
数多いる自動車YouTuberの中でも、濃密なキャラと語り口で異彩を放つ「ウナ丼」。マニア熱望の第5回は「軽トラック」がお題。その偏愛ぶり、ぜひご堪能あれ。
●文:ウナ丼 ●まとめ:オートメカニック
ウナ丼
新車、旧車、珍車を問わず独自の視点&エンタメマインドで切り取るクルマ評で人気を集める自動車YouTuber。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を2021年より務めている。
ウナ丼_STRUT_ エンスーCAR ガイド
https://www.youtube.com/user/enthucarguide1
「ツインズ」のアーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デビートくらいの個性の違いが出るんです
「軽トラに乗りたいかー!?」
……スーン……。いや、まあそうですよね普通は。積極的に軽トラに乗りたいってのは菅原文太とはるな愛くらいのものなのですが、ふと思い立っていろいろ乗ってみたのでご報告してみますよ。
余談として、寸法と排気量が制限された軽自動車の、さらにその用途から画一化が進んでいると思われるのが軽トラックの世界。荷台の大きさ確保が大命題なので「クラスナンバー1」を競っていくとおそ松くん(さん)のような「ほぼ同じ」感じになっていくはずですが果たして!?
続いて乗ったのはスズキ・キャリイ。現行型は2013年登場だけど今回乗ったのは2018年登場のスーパーキャリイ。
後ろに46cmキャビンを拡大することで運転席後方に荷物置きの空間を確保。さらに通常の軽トラではできなかったリクライングが可能になって、かなーり快適になってます。席を倒しての休憩はもちろん、荷物置き空間で横になってみましたが、ここでの仮眠もできそうでした。
ちなみにハイゼットトラック ジャンボに対して、後発のこれはキャビン空間が明確に広くなっていて快適性が増しています。寸法がっぷり四つでほとんど差が出ない現行の軽トラにあって、唯一といっていい違いがここに表れていました。
以上が現行の新車で買える軽トラ2ブランドのレビューです。が、番外編として絶版となった最後の軽トラ2ブランドも紹介しましょう。
まずは2009年に登場して2021年に生産終了したホンダ・アクティトラック(FF3ATモデル)。
このモデルの特徴はなんといっても洒落たデザイン。フロントフェンダーアーチが左右対称だったり、荷台のアオリ部分の補強用凹凸にもゆるやかで不揃いのカーブを設けていたり。内装でもカドRをつけた意匠を多く散りばめて、単なる道具以上の所有満足度を刺激してくれます。
FF横置きパワートレーンをそのままリヤに持ってきたMRによる走りは、意外やミッドシップだからという恩恵はあまり感じません。そりゃそうですよね、NSXじゃないんですから。ただ素晴らしいのがNA3気筒エンジンの音と回転フィール。「クォオオオー」と高周波で一気に回転上昇するさまは、さすがホンダでした。
さてここまでの3モデルは、メーカーこそ違えどその構成は「3気筒エンジンを前後タイヤ間に搭載。リヤサスはリーフリジッド」というものでした。が、最後に登場するスバル製最後の6代目サンバー・トラックはこれらをぜんぶ覆します。
まずエンジンは4気筒。これをリヤオーバーハングに搭載して後輪を駆動するRR方式(及び4WD)。さらにサスペンションは4輪独立タイプというもの。
この特殊構成が走りにどんな違いを表すかといいますと……「ぜんぜん違う!! 完全にガイシャだ、これ!!」です。
もうね、エンジンかけた瞬間から音の小ささと振動の少なさにたまげます。走るとその振動の少なさは異常。というか4気筒の効果に加え、搭載位置が運転席からはるか後方なので物理的に音が届きにくいんです。
んでもって乗り心地!! これが一番衝撃的。「クラウンかよ!」ってほどソフトでなめらかなんです。
サンバーにはスーパーチャージャー仕様もありましたが、私が乗ったのはNA48psのもの。けっして大パワーではないけれど、その静かさ振動の少なさと乗り心地の良さで「ロングツーリングに出たい」と思ってしまったのでした……。
というわけで、軽トラはおそ松くん(さん)のように同じ……ではなく、実際には『ツインズ』のアーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デビートくらいの個性の違いが出てくるんです。
※本記事はオートメカニック2023年2月号記事を再編集して掲載しています。※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ウナ丼)
法は守る。だが隙はつく!? 「みんな、マカロン好きですかー!?」 俺は店による。というわけでフランスに行ってきました、ルノーの新型カングー取材で。久々の海外ってこともあったんですが行ってみると日本とは[…]
ウナ丼 ハンドリングに絞ってチェック!? 数多いる自動車YouTuberの中でも、濃密なキャラと語り口で異彩を放つ「ウナ丼」。マニア熱望の第四回は、意外と忘れられがちな「商用車」がお題。マニア好みの通[…]
超凹凸路であるモーグルセクション、遭難必至のすごコースで試乗!? 「どうも! 一生声変わり中の者です」……誌面じゃ声、わかりませんね(笑)。 先日、山トラックことジープ・グラディエーター ルビコンに乗[…]
スポーティだけじゃダメ! 尖った個性もマスト何です ホンダがソニーとEV共同開発を行うというニュースが世間をにぎわせていますが、私が注目したホンダ関連のニュースは、ずばり新型アキュラ・インテグラの予約[…]
コルベットの変態ぶりに”ズギュン”とやられました(笑) 初回は第42回 2021–202日本カー・オブ・ザ・イヤー投票後記です。私め、1位ランドクルーザーに10点入れましたが、ここでは7点を投じて2位[…]
最新の関連記事(新車)
BMWがSAVと呼ぶコンパクトSUV「X1」に追加のクリーンディーゼルはWLTCモード燃費19.5㎞/L BMW「X1」は、BMWが武骨なSUVとは明確な一線を画す、プレミアム・スモール・コンパクト・[…]
メルセデス・マイバッハのSUV「EQS」、「Sクラス」、「GLS」に設定 今回発表された「ナイトシリーズ・パッケージ」は、メルセデス・マイバッハの「EQS」、「Sクラス」、「GLS」専用にデザインされ[…]
新型IQ.LIGHT HDマトリックスヘッドライトを採用。最上級「トゥアレグR eハイブリッド」はV6ガソリンエンジン+モーターの組み合わせ フォルクスワーゲンのラグジュアリーSUV「トゥアレグ」。現[…]
680PS/800Nm、最高速度は325km/h このモデルはアストンマーティン史上、あらゆる車を知り尽くした熟練ドライバーを満足させるパフォーマンスとハンドリングを持つ、もっとも完成度が高く、もっと[…]
ブラックグロッシーの18インチアルミホイールやブラックルーフなど専用装備を満載 「ポロGTI」の25周年を記念して、ドイツ本国で発表された「ポロGTIエディション25」。1998年に「ポロ」として初め[…]
人気記事ランキング(全体)
新発想の車用ロールスクリーン 車用ロールスクリーン 3BLOCK は、『太陽光』『太陽熱』『紫外線』の3つをブロック!縦と左右の3方向に開くスクリーンで車のフロントガラスをすっぽり[…]
非常に珍しい車がキャンプ仕様に ベースとなっているのはベッドフォードのCA。ベッドフォードはイギリスでバンを製造していたメーカーだが、CAは生産台数が少なく、本国でも希少な車だ。 1969年式のクラシ[…]
デザインの一部が新たに公開 レクサスは、米国・テキサス州オースティンで現地時間6月8日(木)に、新型「GX」を発表する。発表に先立ち、デザインの一部が新たに公開された。ワールドプレミアとなる当日は、多[…]
予約受注の約6割が4WDモデルを選択。人気グレードもT Premium(ターボエンジンモデル)が65%と集中 新型「デリカミニ」、1月13日から開始された予約受注の状況が判明した。まずグレード別構成比[…]
デザインの一部が公開された レクサスは5月22日、新型「LBX」を6月5日(月)にイタリア・ミラノで発表すると公式サイトで明らかにした。これらの発表に先立ち、デザインの一部を新たに公開した。詳細は不明[…]
最新の投稿記事(全体)
「必要」と思っていても、最初の商談ではカットしてもらうのが正解 まず最初に見積もりをもらう時は、付属品やサービスメニューが必要だと思っていたとしても、セールスマンには「付属品やサービスメニューはいらな[…]
食べ物、飲み物込みでラクラク! 『杷木松末アウトドアヴィレッジ』は、食事や飲み物が全て宿泊料金の中に含まれているタイプの施設。そのためキャンプ初心者でも気軽にアウトドア体験ができる。DOMEテントはエ[…]
手のひらサイズのリアルなミニカー チョコレートそっくりの見た目に仕上がったジムニーシエラは、1/64スケールのトイサイズのダイキャスト製ミニカー。ボンネットが開いてエンジンを見ることができる遊び心たっ[…]
新発想の車用ロールスクリーン 車用ロールスクリーン 3BLOCK は、『太陽光』『太陽熱』『紫外線』の3つをブロック!縦と左右の3方向に開くスクリーンで車のフロントガラスをすっぽり[…]
関西では駐車場を表す言葉として、モータープールという言葉が一般的に使われていますが、なぜモータープールという呼称が使われるようになったのか、関西地域のみで使用されるのかについては興味深い背景があります[…]
- 1
- 2