数多いる自動車YouTuberの中でも、濃密なキャラと語り口で異彩を放つ「ウナ丼」。マニア熱望の第5回は「軽トラック」がお題。その偏愛ぶり、ぜひご堪能あれ。
●文:ウナ丼 ●まとめ:オートメカニック
「ツインズ」のアーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デビートくらいの個性の違いが出るんです
「軽トラに乗りたいかー!?」
……スーン……。いや、まあそうですよね普通は。積極的に軽トラに乗りたいってのは菅原文太とはるな愛くらいのものなのですが、ふと思い立っていろいろ乗ってみたのでご報告してみますよ。
余談として、寸法と排気量が制限された軽自動車の、さらにその用途から画一化が進んでいると思われるのが軽トラックの世界。荷台の大きさ確保が大命題なので「クラスナンバー1」を競っていくとおそ松くん(さん)のような「ほぼ同じ」感じになっていくはずですが果たして!?
まずは現状で最新世代となっているダイハツ・ハイゼット。2021年12月に大規模マイチェンが入りましたが、プラットフォームは2014年に登場した10代目をキャリーオーバーしたもの。
これね、乗り心地は重積載を考えたバネレートで褒められたものじゃないんだけど、エンジンがとにかく軽やか。KF型3気筒エンジンは熟成が極まって燃焼効率が最適化されているからというのが理由。さらに新設計の縦置きCVTの効果でそもそも使用回転数が低いもんだから、平滑な道路を走っている分にはコミューターとしてこれ1台でなんでもいけちゃうぜって気分になれるんです。
続いて乗ったのはスズキ・キャリイ。現行型は2013年登場だけど今回乗ったのは2018年登場のスーパーキャリイ。
後ろに46cmキャビンを拡大することで運転席後方に荷物置きの空間を確保。さらに通常の軽トラではできなかったリクライングが可能になって、かなーり快適になってます。席を倒しての休憩はもちろん、荷物置き空間で横になってみましたが、ここでの仮眠もできそうでした。
ちなみにハイゼットトラック ジャンボに対して、後発のこれはキャビン空間が明確に広くなっていて快適性が増しています。寸法がっぷり四つでほとんど差が出ない現行の軽トラにあって、唯一といっていい違いがここに表れていました。
以上が現行の新車で買える軽トラ2ブランドのレビューです。が、番外編として絶版となった最後の軽トラ2ブランドも紹介しましょう。
まずは2009年に登場して2021年に生産終了したホンダ・アクティトラック(FF3ATモデル)。
このモデルの特徴はなんといっても洒落たデザイン。フロントフェンダーアーチが左右対称だったり、荷台のアオリ部分の補強用凹凸にもゆるやかで不揃いのカーブを設けていたり。内装でもカドRをつけた意匠を多く散りばめて、単なる道具以上の所有満足度を刺激してくれます。
FF横置きパワートレーンをそのままリヤに持ってきたMRによる走りは、意外やミッドシップだからという恩恵はあまり感じません。そりゃそうですよね、NSXじゃないんですから。ただ素晴らしいのがNA3気筒エンジンの音と回転フィール。「クォオオオー」と高周波で一気に回転上昇するさまは、さすがホンダでした。
さてここまでの3モデルは、メーカーこそ違えどその構成は「3気筒エンジンを前後タイヤ間に搭載。リヤサスはリーフリジッド」というものでした。が、最後に登場するスバル製最後の6代目サンバー・トラックはこれらをぜんぶ覆します。
まずエンジンは4気筒。これをリヤオーバーハングに搭載して後輪を駆動するRR方式(及び4WD)。さらにサスペンションは4輪独立タイプというもの。
この特殊構成が走りにどんな違いを表すかといいますと……「ぜんぜん違う!! 完全にガイシャだ、これ!!」です。
もうね、エンジンかけた瞬間から音の小ささと振動の少なさにたまげます。走るとその振動の少なさは異常。というか4気筒の効果に加え、搭載位置が運転席からはるか後方なので物理的に音が届きにくいんです。
んでもって乗り心地!! これが一番衝撃的。「クラウンかよ!」ってほどソフトでなめらかなんです。
サンバーにはスーパーチャージャー仕様もありましたが、私が乗ったのはNA48psのもの。けっして大パワーではないけれど、その静かさ振動の少なさと乗り心地の良さで「ロングツーリングに出たい」と思ってしまったのでした……。
というわけで、軽トラはおそ松くん(さん)のように同じ……ではなく、実際には『ツインズ』のアーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デビートくらいの個性の違いが出てくるんです。
※本記事はオートメカニック2023年2月号記事を再編集して掲載しています。※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ウナ丼)
法は守る。だが隙はつく!? 「みんな、マカロン好きですかー!?」 俺は店による。というわけでフランスに行ってきました、ルノーの新型カングー取材で。久々の海外ってこともあったんですが行ってみると日本とは[…]
ウナ丼 ハンドリングに絞ってチェック!? 数多いる自動車YouTuberの中でも、濃密なキャラと語り口で異彩を放つ「ウナ丼」。マニア熱望の第四回は、意外と忘れられがちな「商用車」がお題。マニア好みの通[…]
超凹凸路であるモーグルセクション、遭難必至のすごコースで試乗!? 「どうも! 一生声変わり中の者です」……誌面じゃ声、わかりませんね(笑)。 先日、山トラックことジープ・グラディエーター ルビコンに乗[…]
スポーティだけじゃダメ! 尖った個性もマスト何です ホンダがソニーとEV共同開発を行うというニュースが世間をにぎわせていますが、私が注目したホンダ関連のニュースは、ずばり新型アキュラ・インテグラの予約[…]
コルベットの変態ぶりに”ズギュン”とやられました(笑) 初回は第42回 2021–202日本カー・オブ・ザ・イヤー投票後記です。私め、1位ランドクルーザーに10点入れましたが、ここでは7点を投じて2位[…]
最新の関連記事(新車)
TV-CMでも大好評のいかつさアップの定番パーツが1位を獲得 (第1位)アクティブフェイスパッケージ 最も注目を浴びたのは、TVCMなどにも登場した「アクティブフェイスパッケージ」。フロントグリルとL[…]
原材料価格の高騰を理由とした価格改定も実施 ダイハツ工業は、「タフト」の安全性能を向上させるなど、一部仕様変更を実施。11月21日より発売する。 なお、今回の一部改良で原材料価格の高騰を理由とした、メ[…]
Aクラス初となるボディカラー、AMGグリーンヘルマグノ(マット)を採用 今回導入される「A 45 S 4MATIC+ Final Edition」は、Mercedes-AMG A 45 S 4MATI[…]
アメリカ・アリゾナ州セドナからインスピレーションを受けた限定車 今回導入される「DEFENDER 110 SEDONA EDITION」は、アウトドア・アドベンチャーの場として有名で、豊かで美しい自然[…]
クーペルックに騙されるなかれ、中身は広々キャビンの実用SUV 上手にまとめたクーペルックのおかげもあって、スタイル優先のSUVと思ってしまうかもしれないが、キャビンまわりのパッケージをチェックしていく[…]
人気記事ランキング(全体)
ベース車両はダイハツのアトレー ベースとなる車両はダイハツのアトレー。燃費が良く小回りの効く軽自動車でありながら、車内スペースが広く、多くの荷物も積み込める人気の車。キャンピングカーイベントではベース[…]
アルファードがベースのキャンピングカー(グランドモーター) ベースとなる車両は広々とした高級感あふれるミニバン・アルファード。キャンピングカーとしてだけでなく、世間でよく見かける超人気車種だ。サイズが[…]
ベース車両は遊びの王様トヨタ・ハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。カスタムの幅が広く、アウトドアを中心としたユーザーに、非常に人気の高い車だ。 ハイエースはなんと言ってもクラス最大級の荷室の[…]
ETC利用率は90%を超え、広く普及 ETCとは、エレクトロニック・トール・コレクション・システムの略称となり、日本語では電子料金収受システムとなる。高速道路や有料道路の料金所などに設置され、ノンスト[…]
ベース車両はトヨタのハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。カスタムの幅が広く、アウトドアを中心としたユーザーに、非常に人気の高い車だ。 ハイエースはなんと言ってもクラス最大級の荷室の広さが魅力[…]
最新の投稿記事(全体)
クラウンクロスオーバーの人気ホイールに交換できるカスタマイズサービスがスタート 今回提供が始まった「ホイールデザインカスタマイズ」の対象モデルは、24年に一部改良したモデルのCROSSOVER RSお[…]
ナビメーカーが本気で作ったナビアプリ、質の高いルート検索&音声案内で人気 「COCCHi」は、パイオニアがカーナビメーカーとして培ってきた技術やノウハウを活用したスマートフォン専用カーナビアプリ。道路[…]
TV-CMでも大好評のいかつさアップの定番パーツが1位を獲得 (第1位)アクティブフェイスパッケージ 最も注目を浴びたのは、TVCMなどにも登場した「アクティブフェイスパッケージ」。フロントグリルとL[…]
オーテックオーナーが一同に会する名物イベント 11月16日(土曜)に開催された「AOG(AUTECH OWNERS GROUP)湘南里帰りミーティング2024」は、2004年にメーカー主催によるオーナ[…]
タイヤに被せるだけの簡単取り付け 降雪地帯やアウトドアレジャー好きの方であれば、スタッドレスタイヤは当然用意するもの。しかし「稀に雪に見舞われる」程度の地域であれば、場所をとり、交換の手間がある上に”[…]
- 1
- 2