
ミニバンとしての使い勝手と、旅グルマとしての自由度。その両立を求めるユーザーが近年増えている。そんなニーズに応える存在として注目したいのが、NOAH/VOXYをベースに仕立てられたホワイトハウスキャンパーのDAYs(デイズ)だ。日常の延長線にある自然体のクルマながら、ポップアップルーフや多彩な車中泊装備によって“非日常”へと誘うポテンシャルを秘めている。今回はその魅力を丁寧に掘り下げていく。
●文:月刊自家用車編集部
新しい旅のスタンダードとしてのNOAH/VOXYがベースのDAYs
ミニバンの定番として根強い人気を誇るトヨタ・NOAH/VOXYは、家族ユーザーだけでなくアウトドア好きにも好まれてきた。2022年にフルモデルチェンジを受けた90系はプラットフォームから刷新され、室内の広さや静粛性が一段と向上している。ホワイトハウスキャンパーはこのベース車の素性にいち早く着目し、旅グルマとしての可能性を最大限に引き出すキャンパー仕様を構築した。
特に標準ルーフとポップアップルーフの2タイプを揃えたことで、シーンに合わせた選択が可能となった。普段は日常の足として使いながら、休日にはレジャー仕様へ瞬時に変わる。そんな柔軟性がNOAH/VOXYキャンパーの最大の価値と言える。
ポップアップルーフが作り出す“もう一つの部屋”
ポップアップルーフは、NOAH/VOXYのスタイルに合わせて美しく仕立てられている。ガスダンパーによって軽い操作で開閉でき、上げた瞬間にロフトのようなスペースが現れる構造だ。圧迫感のない室内高が確保され、大人2人が横になれるほどのベッド空間が広がる。
上方向への空間拡張は車内での過ごし方そのものを変える。着替えるときに腰を屈める必要がなくなり、荷物の置き場所にも自由度が生まれる。寒い時期は荷物を上段に逃がしておくことで下段を広々使えるため、家庭の二階と一階のように用途を分けられる点も面白い。
純正シートを活かした簡易フラットクッションマット
ミニバンの利点である純正シートを活かしつつ、快適な車中泊環境を作りたい。そんなニーズに応えたのが簡易フラットクッションマットだ。これは純正セカンドシートとサードシートの段差を解消し、大きな一枚のフラット空間へ変えるための装備である。
専用品ならではのフィット感により、横になったときの違和感が少ない。マット自体も適度な弾力を備え、長時間の滞在でも体が痛くなりにくい。普段は家族の移動車として使い、必要なときだけマットを敷いて車中泊モードに切り替える。この手軽さはミニバンキャンパーならではの価値だ。
フロント回転シートで生まれる“対座リビング”
長旅の途中でほっと落ち着ける場所をつくりたい時、車内にリビング的な空間があると滞在性が一気に向上する。ホワイトハウスキャンパー独自のフロント回転シートは、運転席・助手席を一瞬で後ろ向きに変えられる仕組みだ。限られたスペースの中で椅子の向きを変えるだけで、車内の雰囲気が驚くほど変わる。
家族や友人と向き合って食事をしたり、夜のひとときを過ごしたりと、ミニバンとは思えない居心地の良さが生まれる。必要に応じてテーブルの装着もできるため、車内での作業や簡単な食事にも対応する。移動と休憩の境界が曖昧になり、旅そのものの質を底上げしてくれる装備だ。
車内の快適性を支えるモスキートネットとプライバシーカーテン
キャンピングカーとして使う場面では、虫対策とプライバシー確保が欠かせない。スライドドアとリヤゲートには専用のモスキートネットが標準で用意され、夏場の車中泊でもしっかり虫の侵入を防げる。通気性を保ちながら涼しく眠れるため、エンジンをかけずに快適に過ごしたいユーザーにとって大きな安心材料となる。
全窓に装着できるプライバシーカーテンも旅先での安心感を支える。リアはカーテンレール式で使い勝手が良く、サイドとフロントはスナップホック方式で手早く取り付けられる。昼間は外光を適度に遮り、夜は外からの視線を完全にシャットアウト。車内を小さな個室のように使えるため、より自由な旅が実現する。
キャンピングカーとしての使い勝手を極めた室内空間
ポップアップルーフによる上方向の拡張は、実際に車内で過ごす時間を豊かにする。立ったまま着替えられるだけでなく、空間的なゆとりがあることで動きにストレスを感じにくい。さらに荷物の配置に自由度が生まれるため、旅先での生活リズムも自然と整っていく。
また、家族連れでも大人2人+子どもというような柔軟な寝室分けができる点は魅力的だ。ミニバンというボディサイズの中で、二層構造の空間をつくれることは大きな価値であり、NOAH/VOXYのキャンピングカーとしての完成度の高さを感じられる部分だ。
人気オプションのソーラーシステムが旅の自由度を拡大
キャンピングカーとしての能力をさらに引き上げたいなら、ソーラーシステムの装着が有効だ。ホワイトハウスキャンパーは超軽量薄型のソーラーパネルを採用し、ルーフ上の面積を最大限活用して発電効率を高めている。このソーラーがあることでサブバッテリーの充電が安定し、外部電源がない環境でも電力の心配が少なくなる。
長期の車中泊旅や、電源サイトを使わないキャンプでも安心して滞在できる。電気が確保されれば冷蔵庫や照明などの利用幅が一気に広がり、クルマが“住める空間”としての機能を持つようになる。これこそが現代のキャンピングカーに求められる自由度と言える。
NOAH/VOXYが持つベース車としての優位性
ベース車であるNOAH/VOXYは走行性能、安全装備、静粛性のバランスが良く、家族の日常車として高い評価を受けてきた。キャンパー仕様にすることで重さが増す場面でも、パワートレインの余裕や足まわりの安定性がドライブの質を損なわない。ガソリンとハイブリッドの両パワートレインが選べる点も嬉しい。
さらにインテリアの作り込みも洗練されており、キャンパー仕様にした際の一体感を損なわない。ミニバンとしての快適性をベースに、旅仕様へと自然にシフトできる素性の良さは、数あるキャンピングカーベースの中でも強力な武器となる。
価格と構成のバランス
標準ルーフ仕様が330万円台から、ポップアップルーフ仕様が380万円台からという価格設定は、ミニバンとして考えると決して高すぎるものではない。むしろ、キャンパーとしての機能性とベース車の完成度を合わせて考えると、高いコストパフォーマンスを感じる。
特にポップアップルーフ仕様は、実質的にもう一つの部屋を手に入れるようなものだ。家族構成の変化や旅スタイルの変化に合わせて柔軟に使えるため、長く所有するうえでもメリットが大きい。
写真ギャラリー
車内はフラットシートがメインとなったレイアウト。
1列目のシートが回転するため、車内スペースを無駄なく使用できる。
バックドア側から見た車内。
ポップアップルーフを展開すれば、大人2名分の就寝スペースを確保することができる。
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