上部には木目調のオーナメントが配されるなど、落ち着いた雰囲気を楽しめることも魅力のひとつ。

シートは、チェック柄のファブリックとレザー調素材の組み合わせ。シートのサイドやヘッドレストにはパイピングが施されるなど、アルトよりも質感を感じさせる工夫も際立つ。

後席格納は5:5左右分割式。荷室の床下にラゲッジアンダーボックスも配置されるなど、高い実用性も確保されている。

だが、今回の改良の真骨頂は、見た目ではなく「見えない部分」、具体的にはメカニズムや機能の進化にある。

最も大きな変更点はパワートレーンだ。これまで搭載されていた一世代前のエンジンから、スペーシア系にも採用されている最新型エンジンに変更。これにより全モデルがISG(モーター機能付発電機)を搭載したマイルドハイブリッド仕様となり、2WD車のWLTCモード燃費は27km/Lを超える優れた数値を実現している。

R06D型エンジンは、ロングストローク化によるトルク特性の向上と、デュアルインジェクションシステムやクールドEGRなどの技術を採用することで熱効率の向上を達成したスズキの主力エンジンのひとつ。今回マイルドハイブリッドを新たに採用したことで、軽快な走りと高い燃費性能の両立を実現している。

また、安全装備も大幅に充実。ミリ波レーダーと単眼カメラを併用するデュアルセンサーブレーキサポートⅡを全車に標準装備。歩行者や二輪車との衝突回避など、日常の街乗りでの安全性と安心感を高めている。ほかにも全方位モニターとセットオプションでスズキコネクトにも対応。緊急通報サービスやリモートエアコンなどの便利な機能が利用可能になっている。

ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせでセンシングを行う「デュアルセンサー ブレーキサポートⅡ」を標準装備。従来車よりも安全性能も大きく向上している。

新モデルは、コスパと質感のバランスがさらに絶妙になっている

パワートレーンや装備のアップグレードにより価格は上昇しているが、それでも優れたコストパフォーマンスを持つラパンシリーズの美点は変わらない。

価格はラパンの「ハイブリッドG」が151万4700円〜、「ハイブリッドL」が160万1600円〜、「ハイブリッドX」が171万7100円〜。ラパンLCは「ハイブリッドL」「ハイブリッドX」の2つが設定され、ラパンよりも約5万円高となっている。4WD車はグレードにより異なるが、約11万円高だ。

ラパンとアルトの「ハイブリッドX」グレードを比較すると、ラパンの方が20万円ほど高くなる。ただ、ラパンの後席機能&収納格納の充実ぶり、内外装の質感の良さを考慮すれば、これは納得できる価格差だろう。

今回の改良では、単なる移動手段としてのコストパフォーマンスだけでなく、日々の生活に彩りを与えるというラパンの真骨頂が、さらにアップデートされている。街を楽しむ女性陣から高い人気を集めていることを、改めて実感することができた。

アルト ラパン
グレードエンジン駆動価格
HYBRID
G
0.66L
DOHC
吸排気VVT
(マイルドハイブリッド)
2WD151万4700円
4WD162万6900円
HYBRID
L
2WD160万1600円
4WD170万6100円
HYBRID 
X
2WD171万7100円
4WD181万8300円
アルト ラパンLC
グレードエンジン駆動価格
HYBRID 
L
0.66L 
DOHC
吸排気VVT
(マイルドハイブリッド)
2WD164万4500円
4WD174万9000円
HYBRID 
X
2WD176万7700円
4WD186万8900円

ラパン HYBRID X

ラパン HYBRID X

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