
どんなに丁寧に洗車しても、なぜかボディのツヤが冴えない――そんな経験はないだろうか。原因は、目に見えない“鉄粉”の存在かもしれない。走行中に舞い上がる鉄粉が塗装に突き刺さり、ザラついた手触りやムラの原因になっているのだ。この記事では、誰でも簡単にできる鉄粉チェックの裏ワザと、プロ並みの仕上がりを叶えるネンドクリーナーの使い方を紹介する。
●文:月刊自家用車編集部
洗ってもツヤが戻らない理由は「見えない鉄粉」にあった
どんなに高性能なカーシャンプーやコーティング剤を使っても、ボディ表面のザラつきが消えないときは鉄粉汚れが原因の可能性が高い。走行中のブレーキングで生じる金属粉や、工場地帯・線路沿いなどに漂う鉄粉が空気中を舞い、ボディに突き刺さる。特にこの鉄粉は高温のまま飛散するため、塗装面に深く食い込みやすい。
表面に付着した鉄粉は、通常の洗車では落としきれない。むしろそのままケミカル剤やワックスを塗布すると、突起に引っかかってムラができたり、塗装を痛めたりすることもある。美しい仕上がりを求めるなら、まずはこの見えない敵をしっかり取り除くことが重要だ。
セロファンを使えば、鉄粉の存在を「指先」で感じ取れる
ボディに突き刺さった鉄粉は肉眼では確認しづらく、素手で触ってもわかりにくい。そこで役立つのが、箱菓子などの包装に使われる「セロファン」だ。指にセロファンを軽く巻きつけ、ボディ表面をやさしくなぞってみると、驚くほどはっきりとザラつきを感じることができる。
この簡単なチェック方法なら、専門的な道具を使わずに鉄粉の有無を判断できる。もしザラつきを感じたら、通常の洗車だけでは不十分。ネンドクリーナーを使った“下地処理”が必要だ。洗車前のわずかなひと手間で、その後の仕上がりが大きく変わる。
ネンドクリーナーは“鉄粉除去”の最終兵器
ネンドクリーナーとは、その名の通り粘土のような質感をもつ専用クリーナーのこと。塗装を傷つけずに鉄粉や塗装ミスト、ピッチなどの汚れを吸着することができる。価格も手頃で、洗車バケツに常備しておくユーザーも多い。
使用方法はシンプルだ。まず水に浸して柔らかくし、手のひらサイズに成形する。次に霧吹きで塗装面全体に水をスプレーし、滑りを良くしてからネンドをやさしく滑らせていく。乾いた状態でこすると傷の原因になるため、水の膜を切らさないよう注意することが大切だ。
ザラつきが“スッ”と消えたら完了のサイン
ネンドを滑らせ始めた直後は、鉄粉の引っかかりを指先に感じる。だが、作業を続けるうちにその感触がスッと消え、表面がなめらかに滑るようになったら完了だ。裏返すと、ネンドの表面には無数の汚れが付着しているはず。吸着した鉄粉を包み込むように内側へ丸め、常にキレイな面で作業を続けるのがコツだ。
一度ボディ全体を処理すれば、見違えるほどのツヤと手触りが戻る。あとは普段通りの洗車やコーティングを施すだけで、ワックスのノリも格段に向上する。鉄粉を取り除いた塗装は、まるで新車のように光を反射し、深みのある艶を放つ。
“下地の整え方”が美しい仕上がりを決める
洗車というと泡立ちや水弾きばかりに注目しがちだが、実は下地処理こそが最も重要な工程だ。鉄粉を放置したままでは、どれほど高価なコーティング剤を使っても本来の性能を発揮できない。塗装面が滑らかでなければ、ワックスの定着も悪く、ツヤが長持ちしないからだ。
セロファンチェックからネンド処理までを習慣化することで、愛車の塗装寿命は大きく延びる。表面のザラつきを感じたら、まずは鉄粉の除去を。見えない汚れを取り去った後のボディは、手のひらで触れるだけで“違い”がわかるはずだ。
ネンドクリーナーがもたらす「新車のような感動」
鉄粉除去の効果は見た目だけではない。なめらかになった塗装面は、汚れの再付着を防ぎ、洗車の手間そのものも減らしてくれる。つまり、ネンドクリーナーは“美しさ”と“メンテナンス性”の両方を高めるアイテムなのだ。
毎回行う必要はないが、季節の変わり目や長距離走行後など、ボディがザラついてきたタイミングで取り入れるのがおすすめ。誰でも簡単にできる作業ながら、仕上がりの違いは圧倒的。これを一度体感すれば、もうネンドなしでは洗車が完結しなくなるだろう。
手のひらで確かめる“真のクリーンボディ”
洗車の目的は、ただ汚れを落とすことではない。愛車と向き合い、そのコンディションを自分の手で確かめる時間でもある。セロファン越しに感じるザラつきは、クルマが発する「まだ汚れている」というサインだ。
わずか数分のチェックと下地処理で、ボディの輝きは劇的に変わる。鏡のように映り込む塗装は、見るたびに所有する喜びを思い出させてくれる。次の洗車では、ぜひこの“セロファンチェック”を取り入れてみてほしい。
写真ギャラリー
菓子箱を包んでいる透明膜(セロファン)を利用すると最も手軽で確実。指先を入れて軽く擦るだけだ。ザラザラ感が伝わってきたら、ボディ表面に異物(鉄粉など)が付いていると思っていい。
霧吹きを用意してきれいな水を入れ、塗装面にまんべんなくスプレーして表面に水の膜を形成する。
裏返すと汚れがびっちり。汚れを包みこむように汚れを内側に丸めこみ、常にキレイな面で研磨するようにする。
擦り始めは引っかかる感触がある。その感触が消えてスゥーと滑るようになれば完了だ。あとは自分好みの方法で、愛車をピカピカにして欲しい。
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