
●文:月刊自家用車編集部
エクストレイル:モデル概要
4代目となる現行型は、初代モデルからのDNAである「タフギア」を継承しつつ、新たに「上質さ」を加えた本格SUVとして登場。日産&三菱の協業体制と、日産独自の電動化戦略を柱に開発され、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」のもと、新型「エクストレイル」を電動化戦略を牽引する重要なモデルと位置付けている。先代では内燃機モデルも設定されていたが、プラットフォームやパワーユニットが一新された現行型では、シリーズ式ハイブリッドの「e-POWER」専用モデルとしている。
駆動方式はFFと4WDが用意されるが、FF車はフロントモーター(150kW)のみに対して、4WD車には100kWを発揮するリヤモーターが搭載。4WDシステムは、アリアから採用が始まった日産独自の四輪駆動制御システム「e-4ORCE」を採用する。前後ツインモーターの4WD車は動力性能面でも上位設定に位置付けられる。
内燃機車をラインナップしていないため、先代に比べると価格レンジは少し高くなっているが、一部グレードを除けばプロパイロットが標準装備化されるなど、ミドルSUVのハイブリッドモデルとしては納得できる内容を持つ。走行性能やキャビン実用性を基準にするなら、コスパは間違いなくトップレベル。ミドルSUV選びの柱になれるモデルに進化を遂げている。
エクストレイル:スタイリング&パッケージ
初代モデルから受け継ぐ力強さに、余裕と上質さを加えた、新しいSUVのプロポーションに刷新。フロントマスクには、日産のデザインアイコンとなるVモーショングリルが採用されたほか、ヘッドランプは上段にポジションランプとターンランプ、下段にメインランプを配置する2階建ての構造とし上質感を演出。リヤコンビネーションランプのインナーレンズには、日本の伝統的な切子パターンから着想を得た、精密でキラキラと輝く加工が施されている。
2025年8月にマイナーチェンジでフェイスリフトを実施。Vモーションの上端に切れ込むようなデザインのシグネチャーポジションランプと、横のラインが強調された新しいグリルが組み合わされ、よりシャープで精悍な印象を強めている。
エクストレイル X e-4ORCE(2022年7月モデル)
全長×全幅×全高(mm):4660×1840×1720 ホイールベース(mm):2705 車両重量(kg):1850 パワーユニット:1497cc直3気筒DOHCターボ(106kW/250Nm)+ツインモーター(フロント150kw/330Nm、リヤ100kW/195Nm) WLTCモード総合燃費:18.4km/L ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ベンチレーテッドディスク(R) サスペンション:ストラット式(F)マルチリンク式(R)タイヤ:235/55R19
エクストレイル G e-4ORCE(2025年8月モデル)
全長×全幅×全高(mm):4690×1840×1720 ホイールベース(mm):2705 最低地上高(mm):185 車両重量(kg):1880 パワーユニット:1497cc直3DOHCターボ(144PS/250kW)+モーター(フロント:150kW/330Nm、リヤ:100kW/195Nm) 最小回転半径(m)5.4 サスペンション:ストラット式(F)マルチリンク式(R) ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ベンチレーテッドディスク(R) タイヤ:235/55R19
エクストレイル:キャビン&装備機能
インテリアは、タフさと上質な心地よさを兼ね備えたデザインを注入。コンソール部分を宙に浮かせたブリッジ構造のセンターコンソールが採用されており、使い勝手の良さも追求。ほかにもラージサイズのカップホルダーと、ティッシュボックスやひざ掛けを収納できるスペースがコンソール下に用意され、アームレストを兼ねるコンソールリッドには、収納物が取り出しやすい観音開きとしている。
先代よりもゆとりと上質さが増したキャビンパッケージも武器の一つ。シートは2列仕様が基本となるが、一部グレードには荷室部分にサードシートを備えた3列仕様も設定される。荷室機能は、荷室スペースの幅、開口幅を広げるなど、歴代モデルと同じくレジャービークルとして高い適性が与えられている。
装備機能も大きくジャンプアップ。メーターには、2種類の表示モードを選択できる12.3インチのアドバンスドドライブアシストディスプレイを採用。ステアリング奥には10.8インチの大型ヘッドアップディスプレイも搭載される。センターディスプレイには、自然な言葉で操作できるボイスアシスタントやAmazon Alexaを搭載した12.3インチのNissan Connectナビゲーションシステムが組み合わされる。
2025年のマイナーチェンジでは、インフォテインメント機能が強化され、新たにGoogleビルトインを搭載。GoogleマップやGoogleアシスタントが使えるようになり、スマートフォンとの連携機能も強化されている。
エクストレイル X e-4ORCE(2022年モデル・3列仕様)。メーターのカラーディスプレイ化やワイドモニターディスプレイの採用により、先代に比べるとインフォメーション機能が大幅に強化されている。
エクストレイル:パワートレーン&メカニズム
パワートレーンは、エンジンを発電機として使用し、その電力でモーターを駆動するシリーズ式ハイブリッドの電動化技術「e-POWER」を搭載。発電用エンジンには、日産が世界で初めて量産に成功した可変圧縮比エンジン「VCターボ」が採用され、常用域から加速時まで回転数を抑えることで、圧倒的な静粛性を実現し、車格感の向上に貢献している。
駆動方式は2WDと4WDが用意されており、4WDモデルは、前後に高出力モーターを搭載したツインモーター仕様で、前後2基の高出力モーターと左右のブレーキを統合制御し、4輪の駆動力を最適化する電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を搭載。これにより、雪道や山道での走破性を高めるとともに、あらゆるシーンで快適な乗り心地と良質な走りが提供される。WLTCモード燃費は4WD車で18.4km/Lとなるなど、先代のハイブリッド車から大幅に向上している。
エクストレイル:モデル変遷
【2022年7月:初期型】発売後、約2週間で1万台を超える受注を獲得
フルモデルチェンジでは、進化した第2世代のe-POWERと、発電用エンジンとして世界初の可変圧縮比エンジン「VCターボ」を搭載することで、力強く滑らかな走りや圧倒的な静粛性を実現。360°セーフティーアシストやプロパイロットに「ナビリンク機能」を追加するなど、先進安全装備も充実。
ボディカラーは、2トーン5種と、モノトーン7色の全12色をラインナップ。初代モデルからのイメージカラーである赤系のボディカラーは、日本市場初投入となるカーディナルレッドが設定。
シートにはブラックのファブリックに加え、次世代シート素材「TailorFit™(テーラーフィット)」、タン色のナッパレザー、アウトドアアクティビティに役立つセルクロス®を使用した防水シートの合計4種類が用意される。
またレギュラーモデルに加えて、日産モータースポーツ&カスタマイズが扱うカスタムモデル(持ち込み登録車扱い)の「AUTECH」と「エクストリーマーX」もラインナップされている。
なお、発表後の約2週間で受注1万2千台を突破するなど、歴代エクストレイル史上最速、e-POWERモデルとしても発売から最短の日数で1万台を超える受注を集めている。
G e-4ORCE ボディカラー:シェルブロンド/スーパーブラック 2トーン
エクストレイル グレードバリエーション&価格【2022年7月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【2WD/4WD】 |
1497cc直3DOHCターボ 144PS/25.5kg・m + モーター フロント:150kW/330Nm | S【一段固定式】 | 319万円/− |
X【一段固定式】 | 349万9100円/− | |
G【一段固定式】 | 429万8800円/− | |
1497cc直3DOHCターボ 144PS/25.5kg・m + ツインモーター フロント:150kW/330Nm リヤ:100kW/195Nm | S e-4ORCE【一段固定式】 | 347万9300円 |
X e-4ORCE (2列仕様)【一段固定式】 | 379万9400円 | |
X e-4ORCE (3列仕様)【一段固定式】 | 393万300円 | |
G e-4ORCE【一段固定式】 | 449万9000円 |
AUTECH
エクストリーマーX
【2024年5月:一部改良】装備機能の強化に加え、アニバーサリーの90周年記念車も設定
仕様向上として「インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)」と「インテリジェント ルームミラー」を全グレードに標準装備し、安全性を強化。また、NissanConnectナビゲーションシステムにはHDMI端子を設定したほか、日産オリジナルナビゲーションやディスプレイオーディオにもアラウンドビューモニターの映像を投影可能にするなど、利便性の向上も図られている。
さらに、Gグレードは、タンに加えてブラックのナッパレザーシートを、Xグレードは19インチタイヤとアルミホイールが選択可能になるなど、プションの選択肢が多様化されている。ボディカラーは、これまで2トーンカラーにのみ設定されていた人気色のシェルブロンドが、単色でも選択可能になっている。
新たに特別仕様車「90th Anniversary」も追加。ルーフレールとフロントのVモーションがカッパー色に変更され、ドアミラーにはブラックカラーにカッパーストライプのデザインが施されるほか、ブラックの18インチアルミホイールや「リモコンオートバックドア」も標準装備される。内装はカッパー色のステッチが施された「テーラーフィットTM」のシートが採用され、記念車ならではの雰囲気を演出している。
90周年記念車「X e-4ORCE」ボディカラー:ブリリアントホワイトパール スーパーブラック 2トーン
【2025年8月:最新型】フェイスリフトを伴うマイナーチェンジを実施。カスタムモデルのラインナップも拡充
マイナーチェンジで、内外装の変更、車載ITの機能強化、カスタマイズモデルの拡充が実施された。
外観は、フロントマスクが大幅に変わるフェイスリフトを実施。Vモーションの上端に切れ込むようなデザインのシグネチャーポジションランプと、横のラインが強調された新しいグリルが組み合わされ、よりシャープで精悍な印象になっている。内装は、インストルメントパネルやドアトリムの色調、シートの素材が変更され、オプションのナッパレザー仕様は落ち着いたブラウン系に一新。
車載ITは、NissanConnectに新たにGoogleが搭載。GoogleマップやGoogleアシスタントが利用できるようになり、スマートフォンとの連携機能も強化。Google搭載のNissanConnectにはDCM(データ通信モジュール)が搭載され、車内Wi-Fiを通じてインターネットに接続することも可能になっている。
ほかにも車体直下の路面を含む周辺が見える「インビジブルフードビュー」や、ボディを斜め上から見た画像を8方向から選んで表示できる「3Dビュー」が車両周辺モニターに機能追加されている。
日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)が手がけるカスタムモデルが拡充され、走行性能を特化した「AUTECH Sports Spec」「NISMO」、SUVらしいタフネス感を強調した「Rock Creek」が追加されている。
エクストレイル グレードバリエーション&価格【2025年8月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【2WD/4WD】 |
1497cc直4ターボ (144PS/25.5kg-m) + フロントモーター (150kW/330Nm) | S【一段固定式】 | 384万3400円/− |
X【一段固定式】 | 404万9100円/− | |
G【一段固定式】 | 464万6400円/− | |
1497cc直4ターボ (144PS/25.5kg-m) + フロントモーター (150kW/330Nm) リヤモーター (100kW/195Nm) | S e-4ORCE【一段固定式】 | −/403万8100円 |
X e-4ORCE(2列シート)【一段固定式】 | −/434万9400円 | |
X e-4ORCE(3列シート)【一段固定式】 | −/447万9200円 | |
G e-4ORCE【一段固定式】 | −/494万6700円 |
エクストレイル NISMO グレードバリエーション&価格【2025年8月モデル】※持ち込み登録車扱い | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【4WD】 |
1497cc直4ターボ (144PS/25.5kg-m) + フロントモーター (150kW/330Nm) リヤモーター (100kW/195Nm) | NISMO e-4ORCE【一段固定式】 | 541万6400円 |
NISMO advancedv package e-4ORCE【一段固定式】 | 596万2000円 |
エクストレイル NISMO
エクストレイル ROCK CREEK
エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC
エクストレイル:最新値引き&納期情報(2025年8月現在)
- 車両本体目標値引き額:22万円
- 納期の目安:2〜5か月
- リセール予想:B-
マイナーチェンジで値引きの引き締めが図られており、値引きの基本を7~8万円に設定している販売店が目立つ。最初の商談では付属品の割引をプラスして10万円引き程度で様子をうかがってくることが多い。ただ、編集部に寄せられるユーザーからの報告例の中には、15万円前後の条件を引き出せているケースも。ハリアーやRAV4、フォレスターと競合させて、最後に経営の異なる日産販売店同士で競わせれば、車両本体+付属品の合計で25万円前後の値引きは狙いたい。納期はレギュラーモデルなら2か月程度が目安だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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