数多いる自動車YouTuberの中でも、濃密なキャラと語り口で異彩を放つ「ウナ丼」。第6回目となる今回は「フランス」がお題。ボンジュールな取材で得た最新事情を独自の視点でブッタ切りしてくれます(笑)。ご堪能あれ。
●文:ウナ丼 ●まとめ:オートメカニック
法は守る。だが隙はつく!?
「みんな、マカロン好きですかー!?」
俺は店による。というわけでフランスに行ってきました、ルノーの新型カングー取材で。久々の海外ってこともあったんですが行ってみると日本とは違うなあ(小並感)と思うことがいっぱいあったのでお伝えします。
まずね、フランスにはパリなどの大都会でもセイコーマートとかミニストップとかのコンビニがない(もちろんセブンもねえ!ファミマもねえ!)。代わりに小規模なスーパーというか日本でいう駅売店の拡大版みたいな店はあるんですが、そこも24時間営業なんてしてない。
これは「そんなに夜遅くまで買い物しないで家でしっかり寝ましょうよ、もっと生活を楽しみましょう」的なことが社会の総意で、だから抜け駆けしてフル営業する店舗もないんだね。うーむ社会の成熟!って思ってたら実はこれ、営業時間を規制する法律があるそうで、深夜と休日の営業は制限されてるんです。これを念頭に探してみると駅前には「朝7時から翌朝だいたい7時まで営業」と看板に掲げる23時間40分営業のお店もありました。なんだよみんなそのほうが便利とは思ってるのね(笑)。
道路にも独自事情はありまして。現地ではラウンドアバウトをロン・ポワンと呼ぶんですが、まあこれの多いこと。郊外に行くとほとんど信号はなくてこの旋回分流ばっかり。十字路みたいな簡単な交差点でもロン・ポワンになってて「これなら信号なし交差点でいいよ」とも思うけど、すると一時停止無視とか「こっちが優先だと思った問題」が出てくるわけなのでフランス型が合理的かも。慣れてくると常に速度が乗った状態で交差点を曲がることでの運転のリズム感が心地よくなってくる。
「止まって、発進して、直角に曲がって」と一連の動作がオン/オフの日本と違って、常にダイナミックに動いているのが面白い。そしてこの「運転は常に連続動作」を前提にギクシャク感なく作られているからフランス車って実用車でも運転が面白いのかもね〜。
ちなみにロン・ポワンの最ムズは道路12本と接続してる凱旋門。私は合流したものの脱出できず、2周しました。
そして道路の速度制限も特殊。日本だと一般道は60km/h、高速道路が120km/h上限ですよね。フランスだと高速道路が130km/hというのは聞いたことある人も多いと思うんですが、興味深いのは雨天時にマイナス20km/hの110km/hになるところ。日本だと120km/h道路でも雨天80km/h規制なので、雨天時でも日本のほとんどの高速より高いことが目立ちます。で、その速度域をスポーツカーでなくともスタビリティ高く走らせる必要があります。高速安定性は付加価値ではなくマストなのでした。
さらに一般道ですが、これはドドンと90km/h上限なのでもう根本的にクルマの作り方というか概念が変わってくるんですよ。郊外ワインディング路が90km/hだったりするんで、そこではクイックな加速と安心感ある減速、安定感あるハンドリングが求められます。しつこいようですが付加価値じゃなくて老若男女、運転が得意でない人も安心して峠を90km/hで走らせられることがマストになるわけです。
するとね、そりゃあこんな土地で開発されれば下はトゥインゴからカングーのような商用ベース車までハンドリングオバケになるわけですよ。だってそれが絶対必要条件なんですもん。
じゃあどこでもハイスピード祭りかといえばさにあらず。市街地では広範囲で30km/h制限があって我々にはもどかしく思えますが、パリ市民はきっちりこれを守ります。フランス人は規範意識が高いねぇ……なんて感心しそうになりますが、実はこれ、街中に取り付けられたカメラにナンバー読み取られれてすぐ罰金納付書が送られて来るからだとか。
ところが、ナンバー撮影が適用されない場面では目いっぱい無茶してますよ。混雑した交差点では赤信号に変わったあとも次から次へと突っ込んできます。鼻先を強い意志で入れた者が勝つのです!こういう「法は守る。だが隙はつく」というのは、例のコンビニ営業時間にも似てますね。
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