トヨタ クラウン・歴代屈指の走りを手に入れた上級スポーティセダン【国産車カタログ】

●文:月刊自家用車編集部(ハラ)

【プロフィール】TNGA技術を注ぐことで、走りの質感を大きく向上

トヨタ
クラウン
発売日:2018年6月

価格:460万6200〜718万7400円(2018年6月当時)

2018年6月にフルモデルチェンジした15代目クラウン。ゼロクラウン(12代目)以降のクラウンは走りを強く意識したキャラが強まっているが、15代目はTNGAに基づくクルマ造りが随所に注がれたことで、歴代屈指のスポーティセダンに仕上げられている。

プラットフォームはGA-Lのナロー仕様、サスペンションは前後ともマルチリンク式を採用。サスチューンはニュルブルクリンク仕込みの硬派なセッティングが与えられるなど、海外メーカーの上級セダンを意識した味付けが与えられている。

パワートレーンは2.5ℓハイブリッド(エンジン:184PS/22.5kg・m+モーター:105kW/300Nm)、3.5ℓハイブリッド(エンジン:299PS/35.7kg・m+モーター:132kW/300Nm)の2つのハイブリッド車と、2ℓターボ(245PS/35.7kg・m)の3タイプを設定。2.5ℓハイブリッド車には4WD仕様も設定されているが、E-Fourのようなモーターを配置するタイプではなく、エンジン+モーターの駆動力をトランスファーを介して前輪を駆動させるメカニズムが採用されている。

第2世代型トヨタセーフティセンスの装着や通信機能のTコネクトサービスの提供など、次世代を意識した機能が充実していることも見逃せない特徴だ。

リヤエンド近くまで伸ばしたリヤピラーや6ライトデザインを採用することで、スポーティな印象を強化。撮影車は2020年11月以降のRSアドバンス。

素材感を高めたトリムや表面処理を施すことでカジュアルさとプレミアムを両立。2020年11月以降のモデルの車載ITは、12.3インチモニターSDナビに変更されている。

フロントシートの高さは先代とほぼ同等。クッションは硬めでホールド性も優秀。リヤガラスの傾斜は相応だが、頭がぶつかることはない。

【モデル変遷&グレード体系】2020年11月の大幅改良で、商品力を向上

2018年6月にフルモデルチェンジを実施。シャシー性能を高めたことで走る・曲がる・止まるといった車両性能が大幅に向上したほか、車載通信機DCMを全車に標準搭載した初代コネクティッドカーとして登場。

デビュー当時のグレード構成は、2.5ℓハイブリッドにS/S Cパッケージ/G/RS/RSアドバンスなど11タイプ、3.5ℓハイブリッドにS/Gエクスクルーシブ/RSアドバンスの3タイプ、2ℓターボにB/S/S Cパッケージ/G/RS-B/RS/RSアドバンスの7タイプを設定。

RS車は専用フロントグリルやメッキモール、サイドエアダムスカート、アルミホイール、4本出しエキゾーストテールパイプなどで、外観が差別化されたほか、フロントスタビライザー&リニアソレノイド式AVSなどのパフォーマンスアイテムが追加されている。

発売1か月時点の受注実績で約3万台を記録(月販目標4500台)するなど、好調な数字を積み上げていた。

2019年7月に内外装の上質感を高める特別装備を装着した特別仕様車S“Elegance Style”(2ℓターボ、2.5ℓハイブリッド)、S Four“Elegance Style”(2.5ℓハイブリッド)を設定。

2019年10月に上質さとスポーティさを高めた特別仕様車S“Sport Style”(2ℓターボ)、2.5ℓハイブリッド)、S Four“Sport Style”(2.5ℓハイブリッド)を設定。

2020年4月にクラウン誕生65周年を記念した特別仕様車RS“Limited”、RS Four“Limited”などを設定。

2020年11月に一部改良を実施。内外装の意匠変更に加えて、車載ITを12.3インチTFTタッチワイドディスプレイ採用のT-Connect SDナビゲーションシステムに変更。トヨタセーフティセンスの機能向上(ドライバー異常時対応システム、レーダークルーズコントロールにカーブ速度抑制機能を追加など)も実施されている。

2021年6月に特別仕様車 RS“Limited Ⅱ”/RS Four“Limited Ⅱ”を設定。

撮影車は2018年デビュー時の2.5ハイブリッドG。

撮影車は2018年デビュー時の2ℓターボのRS。

撮影車は2018年デビュー時の3.5ハイブリッドGエクスクルーシブ。

【試乗インプレ】スポーティな走りを楽しむなら、2ℓターボのRSがオススメ

主力を担う2.5ハイブリッドのベースエンジンは2.5ℓ直4エンジン。排気量こそ先代と同じだが、THS Ⅱシステムは完全に新開発されたものを搭載している。この新ハイブリッドはTHS Ⅱの泣き所だったラバーバンドフィールが消え去り、電動からエンジン駆動への切り替えもスムーズ。ガソリン車と遜色のない巧みな変速制御も実現している優れもので、余力感も含めて性能向上を強く実感できる。

最上級の3.5ハイブリッドは、3.5ℓV6と高性能モーターの組み合わせ。1ランク上のパワースペックを持つだけではなく、機械式変速機構を備えるマルチステージハイブリッドの恩恵もあって、よりアクセル操作に対するレスポンスの良さや加速の伸びを体感できる。穏やかな走行を望むユーザーには扱いづらさを感じてしまうほどパワフルな味付けだ。歴代のクラウンマジェスタのような重厚な走りを好むユーザーにとっては、最も近いグレードといえる。

2ℓ直4ターボを搭載する2ℓターボは、8速ATとの組み合わせ。先代でも採用されていたパワーユニットだが、改良により洗練さが増している印象。ダウンサイジングターボらしい低中速域を意識した出力特性を持ち、ターボラグも少なめ。幅広い速度域で細かく変速制御を行うこともあってNAエンジンに近い走行感覚を感じる。スポーティな走りを求める向きには最も適しているだろう。

どのグレードを選んでも良質な乗り味を楽しめるが、標準車系は従来のクラウン像に近い穏やかで乗り心地に優れる印象が強く、一方、硬めのアシを持つRS系はメリハリの効いたシャープなハンドリングが印象的だ。

2ℓターボ車は低中速域からの出足も十分。スポーティな味付けを好むユーザーにオススメできる。

従来のクラウンのイメージに一番近いのは2.5ハイブリッド。マジェスタ系の重みを求めるならば3.5ハイブリッドがベストだろう。


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