
2023年末をもって日本での販売を終えたトヨタ「カムリ」が、2026年に米国生産モデルとして日本市場へ再導入される見通しとなった。
国内ではSUV人気の拡大が続き、2021年時点には登録乗用車販売に占めるSUVの割合が30.4%となり、ミニバン(32.5%)に迫る規模まで拡大した。こうした流れの中でセダン市場は縮小を続け、カムリもラインアップから姿を消した格好だ。
一方、アメリカでは2025年に約31万台を販売し、SUV全盛の市場でも代表的なセダンとして高い人気を維持している。
日本では過去に法人需要も一定数あり、実用性を重視するセダンとして親しまれてきた。そのためカムリと聞くと、「営業車」「中高年向けセダン」といったイメージを持たれる方もいるかもしれないが、現地オーナーの声や専門家の評価を見ると、その印象は少し違って見えてくる。
●文:月刊自家用車編集部
19歳で「初めての愛車」にカムリを選ぶ若者
海外のカムリオーナーが集まるコミュニティには、「19歳で初めて買った車が2026年式カムリだった」という投稿が寄せられた。
投稿したオーナーは、ハイブリッドによる燃費の良さやデザインを気に入り、ブラックアクセントが特徴の「Nightshade Edition」を購入したという。一方で、「アクセントランプ付きのモデルが見つからなかったのは残念」と、細かなこだわりも語っていた。
コメント欄では「19歳で新車?」という驚きの声もあったが、「大切に乗れば一生ものになる」「賢い選択だ」「ようこそカムリファミリーへ」といった歓迎のコメントが多く寄せられていた。
なお、同じコミュニティではリコール対応について語るオーナーもいた。トヨタは2025年、インバーターのボルト締結不良を理由に2025〜2026年型カムリ・ハイブリッドなど約5万5000台をリコールしており、人気モデルだからこそ品質面も含めて率直な意見が交わされていた。
昨年11月のスーパー耐久シリーズ最終戦富士で展示された北米カムリ。日本向けも北米カムリと同じケンタッキー工場で生産して輸入される。
16歳から68歳まで。世代を超えて支持される定番セダン
別の投稿では、「あなたは何歳で、どのカムリに乗っていますか?」という呼びかけに、多くのオーナーが愛車を紹介していた。
16歳で1986年式を運転する高校生、21歳でオプション満載の2025年式SEを購入した若者、26歳で2021年式XSEハイブリッド(赤の内装がお気に入り)、29歳で2023年式XSEに乗るオーナー、51歳で誕生日に2026年式XSEを購入した人、そして68歳で2025年式ハイブリッドXSEを楽しむオーナーまで、その年齢層は実に幅広い。
日本で抱かれがちな「中高年向けセダン」というイメージとは大きく異なる顔ぶれだ。
また、新しいモデルだけでなく、古いカムリを大切に乗り続けるオーナーも少なくない。27歳のオーナーは8年以上乗り続けている2006年式カムリを、約9万6000マイル(約15万5000km)の走行距離とともに紹介。古い車に乗ることを「ローンがない自由」と前向きに捉える声もあり、長く乗れること自体がカムリの価値として認識されていることがうかがえる。
16歳から60代まで幅広い世代が集まり、新旧さまざまなカムリを楽しむ姿を見ると、少なくともこのコミュニティでは、若い世代がカムリを選ぶことも決して珍しいことではないようだ。
新車を買って終わりではなく、何十万kmも付き合うことを前提に車を選ぶ。そんな文化も、カムリが支持される理由の一つと言えそうだ。
北米カムリは2026年モデルでノーマルからスポーティモデルまで10グレード(FF/4WD)を揃える。日本仕様がどうなるかは現時点で不明。パワートレーンは2.5Lのハイブリッドのみだ。
「歴代最高のカムリかもしれない」専門家も高く評価
こうしたオーナーの評価は、専門家のレビューとも重なる。
米国の自動車専門メディアでは、2026年モデルのカムリに10点満点中9.5点という高い評価が与えられ、「歴代で最も運転が楽しいカムリかもしれない」と評された。価格帯は3万895ドルから3万8820ドル(約470万〜590万円、1ドル=152円換算)とされている。
標準化されたハイブリッドシステムによる優れた燃費性能(最も効率の良いグレードで市街地53mpg/高速道路50mpg)に加え、自然なステアリングフィールや安定した走り、充実した先進安全装備などが高く評価され、ホンダ・アコードやヒョンデ・ソナタ、Kia K5といったライバルとの比較でも総合トップという結果になった。
一方で、「外観は先代と大きく変わらない」「内装の組み付け品質には改善の余地がある」といった指摘もあり、長所と課題の両面が挙げられている。それでも総合的な完成度の高さについては、高い評価で一致している。
日本復活で評価は変わるのか
トヨタは今年の秋をめどに、米国ケンタッキー工場で生産する右ハンドル仕様のカムリを日本へ導入する計画を進めている。年間販売目標は1万台。日米貿易への対応という側面もある一方、現地で高い評価を受けるモデルをあらためて日本市場へ投入する狙いもある。
日本への再導入は、日米貿易への対応という側面もあるが、それだけではないだろう。
アメリカでは若者の初めての愛車として選ばれ、20年以上乗り続けるオーナーも珍しくなく、専門家からも高い評価を受ける。こうしたアメリカ市場で積み重ねてきた実績も、日本再導入を後押しする材料の一つになったのかもしれない。
日本では一度ラインアップから姿を消したカムリ。しかしアメリカでは、世代を超えて愛される定番セダンとして確かな存在感を放ち続けている。日本での復活が、どのように受け入れられるのか注目したい。
写真はタイ王国向けの現行型カムリ右ハンドル仕様。
2025年北米SEMAショーで公開されたカムリGT-Sコンセプト。そのカッコ良さが多くの若者を惹きつけたという。
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