
ホワイトハウスが送り出した「N-VAN ”POP HOT”」は、同社の人気軽キャンパー「N-VAN COMPO」の新シリーズモデル。ホンダN-VANに開放感と利便性を両立したポップアップルーフを採用することで、限られた空間に「垂直方向の自由」を創造した。ここでは、その機能性と開放感、利便性が、いかに現代の多様なライフスタイルに合致し、新たな車中泊体験を可能にするかをお伝えしよう。
●文/写真:月刊自家用車編集部
老舗ビルダーが提案する、軽キャンパーの新たな可能性
近年、車中泊やアウトドアブームの隆盛は著しい。都市生活者のストレス増大やリモートワークの普及が、自然回帰への欲求を刺激していると分析される。
こうした潮流の中、ホワイトハウスキャンパーがリリースしたホンダ N-VANベースの軽キャンピングカー「N-VAN “POP HOT”」は、その独自のコンセプトと機能性において、軽キャンパー市場に新たな解を提示していると言えよう。
ホワイトハウスキャンパーが提案する「N-VAN “POP HOT”」の核心たる特徴と、それがもたらすユーザーエクスペリエンスの変革について考えてみたい。
ホンダ N-VANをベースに仕上げられた軽キャンパー「N-VAN ”POP HOT”」。その名の通りルーフ全面にわたって備わるポップアップルーフが最大の特徴。ホワイトハウスキャンパーが展開する「N-VAN COMPO」のいち形態だ。
N-VANというベース車両の可能性に注目
まず、ベース車両であるホンダ N-VANの潜在力が見逃せない。
N-VANは、その商用バンとしての素性から、広大な積載スペースと低床フラットフロアを最大の武器とする。助手席側のセンターピラーレス構造もまた、荷物の積み下ろし、そして車内空間の有効活用において絶大な利便性を発揮してくれる。
ホワイトハウスは、このN-VANが持つ優位性を最大限に引き出しつつ、軽キャンパーに不可欠な「居住性」と「利便性」を両立させることに成功している。“POP HOT”のネーミングが示唆する「ポップアップルーフ」こそが、そのモデルの真骨頂だ。
軽自動車としては室内高がましとはいえ、車内で背を伸ばして立つことは厳しい。「N-VAN “POP HOT”」のポップアップルーフなら、室内高は1800mmにも達し、立って歩いたり着替えしたりと利便性は大きく高まる。
ポップアップルーフはレジャーシーンで輝く装備
軽自動車という限られた車体寸法において、車内での「垂直方向の空間」を確保することは、長らくキャンピングカー開発における最大の課題のひとつであった。“POP HOT”はルーフを跳ね上げることで車内に十分な頭上空間を創出し、これにより大人が無理なく「立つ」ことが可能となる。
この「立つ」ことができるという一点が、車中泊体験を根本的に変革する。例えば、車内での着替え、簡易的な調理、あるいは単なる移動といった日常的な動作が、窮屈な姿勢を強いられることなく行えるようになる。
これは、心理的な圧迫感の軽減にも繋がり、車内での滞在時間をより快適なものとする。また、ポップアップルーフ内部には追加の就寝スペースが確保されており、これにより大人2名での就寝に加えて、子供や荷物の収納スペースとしての活用も可能となる。つまり、実質的な居住空間の拡張であり、一般的な軽キャンパーを超える多様な利用シーンを創出してくれる。
「N-VAN “POP HOT”」のポップアップルールは、ただルーフの上に折りたたみ式の就寝スペースを置いているのではなく、ルーフを貫通してアクセスできる仕組み。左右にはメッシュ窓、展開は2本のガスダンパーを用いる。大人2名の就寝が可能。
自由度の高いレイアウトで、最善の組み合わせが選択できる
内装は、ポップアップルーフの恩恵を最大限に活かすべく、シンプルかつ機能的に設計されていることもポイント。
N-VANの低床フラットフロアを活かし、シートアレンジによって容易に広大なフルフラットの就寝スペースを確保できる点はもちろん、具体的なレイアウトはシリーズモデルによって違いは出てくるが、折りたたみ式のテーブルや簡易シンク、収納棚などがコンパクトに配置される。
これらは車内での食事や軽作業、さらに趣味の場とすることを可能にし、ホワイトハウスキャンパーが「趣味の秘密基地」をコンセプトにして宣伝するのも頷ける。
また、サブバッテリーシステムや外部電源入力といった電力供給基盤がオプションとして用意されることで、電化製品の使用範囲が広がり、より長期的な車中泊や連泊にも対応可能になる。
特にFFヒーターの装備は、寒冷地での車中泊における快適性を格段に向上させる。これらの装備は、軽キャンパーが抱える「設備の限界」という課題に対する、現実的かつ洗練された回答と言えるだろう。
N-VANならではの低床フロアとピラーレスドアが広大かつアクセス良好な室内を担保。フラットな室内は移動オフィスとして活用するもよし、ちょっとしたワークアウトすら可能にする。もちろん大人2名に就寝は楽勝だ。
キャンパーに特化しすぎない、日常使いでも便利なクルマ
こんな優れたキャンパーでありながら、普段は日常使いのパートナーになってくれることも人気を集めている理由。軽自動車ゆえの取り回しの良さ、維持費の経済性は大きなメリット。
週末はキャンピングカーとして、平日は通勤の足として、あるいは趣味の道具を積載するトランスポーターとして、一台で多様な役割をこなすことが可能というわけだ。
この「デュアルユース」のコンセプトは、昨今のライフスタイルにおける自動車の役割の変化を如実に示している。特定の用途に特化したセカンドカーを持つことが困難な現代において、一台で複数のニーズに応える車両は、消費者にとって極めて魅力的な選択肢となる。
この軽キャンパーは、ポップアップルーフというユニークな機構を有しながらも、ルーフを格納した状態では一般的な軽バンと遜色ない外観と走行性能を保つ。この柔軟性が、幅広い層からの支持を獲得する要因となっている。
電子レンジAC100V用や外部電源&AC室内コンセント、ポータブル冷蔵庫 15L、収納BOX & アウターテーブルセットほか、オプション装備は数多くラインナップ。ひとつひとつの装備を選ぶにも楽しい瞬間だ。
ミニマリズムと機能性をハイレベルで調和
「N-VAN “POP HOT”」は、軽キャンパーという制約の中で、最大限の快適性と利便性を追求した革新的なモデルと思う。ポップアップルーフによる「垂直方向の空間」の創出、N-VANのベース車両としての優れた特性の活用、そして日常使いとの両立という多角的なアプローチは、今後の軽キャンパーのあり方に対して、ひとつの指針となりそうだ。
ポップアップするルーフベッドは長さ1800mm、幅1020mm、高さ960mmとm大人2名の就寝を余裕でこなせるサイズ。サイドオーニングやサイクルキャリアなど、アクティビティを豊かにする装備も多数。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(キャンピングカー)
日常擁護型の本格キャンパー 街乗りの実用性とキャンピングカーの快適性。その両立は多くのモデルが言葉として掲げるが、実際に成し遂げるのは容易ではない。その点、日産のディーラー直営ショップが手掛ける「スペ[…]
車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽しんでいるユーザー[…]
無骨な角ばったフォルムが生み出す存在感 「Filbert」の印象を一言で表すなら“無骨で愛らしい”。アメリカンレトロをモチーフにしたその外観は、丸みの多い現代の車とは一線を画している。大きく張り出した[…]
家族のミニバンが、心地よい旅グルマへ 「フリード+ MV」は、ホンダのコンパクトミニバン「フリード+」をベースにしたキャンピング仕様。もともと使い勝手の良い車内空間をベースに、旅にも日常にもフィットす[…]
家族のミニバンが、週末には旅の相棒になる 「DAYs」はノア/ヴォクシーをベースにしたミニバン型キャンピングカー。普段は家族の送迎や買い物など日常の足として活躍し、休日になればそのままキャンプや車中泊[…]
最新の関連記事(ニュース)
●先進のプラグインハイブリッドシステムを採用 「SEALION 6」の最大の特徴は、BYDが独自に開発した高効率プラグインハイブリッドシステム「DM-i(デュアル・モード・インテリジェンス)」を搭載し[…]
ホンダの電動スポーツは「プレリュード」だけじゃない Super-ONE Prototypeは、「e: Dash BOOSTER」をグランドコンセプトに、日常の移動を刺激的で高揚感あふれる体験へと進化さ[…]
薄型キャビンながら広い室内空間を実現 この「Honda 0 Alpha」は、都市と自然の両方に美しく調和し、あらゆる場面で人びとに寄り添うことを目指したSUV。2025年1月のCES 2025で発表さ[…]
上質なコンパクトカーに新たな選択肢 プジョー208は、優れた取り回しと洗練されたデザインが評価されているハッチバックモデル。現行モデルは、独自設計のi-Cockpitの採用や、運転支援機能が強化された[…]
2026年度内の量産化を公言 スズキブースの目玉は「Vision e-Sky」と名付けられた、軽EVのコンセプトモデル。 スズキは「日々の通勤や買い物、休日のちょっとした遠出など、軽自動車を生活の足と[…]
人気記事ランキング(全体)
車内には、活用できる部分が意外と多い カーグッズに対して、特に意識を払うことがない人でも、車内を見渡せば、何かしらのグッズが1つ2つは設置されているのではないだろうか。特に、現代では欠かすことができな[…]
家族のミニバンが、心地よい旅グルマへ 「フリード+ MV」は、ホンダのコンパクトミニバン「フリード+」をベースにしたキャンピング仕様。もともと使い勝手の良い車内空間をベースに、旅にも日常にもフィットす[…]
ホンダの電動スポーツは「プレリュード」だけじゃない Super-ONE Prototypeは、「e: Dash BOOSTER」をグランドコンセプトに、日常の移動を刺激的で高揚感あふれる体験へと進化さ[…]
薄型キャビンながら広い室内空間を実現 この「Honda 0 Alpha」は、都市と自然の両方に美しく調和し、あらゆる場面で人びとに寄り添うことを目指したSUV。2025年1月のCES 2025で発表さ[…]
ブラック加飾でスポーティ感を演出した、日本専用の上級グレードを投入 2022年より海外で展開している6代目CR-Vは、国内向けモデルとしてFCEV(燃料電池車)が投入されているが、今回、e:HEVを搭[…]
最新の投稿記事(全体)
●先進のプラグインハイブリッドシステムを採用 「SEALION 6」の最大の特徴は、BYDが独自に開発した高効率プラグインハイブリッドシステム「DM-i(デュアル・モード・インテリジェンス)」を搭載し[…]
●SUVの「死角」を減らす注目アイテム 人気のSUVだが、その車高の高さやボディサイズがもたらす「死角」は、ドライバーにとって常に付きまとう課題だ。カローラクロスも例外ではなく、運転席から遠い左前輪付[…]
ホンダの電動スポーツは「プレリュード」だけじゃない Super-ONE Prototypeは、「e: Dash BOOSTER」をグランドコンセプトに、日常の移動を刺激的で高揚感あふれる体験へと進化さ[…]
薄型キャビンながら広い室内空間を実現 この「Honda 0 Alpha」は、都市と自然の両方に美しく調和し、あらゆる場面で人びとに寄り添うことを目指したSUV。2025年1月のCES 2025で発表さ[…]
上質なコンパクトカーに新たな選択肢 プジョー208は、優れた取り回しと洗練されたデザインが評価されているハッチバックモデル。現行モデルは、独自設計のi-Cockpitの採用や、運転支援機能が強化された[…]
- 1
- 2





















