空冷ビートルの年式を瞬時に見分けるとき、リアウィンドーを見ることが最初のヒントになります。
●文/まとめ:ストリートVWs編集部
低年式はリアウィンドーが大きな特徴
以前の記事でビートルは1967年式までが「低年式」、1968年式以降が「高年式」とざっくり大分類した。さらに細かく分類するにあたり、いちばん目立つ部分がリアウィンドーだ。
特に低年式のリアウィンドーは特徴的で、そのモデルを指すニックネームとしても定着している。
【第1形態】1938~1953年 スプリット・ウィンドー
左右に分割されているという意味の「スプリット」。まだ曲面ガラスを作ることが難しかったため、平面ガラスをボディの曲面に埋め込むためのデザインだった。このウィンドーを持つビートルのことを「スプリット」と呼ぶ。
生産年数で数えると15年間と長いが、1947年までは実質軍用のみで、市販が開始された1948年以降も生産台数は少ない。ビートルのなかでも最もレアな年代である。
【第2形態】1953~1957年 オーバル・ウィンドー
楕円形を意味する「オーバル」。スプリットの真ん中のピラーを取って曲面ガラスになった。このウィンドーを持つビートルのことを「オーバル」と呼ぶ。
スプリットの時代に比べて生産体制も安定し、北米でヒットしたため生産台数は急増した。ウィンドー以外にも大きな改良が加えられ、ラグジュアリー感を増したスタイルによって人気が高いモデルだ。
実は3種類あるスクウェア・ウィンドー
第3形態から第5形態は四角いウィンドーになり、まとめて「スクウェア」ウィンドーと呼ばれている。だが、実はその大きさが3種類あることは上級マニアにしか知られていない。
【第3形態】1958~1964年式 スモールスクウェア・ウィンドー
スクウェア・ウィンドーのなかでも最も小さなタイプ。小さい四角形という意味の「スモールスクウェア」ウィンドーと呼ばれる。オーバルに比べて後方視界がかなり良くなったことは言うまでもない。
最近ではオーバルに次ぐヴィンテージ世代としてスモールスクウェア・ウィンドーの人気が高まっている。
【第4形態】1965~1971年式 ミディアムスクウェア・ウィンドー
スクウェア形状のままガラス面が上に約20mm、左右に約10mmずつ大きくなった。プレスラインから窓までの幅を見れば、大きくなっていることがよくわかる。
この世代は低年式から高年式へとリアウィンドー以外の目立ったマイナーチェンジが多かった時期で、あえてリアウィンドーくくりのニックネームが付くことはなかった。Street VWsでは便宜上「ミディアムスクウェア」と呼んでいる。
【第5形態】1972~2003年式 ラージスクウェア・ウィンドー
再び上に約40mm、左右にもわずかに大きくなった。しかし、ひと目見ただけではわかりにくく、窓だけを見て判別できるようになったら超上級者だ。この年代は、リアウィンドー以外の特徴で見分けることができる。
ちなみにラージスクウェア・ウィンドーの生産期間は30年以上になるが、ドイツでの生産は1978年までなので約6年半となる。以下にドイツ製ビートルの各ウィンドーの生産期間とおよその生産台数を表にした。期間としては大きな偏りなくマイナーチェンジしていたことがわかるが、生産台数は1960年代が最も多かった。
スプリット・ウィンドー | 5年2ヶ月 | 1948年1月~1953年3月 | 約37万台 |
オーバル・ウィンドー | 4年5ヶ月 | 1953年3月~1957年7月 | 約110万台 |
スモールスクウェア・ウィンドー | 7年 | 1957年8月~1964年7月 | 約450万台 |
ミディアムスクウェア・ウィンドー | 7年 | 1964年8月~1971年7月 | 約670万台 |
ラージスクウェア・ウィンドー | 6年5ヶ月 | 1971年8月~1978年1月 | 約270万台 |
後ろから見たほうが年代がわかりやすい
フロントから見ただけでは低年式と高年式くらいしか見分けがつかないが、後ろから見れば少なくともスプリット、オーバル、スクウェアの3つを簡単に区別することができる。
また、テールランプも年代によってどんどん変わるパーツなので、合わせて見ることでさらに細分化ができるのだ。次回はそのテールランプに注目する。
毎週水曜日はVOLKSWEDNESDAY! 面白くて勉強になるフォルクスワーゲン情報をお届けしますので、お楽しみに。
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