高速有鉛デラックスが創刊されたのは2007年のこと。気がつけば15周年を迎えていました。
ところで、なぜ高速有鉛という名前にしたのでしょう。編集長にインタビューしてみました。
●文/まとめ:高速有鉛デラックス編集部
有鉛ステッカーと高速有鉛ステッカー
「長い間、旧車といえば昭和40年代に製造された王道のGTカーばかりにスポットを当てられていたと思います。それらの名車と呼ばれる旧車が使用する燃料は有鉛ガソリンでした。リアウィンドーに赤い有鉛ステッカーが貼ってあって、高性能車のステイタスでもありました。しかし、地味なセダンに貼られていたのは橙色の高速有鉛という謎のステッカーだったのです。子供の頃に見て『なんか、これ、きっと凄いに違いない』と、スーパーカーよりも心惹かれるものがありました」
-高速有鉛という燃料があったのですか?
「昭和49年のガソリン無鉛化計画で、無鉛ガソリンが販売されることになりました。しかし、無鉛仕様に改善できない古い高性能GTカーは有鉛ガソリンを引き続き使用できました。そしてセダン等では『通常は無鉛ガソリンを使うけれど、高速走行では有鉛ガソリンを使ってくださいね!』となったのです。つまり高速走行時は有鉛という意味だったのです」
それまでスポットの当たらなかったクルマたちをフィーチャー
-なるほど、高速有鉛仕様の旧車を取り扱う雑誌ということでしょうか?
「だいたいあってます。当時の旧車雑誌で表紙を飾るのは王道のスカイラインやフェアレディばかりでしたが、セドリックやクラウンなどの4ドアセダンやライトバンにもスポットを当てたかったのです。それだけでなく、旧車雑誌では主役として取り扱われることのない昭和50年代のネオクラシックや、カスタム雑誌でフィーチャーされないノーマルの北米仕様など、それまで雑誌で紹介されることのなかったクルマたちをじっくり紹介したい。たとえば430セドグロや110クラウンは高速有鉛仕様車の子孫のような存在と言えますが、こんなの旧車じゃないとバカにされていた時代でした。けれど、とてもカッコよくて子供の頃に憧れましたし、絶対に好きな人がたくさんいるはずと思っていました。今では人気の旧車となりましたが、わずか15年前はまだまだマイナーな存在でした」
-バスとかタクシーとか、有鉛どころかガソリンでさえないですよね?
「軽油を使うバスやLPGが燃料のタクシーも、創刊当初からたくさん登場します。有鉛という王道に対して、影に隠れて実はカッコいい存在という意味を高速有鉛に込めているので、ピッタリだと思っています。今では『プロパン車を自家用に使うなんて高速有鉛だね~』なんて話が成り立つことも嬉しいです」
-高速有鉛というジャンルが確立したということですね
「そんな時代が来るとは思いませんでした。ただ単純に、もしも自分で雑誌を創刊するなら『高速有鉛』という名前にしようと決めていたんです。響きがカッコいいし、漢字タイトルの雑誌を作ってみたかったんです。いざ創刊することになって、名前の由来を後付けで考えるのが大変でした」
-ん?
「ん?」
高速有鉛デラックスは15周年を迎えました。これもすべて読者のみなさまのおかげです。最新のVol.88ではY34~Y33とX100系マークⅡ3兄弟の特集です。まだまだ旧車と呼ぶには新しいかもしれませんが「実は好きだったんだ」という人も多いと思います。
時は流れて登場するクルマたちが変わっていっても高速有鉛魂は貫かれています。是非、お楽しみください。
これからも、よろしくお願いいたします。
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