数多いる自動車YouTuberの中でも、濃密なキャラと語り口で異彩を放つ「ウナ丼」。今回はマニア熱望の「ジープ・グラディエーター ルビコン」がお題。強烈な個性の珍モデルへの偏愛ぶり、ぜひご堪能あれ。
●文:ウナ丼 ●まとめ:オートメカニック編集部
超凹凸路であるモーグルセクション、遭難必至のすごコースで試乗!?
「どうも! 一生声変わり中の者です」
……誌面じゃ声、わかりませんね(笑)。
先日、山トラックことジープ・グラディエーター ルビコンに乗りました。これ、ジープ・ラングラーの4枚ドア版 アンリミテッドをベースに後席以降を荷台とした仕様なんですが、「ラゲッジ部分をオープンにしただけかな?」なんて、bBオープンデッキ等を想像していると実物におったまげます。だってだって、普通に長いベッドがガチャコーンってくっつけられてるんですもの。
「 そんなことしたら無駄にデカくなるじゃないか!?」ですって? そんなことは関係ないんですよ、とばかりに産み落とされたのがコレ。全長はアンリミテッドより730mm長い5600mm! もはや日本では絶望的な長さですが、米国ジープが気にしたのは全長ではなくホイールベース。480mm伸びて3490mmになったことでランプブレークオーバーアングルが悪化し走破性能が落ちるのは大問題!ということで、最低地上高を280mmにアップしてクリア。
「 デカくしたら高くして解決!」軽自動車の開発者が聞いたら泣くでしょう。
またこのグラディエーターにはオフロード走破性能がメチャクチャ高いグレードにだけ与えられる「ルビコン」のネームがついてます。いわば山道のタイプR。前後3つのデフを任意でロックできる機構や、激しい凹凸を乗り越える際にタイヤの上下動を阻害するスタビライザーの連結を解除する機構、特別な低速ギヤ比などが採用されています。
そんなわけですからトラックであってもジープの走破性の高さは全くそのまま。今回は特設スーパー悪路で走らせる機会に恵まれました。
ここ、ジープに合わせて相当難易度高くコース造りされたのですが設置者の想定外だったのが前日に降った大雨。コースはねるねるねるね的なグチャ路になって遭難必至のすごコースに。
こりゃあヤバイかもと思いながらも挑みます。コースは落差5mほどの急斜面下りとマッド走行、そして左右輪がたがい違いに大きく入るような超凹凸路であるモーグルセクションでもう大変。
で、結果から言うとまーーったく何の問題もなく進めちゃいました。それもモーグルは前日の雨で凹み側に水がたまり、水深50cmの沼になっていたにもかかわらずです。渡河性能760mmは政宗じゃない、あ、すみません、伊達じゃない。
ただこの走破性、注目点が2つあります。1つはルビコン専用装備のデフロックやスタビ切り離しは使わない素の状態でいけちゃったこと。つまりベースの能力が高いんですね。
もう1つはこのオフ走行、私はほぼ運転していなかったこと。……えっ!?
セレクスピードという超低速クルーズコントロール機能を使えばドライバーはステアリングを操作するだけでとんでもない悪路を走れちゃうんですよ。
車速は1km/hから8km/hまでの1km/h刻みで設定できるんですが、これ、速度を調整するだけでなく、前後左右のタイヤそれぞれの状態を感知して最適なトラクションを与えられるように4輪個別制御をしてくれるもの。熟練ドライバーでも絶対にできないコントロール方法で車両を動かすのには驚きました。
特筆すべきはこんな高度な制御を行いつつ、ぐちゃぐちゃダートを走っている間、車内は至って平和なこと。車体は大きく前後左右に動きますが衝撃はなくてむしろ乗り心地が良い。さらにV6 3.6ℓのNAエンジンも異様なほどのフレキシブルさ。最適トルクを振動なく静かに発生していて、門外漢がジープに想像するラフな世界はございません。
この、軍用車派生の実用性と乗員の安楽さが両立している点に「これこそアメリカ的!」って思っちゃいましたよ。
仕事を完遂できるならば、身体的、精神的ストレスは仕方ない……ではなく、仕事と安楽は完全にイーブンでしょう的な。
なにしろ、第二次世界大戦時でも兵士のストレスを防ぐため、随時飲めるようにコーラを軍需品として認可して配備したお国ですからね。
そうした目でジープ以外の、他のアメリカ車を見渡すと「仕事も安楽も大切」といった視点で作られているものが多いことに気づいて納得。アメリカ味満点のグラディエーター試乗でしたよ。美味でした、ごちそうさま!
アメ車って、凄いね!!
※本記事はオートメカニック2022年8月号に掲載されたものです。
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