
ボルボの主力モデルであるミッドサイズSUVの「XC60」が改良され、6月より日本で発売となった。注目すべき改良ポイントと走りの進化ぶりを解説しよう。
●文/写真:鈴木ケンイチ ●写真:月刊自家用車編集部
ボルボの主力モデルがビッグマイナーを実施
ボルボのミッドサイズSUV「XC60」は、これまで世界で150万台以上を販売してきた、ボルボの屋台骨を支えるモデル。現行モデルは2017年に日本に導入され、日本カー・オブ・ザ・イヤー2017-2018を獲得するなど、高い評価を受けている。その現行モデルが、導入8年目となる今年6月に改良が施された。内容は、エクステリアとインテリアのリフレッシュ、エンジンの改良、ADASの機能強化、そしてインフォテイメント系の進化となる。
改良後に販売されるのは、2リッターのガソリン4気筒ターボでFFの「XC60 Plus B5」(789万円)、同じ2リッターで4WDの「XC60 Ultra B5 AWD」(879万円)、そして2リッターターボのプラグインハイブリッドの4WDとなる「XC60 Ultra T6 AWD Plug-in hybrid」(1029万円)の3グレードだ。今回は、ミドルグレードとなる「XC60 Ultra B5 AWD」を試乗した。
印象そのままにモダンさを増した内外装デザイン
今回の改良によってエクステリアは、フロント周りが新しくなった。上位の「XC90」と同様に斜めの線を使ったグリルが採用され、より塊感が強くなっている。
伝統のスカンジナビアンデザインを踏襲した新フロントマスクを採用。フロントグリルには斜めのラインがあしらわれ、ボルボの象徴「アイアンマーク」も配置される。
フルLEDのリヤのライトは、内部構造がブラックになり、赤いライトシグネチャーがよりクリアに浮き出るようになった。ホイールデザインも、ダイヤモンドカットをイメージするような新しいデザインを採用する。全体として、もともとのプロポーションの良さはそのままに、よりモダンでシャープなイメージが強まっている。
インテリアでは、テイラード・ダッシュボードと、オレフォス社製クリスタルシフトノブを採用し、センターコンソールまわりも新しいデザインに変更。また「Ultra」グレードには、100%リサイクルポリエステルの内装素材を無償オプションとして用意され、「Plus」グレードでは、リサイクル素材とバイオ素材から作られた「ノルディコ」シートが採用されている。
ドライバーを中心に設計されたコックピットは高い質感と機能性を両立。中央には大型のタッチスクリーンが配置され、最新のインフォテイメントシステムが搭載される。
クリスタルシフトノブは、スウェーデンの老舗ガラスブランド「オレフォス」の職人技が光る逸品。透明感のあるクリスタルガラスが、車内に上質でエレガントな雰囲気を高めてくれる。
ラゲッジはスクエアな形状で見た目以上の積載能力を誇る。大きな荷物やレジャー用品も楽々と積める実用性の高さも美点だ。
マイルドハイブリッドは、ミラーサイクルエンジンの変更で、燃費性能も向上
試乗した「XC60 Ultra B5 AWD」のパワートレーンは、2L直4ターボにモーターが組み合わされるマイルドハイブリッド。エンジンは最高出力184kW(250PS)/最大トルク360Nm、モーターは最高出力10kW/最大トルク40Nmを発揮し、トランスミッションは8速AT。駆動方式はオンデマンド式のAWDが組み合わされる。
また今回の改良でエンジンはミラーサイクルに変更されており、その結果、従来モデル比で燃費が約5%向上している。WLTCモードでは12.8㎞/Lだ。
2.0L直列4気筒ターボエンジンは、今回の改良でミラーサイクルを採用。これにより燃費が約5%向上し、WLTCモードで12.8km/Lという優れた環境性能を実現。マイルドハイブリッドシステムとの組み合わせにより、スムーズで力強い加速性能も両立している。
そんな新パワートレーンの印象を言えば「スムーズ」の一言につきる。スタート時から、スルスルと滑るように加速してくれる。モーターの存在はほとんど感じないけれど、変速ショックも感じない。ミラーサイクル化による出力減というネガな部分を、マイルドハイブリッドのモーターが上手に隠している。
また、ゆったりと流すレベルでは、エンジンの存在感は非常に小さい。ピラーやエンジンルームなどに追加された遮音材が、キャビンの静粛性アップに貢献していることがわかる。
システム出力としては184kW(250PS)だが、その挙動は穏やかな印象が勝る。ホイールは19インチだが、扁平率は55もあり、エアボリュームは十分に確保され、エアサスペンションを用いたアシの乗り心地はまずまず。スムーズなパワートレーンに、静粛性の高いキャビン、落ち着いた挙動と乗り心地で、ドライブは快適そのものだ。
洗練された内装デザインと開放的な空間が味わえることも魅力のひとつ。最新型は遮音性が強化されたことで、静粛性も増した印象だ。
進化したインフォテインメント機能。サクサクと反応することに好印象
今回の試乗で、最も感心したのがインフォテイメント系の充実ぶりだ。センターディスプレイが従来の9インチから11.2インチに拡大するだけでなく、中身が大きく進化している。新システムには、クアルコム社の「スナップドラゴン・コクピット・プラットフォーム」が採用されたことで、情報処理速度は2倍、グラフィック生成速度は10倍に向上。ディスプレイそのものも解像度が21%向上しているのに加え、反応も非常に早くなっていた。
最新のインフォテインメントシステムには、11.2インチの縦長の大型ディスプレイを採用。Google アシスタント、Google マップ、Google PlayといったGoogleのサービスも標準搭載され、スマートフォン感覚で使いたおすことができる。
その操作感は、まさにサクサク。ディスプレイは、タブレットのようなカタチであるし、標準装備のアプリとしてGoogleサービス(アシスタント、マップ、プレイ)が用意されているので、ほとんどスマートフォンと同じように使えてしまう。反応も良好でストレス感は皆無。Google アシスタントの反応と精度も満足感が高い。
ちなみに試乗車には、メーカーオプションのプレミアムオーディオ「Bowers & Wilkinsハイフィデリティ・オーディオシステムハイフィデリティ・オーディオシステム」が搭載されていたこともあって、スポティファイなどのアプリの音楽をプレミアムオーディオで楽しむ、なんてこともできてしまう。
「Bowers & Wilkins ハイフィデリティ・オーディオシステム」は、15個のスピーカーと強力なサブウーファーを搭載し、総出力1410Wという圧倒的なパワーを発揮。アーティストが意図した通りのサウンドを忠実に再現できるチューニングも見どころのひとつ。
そもそも「XC60」の魅力は、快適性、機能性、運転の楽しさといった基本を高い次元でバランスさせた上に、北欧車ならではのデザインの良さと高い安全性がプラスされていることだ。そういう意味で、内外装のデザインのリフレッシュは、北欧デザインという本来の魅力を、さらに磨き上げたものといえる。
個人的には、インフォテイメント系の改良と進化は、最大の目玉に感じた部分になる。正直、クルマの進化よりも、スマートフォンと付随するデジタルサービスの進化の方が圧倒的に早いのだが、今回の進化ぶりは、自動車メーカーとしては、抜きんでて迅速な対応だと思う。スマートフォンのある生活を手放せなくなった現代人にとって、今回の「XC60」のインフォテイメント系の進化は、かなり魅力的に感じてもらえるはずだ。
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